無記名。

ことばが好き。ことばが好きな人が好き。

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わたしのすきなもの2024

年始から好きなものを頭に巡らせて、幸せに生きようねという試み 昨年版↓ 1.二度寝 起きれんくなるって思っててもやめられん 2.おさんぽ 知らない街を歩くのも、見慣れた街を歩くもの大好き 3.知らない街の本屋さんに行くこと 個人経営の本屋さんに行くのが元々好きで。旅行先では必ず本屋さんに行くのが決まり。 4.タオルケット ずっと包まれていたいな 5.ドラム 上手ってわけではないけど、ドラム叩いてるとモヤモヤした気持ちがなくなる 6.古着屋さんのにおい

    • 手動エスカレーター

      エスカレーターに乗っている、幼稚園児の私とママ。 淡々と生み出されるエスカレーターの段に足を乗せることに毎回躊躇してしまう。ママは「せーの」という掛け声とともに、繋がれた私の右手を持ち上げた。 一度両足を乗せれば、そこは安全地帯。私とママを上階まで運んでくれる。 私は左手をエスカレーターの壁に沿わせ、後ろに後ろに左手を押した。それが好きだった。 そうすると、なんだか私が自力でこのエスカレーターを動かしているような錯覚を覚えることがでたのだった。 そうやって、世界に関与

      • あとちょっとで22歳

        今日で大学3年生がおしまい。私はあとちょっとで22歳になる。22歳という響に、そわそわ。なんか、ぐんと大人になったみたい。 大学3年生を振り返ってみる。大学3年生は、 夢が見つかった。 研究が楽しいということに気づいた。 普通に生きることを諦めた。 全国各地、いろんなところを旅した。 知らない土地で、友人ができた。 本屋さんに行くのが好きになった。 誰かと共に過ごすことを、尊いと思えた。 深くて青い海を見た。 すごい大人に出会った。 ありえないくらいバイ

        • ことばに殺されそうだ

          最近は、誰かに話を聞くという行為を生業にしている。 それは人のことばをくすねる行為である。それは善意によって成り立つ窃盗に近いため、誰かに向けたことばはそれ相応のものでなければならない。 行ってらっしゃいと見送ったことばが、あなたに捕まらなかった。 破裂する。場を支配するのは、他ならぬ静寂である。昨朝の微睡を憎んだ。 いつからか、ことばは静寂を刺し殺すための道具になった。そうなるともう厄介だ。そこにあるのは暴力だ。 ことばに雁字搦めになり、ついに行き場をなくした私に彼は言

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        わたしのすきなもの2024

          発熱。身体。可哀想な僕たち。

          心と身体が少しだけずれている気がして、手のひらを強く握ってみたことがあった。 あたしの抱える現実へのどうしようもない懐疑心がいくところまでいったかと思ったら、普通に発熱していた。 ・ ・ お昼過ぎになると、部屋のなかに太陽の片割れが入ってくるので、あたしはそれをどうにかして掴もうとした。 人肌なんかよりも確かな、おひさまの温もりを欲していたのだ。 ・ ・ あの殺人鬼もかつては赤子で お腹が空いて泣き喚くと、みんなが可哀想にと微笑みながらご飯を与えた。 ・ ・ 僕たちいつだって

          発熱。身体。可哀想な僕たち。

          無題

          最近は寒くってね。外の世界に行くには相当の覚悟がいるの。縮こまった筋肉が割れて、粉々になってしまうような気がするから。 午前4時、ワンルームに散らばった空気は張り詰めていて、滞在を許してくれない。意識なんか手放してくれば良かった。身体だけベッドに預けて、遅れた今日を待てば良かったんだ。 みんなが知らない今日を私は知っていて、悲しみの先取りをしている。ばかみたいだ。 誰かを愛することや、愛されることに迷いがない人というのがこの世にはいて、その事実に苦しくなる。 あなたを愛

          生活の音が聞こえる

          秋から休学している。 2年後の大学院入試を見据え、研究が楽しくて仕方ないし、県外に調査にも行きたいし、時間欲しいし、じゃあもう休学しちゃえ、となったのだ。 休学をするという判断が推奨されるのは、私の大学の利点でもある。 しかし外部から見れば、4年間で大学は卒業するべき、という規範からぽいぽいと脱するこの行為は異様に見えるらしい。説明にかなり時間を要する。 加えて、同じ大学内で休学している者を見渡すと大半が語学留学やワーホリなどを理由にしていることも気がかりである。休学の向か

          生活の音が聞こえる

          ある夏の散文

          憧れ、という暴力を理解しながらも、やっぱり、わたしが憧れてたまらないひとたちは、みんな美しい言葉を紡いでいる __________ 文庫本に、鼻をびたぁびたぁと浸してみます ことばの絡まりが、こそばゆい 券売機に吸い込まれていく千円札、あたしより必死に生きてて笑っちゃった もっとここにあいまいな嘘が残り続けてもいいよ そう思えた午前9時、ドアが閉まる音にあなたを感じる ことばで括られたの、わたし だからこの世界からことばがなくなった瞬間、消えるね あなたと空気を共

          ある夏の散文

          揺らぐ衣服、揺らぐ自己

          "ファッションの系統が定まらない人は、自己のアイデンティティが確立していない" どこかで聞いたその言葉は、自分の中にすとんと落ちてくるものだった。 私は、衣服を見に纏うことが好き。 古着が好き。モード系のお洋服も好き。スカートが好き。でもズボンも楽。ダボダボしたものを着ることもあれば、ときどき大人っぽい服が着たくなる。カラフルな色を使う日もあれば、全身黒の日もある。アイドルが好きだから、彼女たちが着ているようなフリルやリボンであしらわれた服も好き。若いうちにゴスロリとか

          揺らぐ衣服、揺らぐ自己

          分岐点

          「実感湧かないわ」 もうじき留学のため、日本を発つ同期が言う 「大丈夫なんかなぁ、不安やぁ」 来春からワーキングホリデーに行くらしいもうひとりの同期が言う 「この選択が正しいのか、怖いよ。茨の道だし」 大学院に進学したい私が言う わたしたち、今きっと分岐点にいるんだね 新しい生活にワクワクして、不慣れなパソコンの使い方に苦戦して、機械系に強い友人が神様みたいに思えたあの時 今だったら「ありえない」と糾弾し得るような、教授の理不尽な態度も全部全部素直に聞いて、ノ

          絵画鑑賞

          畏れや尊敬が先行して、どぎまぎして、上手に喋ることができなかったゼミの先生と、最近ようやくリラックスして話せるようになった。 研究室で研究についての不安を吐露していたところ「〇〇さんは、真面目だよね。学級委員長っぽい。学校に行っていなかったようには見えない」と言われた。 「学校に行っていなかったようには見えない」 大学に入学して、何十回と言われた。不登校なんて、どんな人でもなるよ。きっかけなんてなんでも良いんだよ。 そうこう話している間に冒頭の問いを投げかけられた。 な

          親友のような恋人、恋人のような親友

          「この人が見ている世界を一緒に見たい」 そう思えるか否かが、私が誰かを好きになる時の判断軸だ。 元来興味の幅が狭い私。ベッドで思い切り寝られて、好きな音楽や本に触れることができたら、その他には何も望まないというマインドになっている私。そんな私が、新たな世界を見ようと思うのはよっぽどのことなのだ。 昔の恋人たちのことを思い出す。「彼」というフィルターを通して知った世界のことを思い出す。 サッカー。アニメ。映画。バスケ。バイク。ベース。ハイブランド。煙草。メロコアパンク。

          親友のような恋人、恋人のような親友

          アイドル

          この話はフィクションです。 大学に入ってから少し経った頃、アイドルグループのメンバーとしての活動を始めた。大手のグループではない、所謂地下アイドルだった。 アイドルが好きだったから。それがメンバー入りを決意するに至った理由だった。 レッスン初日。練習する曲は事前に知らされていて、私は振り入れを半分に残したままスタジオに入った。 動画を見ながら、残りの振り付けをなんとか身体に叩き込んでいく。 その様子を見ていた先輩が言った。 「え、振り入れ終わってないとかありえないから

          日常

          「見惚れてしまいました」 そう声をかけられたところから、私の休日は始まった。 私は駅のホームに座り、新書を読んでいた。右手にペンを握りしめながら。 敬愛する先生と先輩に「本は3度読め」と立て続けに言われたため、最近はそうするようにしている。線を引きながら、ページを捲る。 視界の隅で、誰かの視線を感じた。体勢を変えるふりをして視線の方をちらりと見た。60代くらいの女性が、こちらを見ていた。 「ごめんなさいね。私の若い頃みたいだなぁと思って。あまりにも熱心に読んでいたか

          あの人と目が合って、声が上ずって何も言えなくなった。あの人の連ねる言葉、音声を通して表象された思想、その場の空気を掌握する表情。なんだか涙が出そうになった。今日のうちに長い文章にしようと思ったけど、あの人の書く文章を読んだ直後では全てが稚拙に思えてきた。すごいもん見た。寝る。

          あの人と目が合って、声が上ずって何も言えなくなった。あの人の連ねる言葉、音声を通して表象された思想、その場の空気を掌握する表情。なんだか涙が出そうになった。今日のうちに長い文章にしようと思ったけど、あの人の書く文章を読んだ直後では全てが稚拙に思えてきた。すごいもん見た。寝る。

          よるがあけたら

          タクシーを降りると目の前を猫が横切った。よくよく見ると1匹ではない。黒、黒、三毛。3匹の猫たちは真っ直ぐと列を作り、どこかに行ってしまった。きっと家路に着くのだろう。私も家に帰らなければと思うが、胃が寂しいと言った。コンビニに行って適当に菓子パンを買った。寂しさを埋める道具はなんでも良かった。適当な買い物のはずなのに、10分かかった。 赤に変わってしまった信号に気づかないふりをして、走った。足の底が地面についた時に筋肉が硬直して、何かが震えて、そこではじめて自分の身体を意識し

          よるがあけたら