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サメを喰らう

しばしば話題に上る、未利用魚。
少し前に夏木凛さんが記事で紹介されていた。
未利用魚とは何か、については下記をお読み頂きたい。
写真はちょっとアレだが、とても分かりやすく書かれている。

首都圏で魚を入手することがここまで困難なのかと、正直驚いた。
僕の住む仙台では、魚を手に入れることに苦労することはほとんどない。
有名どころの魚たちはもちろんのこと、(僕が無知なだけかもしれないが)「お前誰だよ」というような名も知らぬ魚が陳列されていることも珍しくない。

上記記事のコメントにも書かせて頂いたが、仙台の一部のスーパーでは「サメ」の切り身が普通に売られている。
コメントをやり取りした後、DMで夏木さんに“証拠写真”をお送りした。
「もうかざめ」という品種だ。
ご多分に漏れず、こいつも未利用魚に分類されることがある魚種。

こんな写真

当然のように、こんなメッセージを頂く。
「サメ肉は食べたことないなぁ どんな味?」

当然のように、こう返す。
「サメ食べたことない…」

そう、僕はサメを食べたことがない。
『仙台には沢山の魚が売られているよ!』などと偉そうにマウントをとっておきながら、サメ肉は買ったことがない。
梅水晶やらフカヒレは食べるが、魚肉となると経験が無い。

手を出さない明確な理由などない。
何故かと問われれば、「食欲の湧かないフォルム」「なんとなく」「サメってなんか嫌」「臭みがありそう」程度の物。
ついでに言うと、この『モウカザメ』、正式には『ネズミザメ』と言うらしい。
余計に食欲を失う。

グダグダと言っていると、

「そこは買って調理してよ!宮城県大使としてそのぐらいはやってみてほしいし!」

最終的にこんな指令を賜ったので、ご報告がてら紹介したい。
一応言っておくが、僕は宮城県大使ではない。


モウカザメは宮城県気仙沼市で多く獲れる。
詳しくは、みんな大好きWikipediaでも見て頂きたい。
明らかに暴力的なフォルムが収められた写真も掲載されている。
Wikiによれば、「人間を喰うことはない」とのこと。
ひと安心。


調理法は悩んだが、あまり濃い味付けをするとサメ肉自体の良し悪しも判断しづらくなるため、初回はムニエル的なものとした。

手順は至ってシンプル。


両面に塩を振る


胡椒も振る

バットに並べると「やってる感」が出るが、難しいことは一切やっていない。
少し時間をおいて馴染ませたら、余計な水分を拭き取り、薄力粉を薄くつける。

まんべんなく。
焼いている最中に剥がれると興醒めするので、
少々押し付けるように。

「臭みがあるのでは」という疑念が振り払えなかったため、フライパンにオリーブオイルを流し、にんにくの香りをつける。
生のにんにくを切らしていたため、乾燥ガーリックを使用。
ストックしておくと便利だ。

“戻る”と早めに焦げてしまうため、弱火でじっくりと。
ここでの目的はあくまで「油に香りを移すこと」だ。
たまに焦げようが砕けようが頑なに炒め続ける方もいるが、あまり粋ではない。

良きところで、いったん別皿に移しておきたい(後で使うから捨てない)。

これだけでも美味しいので、一枚つまみ食いするのも良し。

ようやくブツを投入。
弱めの中火でジリジリと焼いていく。

焼き色が付いたら、裏返してまた焼き色を付けていく。

焼きすぎ注意
あと、無駄に触らないこと
衣が剥がれる

良い具合に焼き色が付いたら、蓋をして中心部まで充分に火を通す。

この写真いらないよな

何分焼くのかと問われると…そこはケースバイケースで。
ご自身の勘に頼っていただきたい。

火が通ったなと思ったところで蓋を開け、水分を少し飛ばす。
溜まっている油で衣を揚げ焼きするようなイメージでフライパンを揺らし、表面をカリッと仕上げる。

完成。

バター、レモンは割愛。
飾りとして、先ほど除けておいたガーリックチップを乗せてみる。

【感想】

美味い。


ひと言でいえば淡泊な白身魚。
クセも無く、懸念していた臭みも無く、おまけに調理中に身崩れすることもない。
肉質も柔らかく、程良い弾力があるので食べ応えもある。
3歳の娘も一気に平らげていた。

味変でガーリックチップを乗せて一緒に食べるのも良し。
カリカリのそれと、柔らかい身の相反する感じが愛おしい。

価格も100gあたり150~200円程度で落ち着いており、お財布にも優しい。
これが未利用魚に分類されるとは、本当に勿体ない。

これまで食わず嫌いで食卓に上ることはなかったが、これはレギュラー入り確定。
次はフライにするつもりだ。絶対に。
恐らく美味い。
タルタル、ウスターソース、どちらも合うはず。

見かけたら是非、お試しを。




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