鳥かごの鍵 22
私は家に入り窓を開けて風を入れた、
これから重い話しになる。
少し前までの幸せな気持ちから一気に気分は下がっていた。
「今日はどこに行ってたんだよ?」
「今日は色々と…。」
「ふ~ん、色々ね、あの男と?」
「えっ誰?」
「あいつだよ、背の高い若いやつ。」
「なんで知ってるの?」
「俺はなんでも知ってるよ。」
彼は私と目を合わせないで、
窓の外を見ながら話している。
「もう俺のこと嫌いなの、俺たち別れるの?
若い男が良かったの?簡単に俺を捨てるんだね。」
私は驚いて何も言えなかった。
なぜ月のことを知っているのか?
私のこと見張っていたの?
どこまで知っているのか?
いつから見ていたのか?
私は聞きたいことがたくさんあった、
でも恐怖で言葉が出て来なかった。
「俺のどこがいけなかったの?」
彼が私を見て来た。
私は怖くなり目をそらした、
「いけないところは無いよ…」
私は小さな声で言った。
刺激したらいけないと、
冷静に言葉を選んで話そうと考えていた。
「あの若い男と寝たの?若い男は良かった?」
「そんな関係じゃない、友達だよ。」
「随分楽しそうに話してたけど、
俺が見たこと無い顔してたよ。
話しがあるってさっき言ってたけど、別れ話?」
「えっ!違うよ。」
「じゃなに?」
「今日のあなたなんか変だよ。」
「冬子ちゃんと出かけるって嘘ついて、
若い男と出かけてた、お前はおかしくないのかよ?」
「・・・・・」
「何も言えないよな!」
「そんなに怒らないで…」
「怒ってないよ!」
「じゃそんなに大きな声出さないで。」
「もっと冷静になって話そう。」
「俺は冷静だよ。」
今日は何を話しても彼の心には届かない。
「あの若い男は誰なんだよ、
いつから付き合っているんだよ。
俺たちは別れることになるのか?」
「わかった、全部話すから落ち着いて。
あなたが冷静に話しを聞いてくれるなら話す。」
「俺は冷静だよ。」
彼は冷静ではなかった。
つづく
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