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シャネルの5番が似合う頃に

以前Twitterである投稿にいいねした。


元ツイを探し出せなかったのが残念だが、ある女性が高校時代を振り返るツイートで「友人と二人、制服姿で訪れたハイブランドのショップでスタッフさんに丁寧に接客をしてもらった。スタッフさんも商品も見事で圧倒され、友人と『似合うようになったらまた来ようね』と約束した」という感じの内容のものだった。


(元ツイわかる方いたら教えていただきたい・・・!)


20代も半ばに差し掛かった。化粧なんてものは大学の入学式の日まで知らず、大人びた同級生に慌てて教えてもらったあの頃はもう懐かしい。自分で稼いだお金で少しずつ素敵なお化粧品を買えるようになったし、とりあえず人前に出て恥ずかしくないようなメイクはできるようになった。


20代後半って、落ち着いたオトナ女子のように思う。


友人からのバースデープレゼントはいつしかデパートコスメへと変わりつつあるし、周りの子たちのインスタのストーリー『「ありがとう」のGIFスタンプ+ショッパー+白壁の背景』のハッピーセットはもう鉄板。写真の向こう側に男の人の腕が写っていたらそろそろ結婚する彼氏か?匂わせてんじゃねーぞ(涙声)と思うしキラキラ原宿系だったあの子のファッション、なんだかMOREのお姉さん風。


私自身でも自分が世間で言うオトナ思考になっていくのを感じている。本当はまだ履きたい膝上20センチのスカートを見ては、友だちに合わせて「もううちらが履いたら犯罪かな?」と冗談を言ってみたり、何がともあれロング丈のプリーツスカートが結局落ち着くよな〜って考えたり。


ハタチになりたての頃の老けていくことへの嫌悪感もなくなり、オトナも悪くないぞ、という心境にもなっている。


怖いものはない!!

きっとどんなコスメでも自分が合わせに行くだけの土台はあるはず!

言葉にこそしないが、なんとなくそんな気がしていた。


とある日。


私はTwitterで知り合った美意識の高い女子と一緒にデパートに行くことになる。

彼女は美に対してのエキスパートでありながら「一緒に綺麗になろうね!いつでも相談して!」と、最低レベルのお化粧しかできない私の相談に乗ってくれる貴重なお友だち。

私が「荒れない赤リップが欲しい」と相談したところ「リップならシャネルさんが有名どころ」と言い迷うことなくそのままブースに直行。「この子に合うリップを」だなんてどこの向井理ですか。

荒れないどころかプルップルに保湿が持続する上に私にバッチリ合うカラーのリップをタッチアップしてもらい、感動しながら無事購入。

商品を準備してもらっている間に、目の前にある見慣れないキラキラとした黄金色のボトルが。友人がスタッフさんへすぐさま質問。

スタッフさんは何も知らない私たちに丁寧に教えてくれた。

これは「シャネルの5番」と呼ばれる香水で定番中の定番。今季限定でジェル状のいわば”塗る香水”として販売していて、ジェルには細かい金色のラメがぎっしり詰まっていて、胸元の開いたお洋服を着る時にデコルテに塗ると映えますよ、と。

手の甲に塗ってもらえることに。

キラキラでかわいい…!

しかし、いざ匂いをかいでみると・・・




「いや、これはwww」




うちらにはまだ早い!

オトナの香りだ!!!


一髪KO食らいました。



どんな匂いかというと。

ローズがメイン。ただ、私が今までかいだことのあるチープなローズとは全然違う。重みが違う。

今までのチープなローズを例えるならば、少しお金を持ち始めた20代半ばの独身女子がボーナスで買った、シックなピンク色のワンピース。今週の金曜日仕事終わりのお呼ばれに着ていく。素材は艶々していて軽め。愛らしさがある。

チープとはいえローズなのでほかのお花と違って女性らしさはピカイチ。

一方シャネル5番はというと、重厚で上品。<※ここから妄想が入ります>30代後半、二児の母である女性が夫と子どもを仕事と小学校へ送り出してから、普段はめったに着ることのできないスエード素材でグレージュカラーのロング丈ワンピースを着て・・・でも、どこに行くわけでもなく日常へと戻っていく、そんな香り。しっかりたっぷりしているのに可憐さがある。


・・・妄想のクセが強すぎてわかりづらいと思うので解説しますね。


チープなローズとシャネル5番とはオトナっぽさの度合いが違いを年齢、というか”年輪”で表しています。チープなほうも24年生きてきただけあって辛いことの数々は経験しています。5番のほうは女性のライフイベントを一通り経験し、女性として、妻として、母として苦いけど甘い、ハーゲンダッツのラムレーズンをウイスキーと一緒にいただくような感情をくぐり抜けている。


言わずもがなですが、結婚・出産を経験してるかどうかの話ではなく、

人生経験の熟成され加減が違う、という話です。


また、チープなほうはまだ若く、独身ということがあり思い立ったらすぐお友だちとの女子会や気になる人とのデートに行くことができます。5番はそうではありません。女性としてのほかに、妻として、母としての顔を持つ5番はチープほどフットワークが軽くありません。軽くできないのです。


でも、チープと5番、一緒にいて落ち着くのはどちらか選べと言われたら、5番が圧勝なのです。


シャネル5番の香りは、ただただ歳を重ねただけではお近づきになれない香りなのです。


そろそろまとめますね。


私たちイイ年になってきたよねって思っていたけど、全然そうでもなかった。オトナの入り口には立ったけど、上には上がいる。それも、ただ単に歳を重ねるだけではなくがんじがらめの世の中でも自分の足でくぐり抜けられるような生き方をしていきたいと思えた、そんな体験でした。


年齢を重ねるごとに自信を持って着られる洋服が減っていく・・・なんて思っていたけどそれは間違いで、身に付けられる物はどんどん上から降ってくるのだ。


そして、デパコスはどの世代でも楽しめる。


女子高生仲良しグループ6人で割り勘で買ったあの子へのプレゼントがディオールの中でも一番安いグロスだったとしたら、オトナになるにつれてリップ下地って大事だからセットで買ってあげるかぁ(下地も結構イイ値段するよね)なんて思えたり、それこそシャネルの5番が似合うようになる頃までに内面から素敵な女性になるぞ!と田舎のちっぽけな25歳に思わせてくれる。


だからデパコスってやめられないのかもね。


おわり。


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