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日本画ってなんですか


日本画ってなんですか?

因みに僕の作品は百発百中で日本画かと聞かれます。必ず、油絵です。と答えていますが…

何をもって日本画なのかと説明できる人って実は絵描きでも少ないんじゃないかと思っています。現に素材さえ明かさなければ僕の作品を日本画以外の認識で見れる人はかなり僅かな印象を持ちます。

日本にいて自分の国の絵画・美術をちゃんと知ってる人、知ろうとする人は意外と少ないです。

現代における日本画と呼ばれる作品って画材についてしか辞典でも述べられていません。墨、岩絵具、有機色料、箔を一部使ってますってだけで基本となる描画技法は洋画の物なので(例えば、デッサン技法や明暗の捉え方、絵具の盛り方など)、明確に何を以て日本画と言ってるのかハッキリ説明できない、精神性ばかりテーマの自称日本画が多すぎて辟易とするばかりです。アクリル絵具使ってたりするし、その程度でどうやって日本の文化に誇りを持とうと言えるのでしょうか。

「何処が日本の絵やねん。」って思った事ないですか?(洋画とかわらんやん、やってる事)って僕は高校くらいからずっと日展など大きな展覧会で日本画のコーナーの作品を見るたび思っています。顔料使ってるなら洋画だって使われてるし、日本画という絵画ジャンルは極めて曖昧な表現媒体とも言えます。例えば浮世絵を日本画と呼ぶ人は案外少ないですよね。僕からすれば浮世絵ほど「日本画」という名にふさわしい絵画は思い浮かびません。あくまで日本画とは「洋画」に対抗する為に明治以降に生まれた自国の様式でとても曖昧な文脈のままで今日に至るわけです。逆に明治以前の絵画は日本画ではありません。日本絵画と呼ばれ、主に飛鳥時代あたりから江戸時代にかけて日本で起こった絵画様式を指します。(※飛鳥時代以前も絵画はもちろんありますが、中国(唐や隋)から伝わった漢画の影響で大きく発展した飛鳥時代から日本の絵画表現はどんどん進歩していきました。)また、明治以降入ってきた油絵なども日本絵画の系譜として書かれている本もあります。その中でも日本画という言葉は洋画(西洋画)に対抗して生まれますが明確に定義されずにいる曖昧な表現となってしまっています。

以前、研究分野の間では明治以降と以前とで時代によって日本画と日本絵画を明確に分けて述べられる事を日本美術を研究されてる院生の方からお聞きしました。

僕も数年前までは、自分が日本画と思っているものと現代の日本画と呼ばれているものに違和感をとても感じていました。大学の日本画専攻の生徒の作品を見ても自分たちの洋画(油画)分野とやってる事が変わらないじゃないか、日本画なんて言ってるけど岩絵具で描いてるだけで描き方や構成などは洋画と殆ど同じならそれはもはや洋画じゃ無いかと…素材で日本画かどうか決まるのなら素材的に殆ど変わらない中国画(山水画や南画など)は何を持って中国画なんですかってなりませんか?西洋画はとは?なんて事を日本画コースを専攻していなかった僕は強く感じたわけです。そこに関しては専門で学んでないので。そして自分がずっとこれこそ日本画と思っていた絵画たちは正確には日本絵画でした。(もっと細かくすると、墨絵、仏画、やまと絵、狩野派、琳派、浮世絵など明治以前の絵画群)

このモヤモヤを、その院生さんはスッキリさせてくれました。少なくとも自分が抱いていたこの疑問や考察は間違っていなかったのだと感じさせてくれました。なのでとても感謝しています。

実は僕が(勝手に)提唱する日本絵画の技法三大要素があります。この要素がちゃんと描かれている作品は十分日本絵画として体をなしていると言えると考えています。それは、「1.線描(単一的な線とは違い多様な線を巧みに用いている)、2.濃淡(特に淡さ、モノトーン調な色彩など)、3.余白(何も描かれていない背景や空間へのアプローチなど)」の3つです。この三大要素をちゃんと用いた絵画こそ日本絵画と呼べるのではないかと思っています(※現代の表現の発展を考慮して、必ずしも3要素が備わっていないといけないわけではないが、あくまで現代に於いてちゃんと日本絵画を理解して描いているかの判断要素としてこの要素は大切だと考えます)。他に茶道に代表するもわびさびもあったりしますが、安土桃山時代など戦乱の作品は金箔を多く使った使った豪華絢爛な作品も多い事から絶対的な要素とまでは言えないでしょう。よって、現時点ではこの3つが特に日本絵画にとって重要だと僕は絵描きとして考えています。(個人的に行安本人は侘び寂びや儚さなどの諸行無常的な品のある美しさが好きなのでそう言った作品を多く描いています。)

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愁夏思秋蓮図 2016  

「日本画」って結構曖昧な言葉なんですね。皆さんもざっくりとなんとなく見るだけではなくて、もう少し掘り下げて表現を見てみるともっと面白い発見や気づきと出会えるかもしれませんね。

僕も僕なりの、日本人として何を表現出来るのか、将来、より世界に向けて社会に価値のある日本絵画を目指すべく、アンチ日本画的な作品ながら地道に頑張りたいと思います。


最後まで読んで頂きありがとうございました。でわでわ

(日本画描いてる人にはめっちゃ怒られそう、というか嫌われそうな文章だなぁ…)

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蓮 -黒-    2014  

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