記録

生きていると、常に選択を迫られる。出会わないほうがよかったのかと自問自答する夜は、私が望んでいなくても勝手にやってくる。どこにも答えがない問は、この世の中にたくさん存在していて、そんなものに使う時間はないはずなのに、私はそんなものにいちばん時間を使ってしまっている気がする。誰かに無駄だと言われるものが、私にとっては捨てられないものだったりするから。
私はさ、この出会いを後悔したくないんだよ。行き着く先がどんなふうだったとしても、出会えてよかったと思っていたいの。

別れを受け入れられなかったあの頃の私は、「別れがあるから出会いがある」なんて言葉が憎くて仕方なかった。新たな出会いなんて無駄だと本気で思っていた。別れがあるのなら、こんなにも悲しい思いをしないといけないのなら、もう誰とも出会いたくなんてないと思っていた。
でも違ったね、全部必要だった。あの頃、あの世界が全てだと思っていた私は、きっと幸せだったんだと思う。だけど、それだけではだめだった。思い出すだけで泣いてしまうような別れを経験するのは、全く無駄なんかじゃなかった。
わたしの思いや望みなんてお構い無しに、別れはいつだってやってくるけれど、大切な出会いだってちゃんとやってきてくれた。思い出になったあの人と、あの頃と、比べることはできないけれど、今が思い出にならなければいいなと思うよ。それが可能だとか不可能だとか、そんなことは置いておいてさ。
そんな今を、これから先も、ずっとずっと積み重ねていきたい。思い出にしたくない沢山の瞬間を、思い出にしたいの。

出会えてよかったと思うきみには、まっすぐな想いを伝え続けていたいよ。自分の想いを伝えること、それは本当に勇気がいることで、私にとっては怖いことでもある。だけど、だけどさ、やっぱり伝えないと伝わらないから。悔いがないように生きるなんて、そんなの無理だけど、後悔を1個でも減らすことはできると思うんだよ。言わなくても分かるでしょ、とか、察してよ、とか、そんなこと言いたくない。言わないでほしい。私の言葉で伝えることに意味があるし、きみの言葉を受け取ることに意味があるんだよ。
わざわざ好きだなんて伝え合わなくても、もう分かってるんだけどさ、それでも私はきみがわざわざ口にする好きを欲しがってしまうから、私だってちゃんと伝えようと思うんだよ。

記憶はいくらでも美化できるし、正当化できてしまうけど、記録はあまりにも頑丈だから、怖かったんだよ。でも、どんなに美化した記憶の何倍も、何十倍も、今のほうが素敵だよねってきみが言うから、私は思わず笑っちゃって、気付けば写真も動画も、たくさん撮るようになったよ。
未だに、私は誰のことも上手く信じられないよ。どれだけ強がっても、私が弱いのは変わらないし、誰にも見せたくない脆い部分だって沢山ある。だけど今は、きみになら分かってほしいと思ってる。

いつかのnoteでも書いたけれど、自分の弱みをさらけ出せるのは強さだと、私は思う。
これはわたしが強くなるための、第一歩。


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