R&Dゲート

R&Dゲート

最近の記事

生体高分子のサイズとは?

生体高分子のサイズとは? タンパク質、DNA、糖質などの生体高分子のサイズ(大きさ)というと何を思い浮かべますか? これら生体高分子は通常立体構造をとっており、また他の因子と相互作用をしたり、修飾を受けるなどをしています。そのため、サイズと言っても、その生体高分子が存在している状態、更にどういった手法で解析したか、で得られる数値が異なります。今回はタンパク質を例にサイズと言う概念がいかに曖昧かをお話します。 <タンパク質とは> タンパク質を最も単純な形にすると、アミノ

    • ガラスの物性を決める原子レベルの構造

      ガラスは非晶質体であり、その原子構造は規則性がなくランダムであるとされています。しかしガラスの成分(組成)や成型方法、温度履歴によって特徴的な原子構造を形成し、これがガラス材料全体の物性に大きな影響を与えることが知られています。 なぜガラスの構造は温度履歴に依存するのでしょうか。そもそもガラスとは、結晶より自由エネルギーが高く(不安定)、無秩序な原子配列をとる固体です。 これは融液を急冷した時、急激な粘度の増大により原子配置が安定な位置に追従ができなくなり、準安定状態をとる

      • 科学的な観点から見たガラスの分類 ガラスの定義、用途に応じた成分・製法選び

        「科学的な観点から見たガラスの分類 ガラスの定義、用途に応じた成分・製法選び」 窓から差す太陽の光、コップの中の液体、ディスプレイ越しに届く情報、…見えないようでそこにある「ガラス」を通して人は様々なものを見ます。ガラスは光学的透明性の高さだけでなく化学的・熱的耐久性や絶縁性にも優れていることから、半導体の基板、壁の中の断熱材、放射性廃棄物の固化体など、実は目に見えないところでも社会基盤を支えています。 そもそもガラスの定義は学術的にいくつか存在しますが、その共通点は

        • 計測や測定における「誤差」という概念はもう古い?

          計測や測定における「誤差」という概念はもう古い?  「誤差」という言葉は計測や測定において、一般的な用語のように使われてきています。誰もが、「測定値、計測値と真値との差」と答えるでしょう。しかし、実は、国際基準では、この「誤差」という言葉を使用せず計測測定器を評価するように定められています。 「誤差評価」から「不確かさ評価」へ  そもそも、計測や測定において、「真値」という、「神のみぞ知る値」を使うこと自体ナンセンスだと言われると、首肯せざるを得ません。  なぜならば (

        生体高分子のサイズとは?