余裕ぶっこいて生き延びる ～周回遅れのステイホーム～
社会隔離中のホーチミンは、不要不急の外出が禁止で、最大15000円程度の罰金がくだされる。
今私が一番気になっているのは「犬の散歩はOKか？」ということだ。
犬の散歩で注意されただか罰金払わされたという噂も聞くが確実かは分からない。
しかし、その噂を聞いて犬の散歩を控えている飼い主は確実にいる。
急に散歩できなくなった犬たちの健康は大丈夫だろうか。
便秘になったり、ストレスで暴れたりしないだろうか。
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道でバドミントンしていた夫婦が罰金を払わされた。
ランニング中の人が逮捕された。
それは、まあ、いい。
（感染拡大防止の観点からしたら「そこまでする必要ある？」とは思うものの、「不要不急の外出禁止」を徹底すればそういう適用になるのは理解できる。一貫性があるなとすら思う）
しかし、犬の散歩は（少なくとも犬にとっては）要で急じゃないか。
おそらくベトナムの犬は放し飼いが多いため、「家で飼われている（主に外国人たちの）犬は散歩が必要」という認識がちゃんと行き渡っていないのだろう。
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イタリアのロックダウン中は「犬の散歩はOK」とされていた。
そのため、外出したい人のために「貸犬屋」が現れたと聞いた。
私が住むレジデンスでは敷地内でランニングした人が連行されたらしく、以後ランニングする人はいなくなった。
しかし、子供（とその付添いの親）がキックボードで遊んだり、バスケットボールでドリブルする姿は見られる。
子供が外で遊ぶのは多少は許されているように思う。
だとしたらそろそろ「貸し子供屋」が現れるだろう。
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私は今、時間もお金もメンタル的にも余裕があるから、よその犬すら心配する余裕がある。
他にも心配なことは多々ある。
同居している姉がF0になった友人。
家族は全員F1扱いで自宅隔離となった。
50代の母が発熱し始めたが病院行きを断固拒否している。
普段から病院嫌いで、自然治癒力で治すのが信念らしい。
自宅に調理器具がなく、今回のデリバリー禁止措置により不健康な食生活を余儀なくされている友人。
「ギリギリ生き延びる気があるので大丈夫です～」とSNSに書き、知人からの差し入れもお断りしていた。
しかし、ギリギリでなく余裕ぶっこいて生き延びる気でいてほしい。
ただでさえステイホームでストレスが溜まっているのだから、栄養を取りすぎるくらいで丁度いいのだ。
いつもと同程度あるいはそれ以下の健康管理だと、あっという間に鬱になる。
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パニックになったり、栄養や睡眠時間が不足すると、判断力が低下する。
その低下したままの判断力で、パニックに対処しないといけないのは酷だ。
せめて「自分は判断力が低下している」という自覚を持っているうちに、「まともそうな他者に判断を丸投げする」という判断をしてほしい。
「病院行け」とか「野菜食え」と言うのは簡単だし、「親切なフリ」ぐらいにはなる。
（そしてそれは「フリ」でしかない。もし本気で相手を助けたいなら、病院に引っ張るべきだし、野菜を送りつけるべきだ。しかし私にもそこまでのリソースは無い）。
そうこう手をこまねいているうちに、相手の判断力は更に下がる。
そして、せっかく来た救いの手を拒否するレベルの判断力低下に陥ると、もう手遅れだ。
自分も巻き込まれ事故を防ぐために相手から距離を置くしかなくなる。
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実はベトナム政府のことも心配している。
2ヶ月前までは見事な封鎖・隔離政策を決めてコロナを抑え込み、世界の中でも優秀国と言われていたベトナム。
多少過激な措置はとるものの、効果があったため、その点について何ら心配せずに過ごせていた。
しかし今回のロックダウンで
「外出禁止→検問設置。外出許可証提示→検問を通ろうとする人で大混雑。密発生」
という悪手もとられた。
https://zingnews.vn/dung-hon-300-chot-giam-sat-tphcm-chuyen-sang-tuan-tra-luu-dong-post1238162.html
（しかしこの検問は昨日なくなったらしい。過激なこともするが、間違ったと思ったらすぐ引っ込める点は、ベトナムの良いところだ）
政府も人のようなもので、パニクると判断力が低下する。
私は外国人なので、ベトナム政府がヤバくなったら「巻き込まれ事故を防ぐために距離を置く」すなわち帰国という手段が取れる。
しかしベトナム人の友人たちは当然そうできない。
友人も、犬も、健康で余裕ぶっこいて生き延びてほしい。
それと、すべての人が余裕ぶっこいて健康であるために、せめて同居家族（犬含む）との散歩は許可されてほしいものだ……
渋澤怜（＠RayShibusawa）
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