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鳥かご鍵 23

私は彼が落ち着くように、冷静に話した。

今の彼に何を言っても怒るだけ、
冷静に聞いてくれない。

これから先、私達はどうするのか?
納得できる回答を聞くまで彼は帰ってくれないだろう。

「嘘をついてごめんなさい。
彼とはSNSで知り合ったの。今日が会うのは初めてで、
友達だから、恋愛感情は無いわ。」

私は彼が怖くて嘘を付いた、
自己防衛の為の嘘の上塗り。

「友達には見えなかった。
あいつはおまえのこと好きなんじゃないのか?」

「ねー今日1日、私のこと見張ってたの?」

「違うよ、たまたま通りかかったんだ、
そうしたら、若い男とおまえがいたからびっくりして…」

明らかに動揺している、
彼は私を尾行していた。

私は詳しく聞かなかった、
どうせ聞いても本当のことを彼は言わないからだ。
私たちは嘘ばかり…
お互い本音が言えていない。

「あの男と付き合いたいのか?
俺が身を引けばいいのか?
俺だけが不幸になればいいのか?
俺だけががまんすればいいんでしょ?」

話ている彼の顔が私の顔に見えた。
まるで私が怒っているようだった。

私は彼から目をそらしもう一回みると、
いつもの彼の顔に戻っていた。

頭が混乱している。

彼の俺だけ、俺だけと、
自分だけが被害者のような言い方に私は腹が立った。

今、言うことではないと頭でわかっていながら、
私の不満は抑え切れなかった。

「私もうすぐ30歳なんだよ、
結婚の話しもしないし、いつも会社の愚痴ばかりで、
私のこと考えてくれてるの?
俺だけががまんしているって、
私がどれだけがまんしてるかも知らないで、
よくそんなこと言えるね。」

「俺は俺で結婚のこと考えてたよ、
いつもその話しから逃げてたのはおまえだろ。」

確かに私の中にこの人と結婚して幸せになれるのか?
という疑問はいつもあった。

「私は不安だったの、
私たち本音で話すことがないでしょ、
あなたが何を考えているのかわからない時もあるし、
いつも部下の悪口ばかりで、
そんな冷たい人とこれから先一緒にいられるかな?
ていう心配もあった。」

「それはお互い様だろ、
おまえだって冷たいところあるだろう。」

「私が?冷たい?」

「カフェで女の人が転んでも助けもしないでお店出ただろ!」

「なんのこと?」

私はそう言ってから思い出した、
確かにこの前カフェでが椅子につまずいて、
派手に転んでいた女の人がいたけど、私は助けもしなかった。

なんで知ってるの?

確か、あの時は彼と夜ごはん食べる約束をしていて、
でもドタキャンされて、
1人でカフェに行った時の出来事なのになぜ知ってるの?

そうだ!!

その時に月のポスターを1人で見たのに、
彼はこの前カフェに一緒に行った時に、
「ポスターが無い」と言っていた、
あの時に感じた違和感は、
1人で見たポスターを彼が知っていたからだ!

やっぱり彼は私を見張っていた。

つづく


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