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糖尿病の患者指導に活かすSDHの知識⑤「処理能力への負荷」・トンネリングとは


こんにちは。疾病を予防して健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。

とは言え、過去10年ほど、生活習慣病やロコモ・フレイルの予防活動を続けていましたが、何となく手応えがなく指導の方法を悩んでいました。

特に糖尿病の指導で、やらなければいけない事はある程度決まっていますし、個々は簡単な事なのですが、それがなかなか続けられない。他人の生活習慣を変えることは難しい事を痛感しました。

「人は人」「人は変えられない」と割り切れば良いのかもしれませんが、これを言った途端に、医療専門職としての責任を放棄した事になると思い、できるだけ最善の事は考えていこうと学習を続けていたところ、SDHの概念にぶち当たりました。



今回は、SDHの「処理能力への負荷」についての説明と対応を記事にしました。

ハーバード大学の経済学者センディル・ムッライナタンとプリンストン大学の心理学者エルダー・シャフィールが指摘しているように、重要な資源が不足していると、その不安に思考を支配されて、直近の事しか考えられなくなる場合がある。この「トンネリング」と呼ばれる現象により、人はしばしば劣悪な意思決定を下し、将来そのツケを払わされる羽目になる。

アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン 著
ライフシフト2 pp82-83


トンネリングを糖尿病患者に当てはめるとどのようなことが言えるでしょうか?

生活に困窮していたり、仕事に追い詰められていると、そもそも治療に専念できない可能性があります。このような方に、正論を言っても、アドバイスを受け取ってもらえませんよね。

すぐに何ができるわけではありませんが、「何も考えず、指導マニュアルをそのまま伝えた」はNGだと思います。

しっかり話し合う中で背景を探り、時には家族や職場の同僚・ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカーなど多方面からアプローチする必要がありそうです。


まとめ


糖尿病患者に対する生活指導役立てるSDHの知識を紹介した

処理能力の負荷では、目の前に生活の問題点があると、他の事をしっかり考えられないため、健康管理などは二の次になってしまう

効果的に指導を行うためには、日常生活の直近の困りごとの改善が優先される場合がある。この時には、家族・同僚・他の専門職(ケアマネジャーやMSW)の協力が必要である


今回も、記事に目を通していただきありがとうございました。
この記事は、職場の勉強会で使ったスライドをリライトしています。
きれいにまとまった箇所から小出しにしていきます。

栄養サポートチームから糖尿病について、30分講義をして欲しいとあったところにSDHを持って行ったので、フロアは当初ポカーンとしていましたが。徐々に、重要と思っていただけたようで手応えを感じて、記事にしています。

健康日本21に、健康寿命延伸と、健康格差の是正が挙げられていますが、おそらくは両輪の関係になると思うので、両側からしっかり攻めていきたいと思っています。引き続きよろしくお願い致します。



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