見出し画像

ガンダム SEEDの劇場版『FREEDOM』

しばらく前から、
観に行こうかな、
ちょっと行きたいなみたいな
感じはあったけど、
「観に行ってもたぶん
そこまで面白くないだろう、
お金も電車賃含めて地味にかかるし、
損した気分になるかも、
働いてないし収入がない自分が
行くのは贅沢というか
お金使いすぎになるかも、
お金が減るの怖いし、
とか
「特別な関係で気分転換とか
幸せになろうとしてる
やつだから、
これは自我の罠かも」
とか、
地震に募金してないのに
映画にお金使うのは
自己中心的かもしれないとか、

そんな感じのことがグルグル回って、
今回は行けないかも、
風呂にも入れないし、
と思っていたら、

この記事で書いた奇跡的なことがあって、
Nさんに考えすぎだよーって言ってもらって
「グルグル考えてないで、
とにかくやってみよう。
ガイダンスじゃないかもしれない、
間違えているかもだけど、
やってみたらいいんだよ」
とのりこさんが言っていたのも思い出して、
ちょっと頑張って風呂に入って観に行った。

映画館の上映室には
ほかにオタクっぽい若い男の3人しかいなかった。
男しかいねぇのか、、
むさ苦しいなオイ、
女の子いないのかー
とちょっと残念な気分で席についた。

メカ系の作画は完全にCGになっていて、
TV版とは雰囲気が変わっていたけど、
戦艦の巨大さが
すごくリアルだった。
TV版ではちょっとミニチュア感があったけど、
戦艦の細かいディティールを
作り込んでいて、
全長数百メートルの
巨大な戦艦が街に浮いている感じが
迫力あって、格段に良かった。

あとやっぱり、
戦争とか平和とか愛を真正面から
叫ぶSEEDだからなのか、
アニメ映画だからなのか、
ちょっと見てて痛々しいというか、
恥ずかしくなる感じはあった。

最終決戦で「愛されるのに資格なんていらないんだ!」
とか、
「わたしは愛される価値があるんだ!」
とか大音響で叫びながら戦っちゃってて、
プリキュアの劇場版を見てるような
小っ恥ずかしさがあったけど、
あまり恥ずかしくない実写映画を
選んでいたら、
こんな愛だとか真正面から大音響で
聞かせてもらえなかったなと思った。
日常生活では、
こんなセリフを大音響で聞かせてもらえる
ことはないのだ。

ドラマ部分も、
戦場で活躍できなくて
役に立てない、
強すぎるキラに劣等感を感じたり
無価値感に悩むシンとか、
他人から承認とか愛とか幸せを得ようと
とにかく必死なアグネスとか、
普通に刺さるって言うか、
自分を見てる感だった。

肝心のキラは、
「パートナー同士なのに、
他の異性に誘惑されたり、
お互いにお互いを裏切った、
裏切られた、
見捨てられたと思い込んだり」
してて、
ラクスはラクスで、
自分だけ政治とか安全な場所にいて
キラを戦場に行かせて
苦労させて、
罪悪感とか。

今年の始めから母が父の病院に通って介護をしてて、
自分だけ犠牲を払わず、
母を犠牲にしている罪悪感があるのを
思い出した。
これを捧げる機会かもと思った。

主人公キラの声優の保志さんも、
インタビューで言っていたけど、
SEED デスティニーで悟りを開いたような
感じになって、
人間らしくなくなった
キラの複雑な内面がちゃんと描かれて、
初期の
「弱くてひたすら苦しむしかできなかった、
もがきながら生きる少年キラ」
に戻った感じで、
TVシリーズ一期で自分が見てた昔のキラが帰ってきたな、
やっと帰ってきたか、みたいな
感慨もあった。
あと、保志さんが
TV版から20年越しの劇場版の
公開の感想を聞かれて、
「怖いです。
観る人によって
作品の内容に満足する人もいるし、
そうでない人もいるから、
嬉しい気持ちはあるけど、
どう評価されるのか、怖いです。」
と正直に言っていて、
こんなベテラン声優でも
気になるのか、、と
意外だった。

最後のシーンは砂浜にキラとラクスが
夕日をバックに全裸で立ってて、
いろいろ経験しての、
お互いをさらけ出して
何も隠さずにありのままに開き合える、
恥とか罪悪感とか、
そういうのに縛られてない、
みたいな感じ、
まさに
『フリーダム』さを感じた。

SEEDの最初のTV版は2003年、
自分はまだ8歳で
内容もなんとなくしかわからなかったけど、
家族もいるリビングのテレビで見てたら
いきなりオープニングで男女が丸裸で
描かれたて、
女性キャラのおっぱいもしっかり描かれてて、
明らかに「これ子どもが見ていいもんじゃないぞ」
と体がカッと熱くなる恥ずかしさを
感じてたけど、
20年経って、
丸裸の意味が少し理解できた。

オープニングから劇場版まで、
20年かけて、
「全裸にはじまって、全裸に終わる物語」
だった。
人間はみな、裸で生まれて、
裸で死んでいく。

ガンダム SEEDが描いたのは、
人生そのものだった。

チケット代は1900円だったけど、
全く損したと感じない。
むしろ安く感じる。
行ってよかった。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?