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映画感想『アネット』

この映画は4月に有楽町角川に見に行きました。カラックス本人が舞台挨拶をする回でチケットはネットで一瞬で売り切れたんですがなんとかゲットできた。自分の中で賛否両論という不思議な映画でした

ストーリーはこんな感じ

■カラックス監督がスタジオに入るとスパークスが歌い出す。
娘のナスティアが寄り添う。アダムドライバー、マリオン・コティヤール、スパースクのメンバーは歌いながら通りに出る。
■スタンドアップコメディアンのヘンリーのステージ、彼はGod of ape
と呼ばれる人気者。ソプラノ歌手のアンと結婚した。
■まもなくアンが妊娠カワイイ赤ん坊が生まれた、名前はアネット。しかしマスコミでアンはスター、ヘンリーは落ち目と記事を書かれる。不仲騒動を打ち消すようにヨットで海に、嵐の中デッキに出ると酔っぱらったヘンリーがダンスを踊ろうといい、はずみでアンは海に転落。
ヘンリーはゴムボートにアネットを乗せ上陸した。岸辺で赤ん坊のアネットが歌い出した、まるで妻のように、、、
■ヘンリーは指揮者と組んでアネットの歌のコンサートをしようと思いつく。赤ん坊の歌声は反響を呼ぶ
■指揮者のアンとの情事のことも告白、アネットは自分の子供かもしれない、、その夜、ヘンリーはプールサイドで指揮者を殺す、アネットは起きて一部始終をみていた。
■最終公演はスーパーボウルの会場、ドローンに運ばれステージに上がるが大観衆の前で歌えない、ついにはパパは殺人犯と告発
■警察での取り調べ、裁判。監獄にいるヘンリーにアネットが面会にきた。(人形から本物の子供に)、、パパを許せないというアネット。
面会時間が終わり、守衛がアネットを連れ出て行った。床に人形のアネットが横たわる
エンディングロール、アダムやマリオン、出演者の列は進む

カラックス監督というとパンク好きだった自分の学生時代にメチャはまっていた。『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』などなど若いころの自分の感性にはドンピシャでしたね。その後こっちも大人になるとこんどはカラックスの映画に興味が無くなってしまった。
でも『ポーラX』『ホーリーモーターズ』など新作は追いかけて劇場でみたけど、学生時代のような興奮はなかったなあ。まあ映画って観る年齢によって受ける影響は違いますね。

還暦を過ぎたカラックス監督は黒い革ジャンを着てパンク少年のままでした。小柄でシャイでうつむき加減にしゃべる姿をみてああこの人は昔のまま変わってないんだなあと妙に安心感。変わったのは自分の方だったのかも。

映画の方は奇妙だとしか言いようのない作品で自分の中で賛否両論。一応ミュージカルをつくろうとしているんだけど当然普通のミュージカルになるわけもなく。

自分自身を学生時代に巻き戻してこの映画を見るモードと、そうはいってもカラックス本人が現代的に作ろうとしている部分をちゃんと評価しようというモードのせめぎあい。『ホーリーモーターズ』のときもそうだけどカラックスって結構ハイテク描写好きだよね。人形はAIとかアンドロイドのような感じで、でも最後人間になる。最後はつくりものの世界じゃなくて人間になったんだと思う。人形は捨てられている。
つくりものの世界が終わるとミュージカルも終わっちゃう、そこには普通の現実が、、、、

正直言えば学生時代のような興奮は得られないんだけどこれは必ずしも映画自体が悪いわけではなく、自分が年とったのと世界側が年とったこともある。という意味ではまさに今作られる映画なんだなあと思う。

冒頭のカラックス本人が登場してアダムドライバー、マリオン・コティヤール、スパークスが歌いだす場面と、エンドロールに重ねて出演者たちが行進する場面は不思議に感動的で感動的な冒頭とエンディングに挟まれた奇妙なミュージカルというのが感想ですね。

本人を見ちゃうと変わってないなあという安心感があるんだけど、本人にしてみたらそんなことはなく俺は変わってるんだと言いそう。たしかに後戻りとか懐古趣味とかは感じない人なんだとおもう。

ではでは

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