現代イタチョコ文章5 イタチョコ文明大規模調査(byシェパード)
記者:さてこれまで謎とされてきたイタチョコ文明ですが、
まずその存在、
今まで北九州説、畿内説などが唱えられてきたわけです。
ですが今回、
教授は板橋区志村三丁目説を打ち出したと…
なぜです?
教授:はい、動かぬ証拠が志村三丁目で発掘されたのです。
これこそラショウ王がここにイタチョコ…失礼、
居たことを示すものです。(写真1)
記者:おお!これはラショウ王自らが手びねったと伝えられる
まさに伝説のラショウカップではありませんか!?
教授:はい、その造りの適当さから、ごく初期のものではないかと。
記者:で、で、では、初代ラショウ王?
教授:おそらく。
残念ながらラショウ王墓はまだ発見されていませんが、
優秀なシェパード犬がさまざまな副葬品を
くわえてもどって参りました。
記者:おお!?発掘調査にシェパード犬を
導入されているところにも興味を持ちましたが、
まずは副葬品の内容を紹介いただけけますか?
教授:これです。(写真2)酒杯のようなものですが…
記者:なるほど、独特の適当さは伝わってきますが…
失礼ですがこれにはさほど、価値を感じませんが…
教授:よくご覧ください。(写真3)
記者:おおお!よくよく見ると、
まるで今描き足したが如くの鮮度を放ち、
紋様のようなものが見て取れます!
教授:ええ、実際私もこれをくわえて来たシェパードには
当時あまりエサを与えませんでした。
しかし昨夜気まぐれに多めにエサを与えたところ、
この紋様が浮き出て来たのです。
記者:なるほど、エサ報酬と紋様の相関関係といい、
シェパード発掘法、ますます気になってきましたが、
それよりもこの紋様が
一体何を表しているのかご説明願えますか?
教授:おそらくこれはイタチョコ文明のあった時期を示しています。
これが縄文時代以前のものであることを示す
動かぬ証拠が描いてあると!
私には思えたのです。
記者:私にも思えます。
というか描いてあるというより、
書いてあるという感じですが。まんま。
しかし「以前」と描いてあるのは不思議ですね。
これから縄文時代に入ることが
イタチョコ人にはわかっていたのでしょうか?
そしてそれらが未来には縄文と呼ばれることも…
教授:でしょうね。
高度な文明だったらしいですから。
それくらいはシェパードに頼めるでしょう。
記者:ちょ、ちょっと待ってください!!
彼らもシェパードを?
教授:まあいいじゃないですか。
記者:良くないですよ!教えてください!
教授:お待ちください。順を追って説明しましょう。
私は多くの破片を照合し繋ぎ合わせ、
ひとつの土器を完成させました。驚くべき事実です!
イタチョコ人はこのような土器を使用していたのです。
このような美意識がこの時代に(興奮してせきこむ)(写真4)
記者:なんか模様がそれぞれ違うんですが…
パテ次第といった印象を受けますが。
教授:いえ、こんにちでも発掘された恐竜の化石から恐竜の色、
模様までは特定できないんですよ…
記者:困ったような顔をしないでください。
土器の再生にはそんな知識を応用してはいけないのでは?
ていうか模様は今ちゃんと見えていて、
私はつなぎ目の事をですね…
教授:(被せるように)これはおそらく急須のような
使われ方をしていたのでしょう。
しかし不思議なのは底が抜けていることと、
注ぎ口が通っておらず詰まっていることです。
記者:それ、急須じゃないからじゃないでしょうか!?
教授:シェパード?
記者:いや、もうそれはだいぶ話に出てきたんで…
教授:そうですね……
とにかくおそるべきソフトウェア文明だったようです。
奇抜なゲームがたくさん作られていたようです。
そしてこのへんから彼らもそろそろ飽きてきたのでしょう。
こういうものが発見されてきました。(写真5)
記者:なるほど、かなり造作が飽きてきているようですね。
破片の影響か、このインタビューさえ、
終わりに近づいているような軽い倦怠感を覚えます。
イタチョコ文明、滅亡の前兆でしょうか?
教授:そうです!おっしゃる通りです!
彼らは一夜のうちに滅亡してしまったのです。
火山の噴火、家賃の滞納、
いずれかの天災かあるいは両方の…
記者:後者の方は人災のような気が……
しかもそこそこ自業自得のようなんですが……
教授:しかし、完全な滅亡ではなかったようなのです。
生き残った一部はまたゲームを作ったり、
作家のマネごとをしたり……
連載を求めて雑誌にメールをしたためたことがありました。
(写真6)
記者:なんだか物悲しいですね。
ところでその写真は、おはなしとどんな関係が?
教授:ああ、これもまた急須です。
でも出しておかないとあとでうるさいんですよ。
不公平しちゃうとね。
記者:シェパード発掘法、ちょっと問題アリですね……
(おわり)
(2003 CD-ROM fan スクリーンセイバームック本)(2023/3加筆)
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