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映画『PERFECT DAYS 』のモノクロシーン

お疲れ様ですキャリアコンサルタントのタケシマです

『PERFECT DAYS』は素晴らしい映画でした、そのレビューは以前書きましたが。今回は劇中で時々挿入されるモノクロシーンの話です

この映画には時々モノクロシーンが挿入されます、これは主人公平山(役所広司)の静謐な内面世界のようにも思えるし悪夢のようなフラッシュバックのようでもある。また木漏れ日を感受する平山の視覚を平山視点で表現しているようでもあります

光のあるところには影があり影のあるところには光がある、映画の中では平山は影として登場する時がある。平山自身が人の影と影を重ねると濃くなると言い張って遊びで実験してみると、濃くなったようにも見えてほら濃くなったでしょとスナックのママの元夫に説明する

モノクロシーンは、平山の記憶の中の世界であり平山の視界でもあるけども平山そのものであるかもしれないですね。

このモノクロ映像の作者は、ドナータ・ヴェンダース。写真家として長年、夫であるヴィム・ヴェンダース監督の映画作品に携わり、また映画制作のドキュメンタリーやそこから派生した自身の作品を発表してきました。

104GALERIE(東京・中目黒)は2023年12月22日(金)~2024年1月20日(土)の会期でドナータ・ヴェンダースによる個展「KOMOREBI DREAMS: supported by THE TOKYO TOILET Art Project / MASTER MIND」が開催されておりまして行ってきました

映画の中では一瞬で過ぎてしまう映像の断片でありながらも強い印象を残しました、じっくり展示としてみると様々な複雑な表情に気が付くことができます。木の葉っぱの間からこぼれる木漏れ日、くらい水面に反射する小さな光の揺らぎ、アスファルトに落ちるコントラストの強い影などなど

写真のような印象を受けますが動画なんですね、でもその微かな動きを見ていると写真と動画の間にある何か微妙な時間の持続のような感じがします。また、記憶と視覚との間にある微妙な空間の連続のような気もします

ちょっと怖い雰囲気もありますが懐かしいようなところもあり、一つ言えるのは喩えようがない美しさで満ち溢れていてこんな瞬間をカメラに収められる感性の鋭さに軽く嫉妬します
でも我々のようなふつうの人でも周囲を注意深く見ればこのような瞬間に囲まれているでしょうね、

平山のような生活は一見すると単調な反復ですが、単調に見える暮らしにも目を凝らせば微かな変化は感じ取れるでしょうし、小さな美しいものは見つけることができるんだと思います。そんな平山の生活や内面にとてもぴったりなモノクロ映像でした

ではでは



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