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読書レビュー『東京都同情塔』

先日発表された第170回の芥川賞の受賞作は九段理恵さんの「東京都同情塔」でした。
文章の5%ほどをAIで書いたというのが話題です。早速読んでみました
世の中にアンテナ張ることについて芥川賞や直木賞の受賞作を読むのもいいと思います〜

ザハ設計の新国立競技場が建設された近未来の東京、犯罪者をも同情によって包摂するという
幸福学者による思想にもとづき犯罪者を刑務所から同情塔に移す計画が実現。
設計を請け負った41歳の建築士と年下の彼氏とのたわいもないおしゃべり、多様性の時代を
具現化する象徴としての同情塔をめぐり有識者とかジャーナリストの喧々諤々の議論が繰り広げられる、、、

読後感としては、めちゃめちゃ面白かった。スピーディーな
文体がかっこいいです。ディストピア小説のようでもありSF好きな方はいいかも。
影響関係はわかりませんが、伊藤計劃『ハーモニー』っぽさを感じました。あとAI時代のヴァージニア・ウルフという感じも、、、、
現代では人々は好き勝手に言葉を濫用し拡大し排除する大独り言時代、また行き過ぎた多様性によって言葉が互いに通じなくなっているのか、そしてAIもまた
主人公の牧名沙羅はそんな時代にささやかに抵抗しているようにみえます。

現代社会を切り取ったような乾いた文体は
ノリがいいですしAIや多様性など今っぽい主題にご興味のある方にはお勧めです

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