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【ネタバレ全開】ジブリオマージュで見るすずめの戸締り

2022/11/11公開の新海誠監督「すずめの戸締り」見てきました。大好き、大好きです。久しぶりに私の心にクリティカルヒットかましてくる芹澤というキャラにも出会えました。

どうしても初見の感想を書きたくて。
全力でネタバレしていくので、見るつもりでまだご覧になっていない方はまだ読まないでくださいませ。見ない予定の方も私の感想はかたよってますので、本編とは違う理解をしてしまうかもしれないため、見ないほうがよいです。

はい、ではそっと閉じてくださいませ!おーけー?いいね?ここからスクロールした人はもう文句を言っちゃいけないよ。






ありがとうございます。では好き放題語っていきます。


世界と自分

私の一番好きな新海作品は「言の葉の庭」です。
一人であがいてあがいて何とか世界とつながっていかなくてはならない等身大の私たちの物語です。
でも新海監督は日本を代表するアニメ映画の担い手になってしまいました。
だから個人に帰結ばかりしてもいられません。
今回も「君の名は」「天気の子」につぎ、世界と自分のつながりについてを紐解き考えていく物語でした。

そしてこの12年間日本が向かい合い続けた大震災というテーマを扱っていました。

私たちはこのテーマを未だ物語として考えられる状態にありません。

傷は胸をえぐり、あの日の一瞬一瞬全てを拡大鏡で見るように思い出せる人も多いと思います。

だけどまだ生々しくあの日のことを思い出せる今書いておかないといけないと考えたことと思います。

大きすぎるテーマをジブリをオマージュすることで補完する

この作品はそのテーマを日本人のコモンセンス、「ジブリ」を使って描いてきたように感じました。
草太のビジュアルは黒髪ハウル。
扉の向こうは魔法使いのおじさんの家のある花畑。
そこで過去と未来は交わるもの。
ミミズのビジュアルは、人間の醜さから噴き出すものとしてもののけ姫でもハウルでも似て描かれるあの変なぴちぴちしたくろいやつ。
銃と鉄と病原菌と同時に森とも共存したいと覚悟を決めた青年アシタカの名言「人の手で返したい」を違和感のあるタイミングで使っていた。
わかりやすく猫と共にディンドン遠ざかる街は女の子の成長を描くのに欠かせない。

ジブリを使えば私たちは自然とその背景にたくさんのコンテクストを読めるのは確か。
大きすぎるテーマを映画1本の中で扱うのには確かに最適かもしれない。なるほどな、と私は思いました。

「いってらっしゃい」「ただいま」のある場所を描くための下敷きに一番適している文脈はジブリだと考えた、私はそう解釈しました。その一つ一つをひも解いてみようと思います。

すずめの成長を描くロードムービーとして

すずめは椅子になった草太さんと共に日本を北上していく。
途中で当然のように挫折する。好きな人と別れ、かわいい猫に裏切られたような気持になり、守ってくれる人はいない。
だけど、また出会っていく。出会った人と共に成し遂げなければいけないものに向かって進んでいく。

私たちはいつでもトランジスタのボリュームを上げて猫と一緒に移動しながら思春期を乗り越えていくのだ。芹澤君のおんぼろの赤いオープンカーはキキの赤いラジオを思わせる。

キキ、どこまでのぼるつもり?

郷愁で胸がつまります。鑑賞翌日の私のプレイリストはこうなってました。
同じ人いるんじゃない?
①ルージュの伝言(荒井由実)※ここは荒井で書きたいところ
②SWEET MEMORIES(松田聖子)
③夢の中へ(井上陽水)
④卒業(斉藤由紀)
⑤バレンタインデー・キッス(国生さおり、おニャン子クラブ)
⑥けんかをやめて(河合奈保子)

常世はいつでも美しい、それは今会えない人たちへの願いだ

汝、流れ星を捕らえし者。お前の心臓は私のものだ

冒頭夢から覚めたすずめの周り2匹の蝶が舞う。
終結に向かう常世の中ですずめが小さなすずめに椅子を渡すときにも2匹の蝶が舞っていましたね。
「ハウルの動く城」で扉の向こうで邂逅したのは幼いハウルと今のソフィだったけど、このストーリーでは自分と自分でした。
あくまでも「私自身」に帰っていく新海監督らしいと思います。
扉の向こうの常世は美しい。
今会えない人たちはどうか美しい場所にいてくれますように。
だけど私たちの場所ではないから、うかつに迷い込んではいけません。

ごめんね、私グズだから。ハウルはずっと待っててくれたのに。


「人の手で返したい」という名言をあえてそこで使う違和感

まだ終わらない。わたし達が生きているのだから。

「もののけ姫」でアシタカ青年はシシ神様の首を「人の手で返したい」と言いました。それは人の罪だから。

鉄をうち、銃を作り人も神すらも殺す、ウイルスは蔓延する。
私たちは犯し続ける罪を償いながら、また自分たちの為に罪を犯しそれでも森と生きようとします。
何度も何度も神に首を返し、そしてまた打ち取ります。

ダイジンが「人の手で返してほしい」と言った時、私はびっくりしました。
そうじゃないだろ。なんでそこでそれ言うのと。

切ないなあ。
一日で咀嚼しきれなかったので、また見に行くと思います。



まだまだかんがえがいがありそうです。

最後に一言・・・芹澤、推せる!

ハウルのおつきのものはいつだって神木君だ。
マルクル、大きくなったね。

うましかて!

芹澤君(cv神木隆之介)、推せます。
なんかダサいとこも、いいね。
この後、環さんをめぐって漁協の岡部さんと三角関係になってほしいです。
芹澤君は若い女の子じゃなくて年上がお似合いだと思います。
地元のスナックでのけんかのシーンでは当然「けんかをやめて」を流しといてください!

ニャニャニャ~♪


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