DAY DREAM BEAT

私にとって、いちばん大切な曲の話をします。

何を見ても、何を聞いても、あのころの私には本当に何も響いてこなかった。何のために生きているのかをいつも自分に問いかけて、そして生きている意味なんてないといつも自分で結論づけていた。毎日、朝が来る度に、今日こそ全てを終わらせようと思っていた。私の毎日は、いつだってこんなにも暗い気持ちで始まっていた。本当に、全部が苦しかった。生きるという行為をすればするほど、自分が独りだということを突きつけられた。生きる意味なんてどこにもなかった。探しても、見つけられなかった。あの頃の私の気持ちは誰にも分かってもらえなかったし、別に誰にも分かってもらいたくなかった。だけど私が生きていること、学校に行っていること、その全てを当たり前だなんて言われたくなかった。あの頃の私にとっては、生きることも学校に行くことも何も当たり前じゃなかった。頑張らないとできないことだった、勇気がいることだった。

この傷はずっと消えないけれど、誰にも見えないから、誰にもわかってもらえないし、救ってなんかもらえないって思ってたんだよ。でも、そうじゃなかった。

終業のベルで一目散 牢獄を抜け出した
一緒に帰る友達がいなくてよかったな

だからこの歌詞は、絶対に私のことだし、この曲は、絶対に私の曲なんだ。

DAY DREAM BEATを初めて聴いたあの日のこと、今でもはっきり覚えてる、あのときの感情も全部。私の、あんなにも汚くて惨めな毎日を、こんなにも前向きに歌ってくれるこのバンドに、私は全てを救ってもらった。学校のことを牢獄だと言ってくれて、一緒に帰る友達がいないことを良いことのように言ってくれた。この曲を聴いて流した涙、止まらなかった涙、あの涙と一緒に、私の今までの全てが流れていった気がした。忘れたんじゃなくて、前を向けた。やっと、やっと前を向けた。前を向いてはじめて、私が後ろしか見ていなかったことに気付いた。あんなにも苦しかったひとりぼっちの登下校が、ハンブレッダーズの音楽に出会ってからはかけがえのない大切な時間になった。もう一度聴きたくて遠回りしたことだって、大切な思い出だよ。

高校2年生の冬、初めて行ったハンブレッダーズのライブ、途中のMCで「毎日学校に行って、仕事に行って、本当にすごいと思う」と言ってくれた。私はそのときに初めて、生きててよかったと思った。ハンブレッダーズは、生きる意味をくれたと同時に、今まで生きてきた意味もくれた。それで私はやっと、あの気持ちもあの記憶も全てを昇華することができた。

ハンブレッダーズに出会ったあの日からもう2年以上経った。今でも変わらず、DAY DREAM BEATは私の曲だと思っている。ハンブレッダーズの曲は、もちろん全部大好きだけど、やっぱりこの曲にはずっと特別な想いを抱いている。私にとってハンブレッダーズの音楽は、本当に好き嫌いの次元ではなくなっていて、生きていく上で、なくてはならないものになった。

私は、ただハンブレッダーズが好きなだけではなくて、明確に彼らの音楽に救われた過去がある。だからきっとこれは依存にも似た感情なのだと思う。例えこれが依存なのだとしても、きっと悪い依存なんかじゃないんだろうな。だって私は、今の自分が好きで、今が最高だと思ってるから。

自己啓発本みたいな歌に騙されんな
大人になればわかるなんて嘘だ

本当に、出会えてよかったと思うんだよ。いつだって嘘をつかずにいてくれてありがとう。まっすぐに伝えてくれてありがとう。現実は厳しくて、嫌なことなんて数え切れないほどあって、全部投げ出したくなることだってある。それでも私にはハンブレッダーズと過ごしたいくつもの夜の記憶があるから、ヘッドフォンをすればいつでも救ってくれる彼らがいてくれるから、だから前に進み続けることができてるよ。音楽ひとつに人生を変えられるなんて、思ってもなかったな。

私を救ってくれたこのバンドは、私だけのものであってほしいと思うことだってあるよ。だけど、知らない誰かも彼らに救われているのなら、それ以上に嬉しいことはないよね。いつか知らない誰かと、そんな話ができれば素敵だよね。

きっと、後にも先にも、こんなにも出会えてよかったと思える存在が現れることはないと断言できる。間違いだらけの私の人生で誇れること、それは彼らに出会えたことであり、彼らに命を救われたことだと思うから。





最後に、この3曲の歌詞の繋がりが本当に大好きで、どうしても書いておきたかったからここに書いておきます。

ひとり登下校中 ヘッドフォンの中は宇宙

DAY DREAM BEAT

ハンブレッダーズに出会った頃、本当にヘッドフォンをしている間だけは無敵だと思えた。授業中もこっそりイヤホンをつけてずっと聴いてた。私の青春には、友情も努力も勝利も似合わなかったけれど、夢中になるものを見つけて、それだけにまっすぐだったあの日々は間違いなく青春だったと今なら思えるよ。

ヘッドフォンの外にも宇宙があったんだ

ライブハウスで会おうぜ

ハンブレッダーズのライブに行くようになって、私は居場所を見つけた。この曲のこの歌詞を聴いたとき、なんでハンブレッダーズはどこまでも私のことを歌ってくれるんだろうと思った。愛も平和も、全部そこにあったよ。いくつも重ねた死ぬ間際の走馬灯になりそうな夜は、全部全部大切でどれも忘れられない。

忘れた際にはヘッドフォンを
宇宙旅行にロケットは要らない

ヤバすぎるスピード

宇宙旅行なんて行ったことないんだけどさ、私がみてる宇宙は、きっと、本物のそれよりもずっとずっと素敵なんだと思うんだ。これからも、ハンブレッダーズが連れていってくれる宇宙で過ごす夜を、重ねていけますように。

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