言語感覚を言語化する ~ 「AよりかB」の「か」

ふと
「よりか」の「か」って何?って

「か」が入ると
単に「より」というときと
ニュアンスの違いを感じるけど
上手く言語化できないなと思った

  1. AよりBがいい

  2. AよりBがいい

  3. AよりBがいい

  4. AよりBがいい

  5. AよりかはBがいい

私には1~5のどれも
全部違って聞こえるから
「か」はちゃんと独特の意味がある

それを言葉にしてみたいな~って


「か」のイメージ

でも「か」を考える前に
「は」と「も」を
整理しておいたほうがいいかな?

  • AよりもB

    • Bがより良いことに重心を感じる

      • 「も」がAが無数にある、Bに比肩するけど劣る何かの一部を暗示するので、「(多くのいいものにもまして)Bは格別にいい」という感じ

  • AよりはB

    • Aは多分悪くて、そこからBも大してよくない感じ

    • 「(AもBもイマイチだけど)AよりはBがまし」?

      • いまこの文考えてたら「か」が自然に出てきた(省略する気にならなかった)からこのニュアンスが「か」の正体なのかも?

なんだろう?

なんか私のイメージ的には
「か」と付言されると
線引きされてるような印象

線引きだから
「は」の限定意図と
ニュアンスが被る感じがする?

例示(example)とか
抽出(sample)のニュアンスがあるね?
実例(instance)ともいえそう

ああ、もしかして
"OR"の意があるから
そこから例示に繋がる?

"A or B"とか
あるいは"maybe A"とか
"OR"から派生して
そういうニュアンスが感じられる

そこからさらに派生して
「決定的ではないこと」(不確定性)を
示しているのかも

言うなれば「暫定」のニュアンスで
「不確定ながら、ある」
うん、そういう感じ

「明確に定められないけど、あるにはある」
「そうであると限るつもりはないけど、たとえば、こういうのがある」
うん、近いと思う

実際にはどれが根源か分からないけど
疑問 ⇔ 不確定 ⇔ 例示
というイメージ

白でも黒でもない
グレーなんだよって
伝えたい感じ?

英語的には"either"とか"whether"に近そうな感じ

「よりか」以外でもそう?

「か」って「より」だけじゃなくて
ほかの言葉にも結構くっつくけど…

なんとなく
元のイメージの「断定したくない感じ」は
全部同じっぽい?
気がしたから整理してみる

いつか、どこか、だれか、どれか、なにか、どうか

不定ながら存在しているような
イメージがある
あるいは
内容は問わないけど存在しろ、みたいな

  • 疑問としてつかう「か」に近いニュアンス

    • 「かしら」と同じかも。なにか、なにかしら

      • 「どうか」「いつか」には同じ意味では使えないきがする。違和感が強い

        •  (X or not?)という感じ

というか、とか

例示のニュアンスを感じる
「たとえばこうで、ほかにもあるとおもうけど」みたいな?

断定を避けることで
言ってることが
可能性の一つ(つまり例)に
過ぎなくなるみたいな

  • 「というか」の「か」はまさにそういう感じ
    「(表現の一つでしかないけど、)たとえばそういう感じじゃない?」という感じ。「こういう風にもいえると思う」みたいな。

  •  「とか」の「か」は例示そのもの

よりか

例示というニュアンス?
それもあるけど
ちょっと違う感じがする
どちらかというと
比較対象に否定的(=疑義のある存在)で
価値を弱めてる感じ

  • 「AとかよりB」と「AよりかB」は同じ?

    • 同じニュアンスには聞こえない

      • でも近いといえば近い

    • 「とかより」は、Aが明らかに類で、かつ例

      • B > A (or A2, A3… etc.)

    • 「よりか」ではAはなんだろう…有象無象?

      • 「よりか」といわれるとAの立場を固定するような響きがあるような?

        • 比較において負けるほうの一種って感じ

      • B > A (他の有象無象と同様に)

「よりか」をあらためて

冒頭に挙げた5パターンについて
言われたときの
私の感覚的な反応を考えてみる

AよりはBがいい

ふーん。じゃあCなら?
(Aはだめ。Bもいまいち?)

  • Aを「あえて」比較対象におくならBがマシということ (A:-, B:?)

    • その中に限定して選ぶなら、Bの方が上だけど、あくまで限定された話の中ででしかなくて、絶対的にはどっちもいいとは言えない。

  • Bのよさは不定だけど、明確にいいなら別の言い方ができて、敢えて「は」と限定して言う必要がないので、実質的には「Bはマシなだけ」

AよりもBがいい

じゃあBにする?
(Aはいまいち。Bがすきそうだけど、限定的には感じない)

  • Aが特別悪いわけじゃない(むしろ十分いい)けどBがよりいい感じ(A:+, B:++)

  • Bが最善とは限らないけど、Bがよくて、Aも特別下げる意図はない。AはBよりも好まない多数の中の一つ。A1よりもA2よりもBがいい。という感じ

    • 「も」によってAが多数のうちの一つであることが示されている

    • またAは評価の方向性としてはBと同じである感じもある

  • Aを下げてないので、Bが好ましいニュアンスが前に出る

AよりBがいい

んじゃBにしよか
(Bがよさそう。Aはだめ)

  • AとBの両方の評価が定まってる感じがする。(A:-, B:+)

    • 定性的、中立的な響き

      • 中立的なためか、どこか客観的な響きもある

    • 「よりも」に近い響き、ニュアンスだけど、同じには聞こえない

      • 「よりも」ほどBの良さが強調されて聞こえない

    • 「よりか」のほうが近いかもしれない

      • Aのネガティブを強調はしないけど、Bが優位なのは明確

AよりかBがいい

ほーん。じゃあBで
(Aはどうでもいい??Bはよさそう)

  • 選択が明確な感じする。一番Bへの嗜好性が高い印象。 (A:?, B:+)

    • Aのどうでもよさが、却って(比較対象によらず好まれるので)Bをあげている?

    • そうかも?Bを強く推されている印象だし

      • 「Aだけに限らず、(だいたいなんにしても)Bがいい」

      • Aが(不確かな、あまり興味のない)例示(的な比較)にすぎないことを言っている

      • 比較が割とどうでもいい、というニュアンスがあるかも

      • Aは評価対象外、みたいな?

        • どちらかというと、Aは数あるダメなやつの一つ、って感じ

  • この例は「とにかくB!」が言いたいことに近いと思う

    • Aは添え物というか、一応フォローしてるだけ、みたいな

AよりかはBがいい

あ~なんかごめん、実はCもあるけどBがいい?

  • なんかどっちもダメな感じがする。(A:--, B:-)

    • ゴミ vs クズ(まだまし) みたいなニュアンスに感じる

    • 結論が断定されてる感じが強い

      • 「は」による限定がついてるからだと思う

    • 「か」によってAにはそもそも疑義がある感じが伝わる

(Aが提示されたから)
Aについて疑義があることを「か」で示して
やんわりと否定しつつ
対案として
Aと比較する限りにおいて(「は」)
Bが良いことを示す
という感じかも

つまり「か」とは

対象の実存性を0.5(maybe/不定/グレー)に変更する効果。

1から減衰する場合、これは柔らかな否定、疑問、例示(全体性、完全性、限定性が否定されるため)、選択となる。
0から増強した場合、これは不確定ながらも存在の可能性、推定を示す。
話者の疑念を表現することで、断定を避けるとともに、主観的な判断であることも示唆する。

「より」に付加して言った場合は比較対象に否定的な(疑義のある)気持ちが表現される。結果的に、比較対象の評価が(その比較において)低いことがより強調される。またその不定性から、例示に過ぎない、といったニュアンスも帯びて、「有象無象の一部」という風に響くこともある。ただし、依然として完全否定ではなく、主観性も付加されるため、柔らかな印象は残る。


「パスタ、好き?」

「好き。お米よりも好き」
「好き。お米より好きかも」
「うーん。お米よりは好きかも」
「うーん。お米よりかは好きかも」
「いや。パスタよりお米がいい」
「いや~。パスタよりかお米が好きかな~」


うーん
だいたいこんな感じかな~
なんかひっかかるけど
今日はここまで!

おわり

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