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生きているから悲しいんだ〜やなせたかし〜

 私は歴史好きで、歴史を面白く学ぶ【コテンラジオ】のヘビーリスナーだ。
 膨大な史料を分析し、客観的に考察して、しかもわかりやすく面白く話してくれるので大好きなのだけど、時々一人の人物を深掘りする回があり、それがすこぶる面白い。

 最近では、昭和後半以降なら、確実に誰もが子供の頃に通った『アンパンマン』の作者・やなせたかし氏を取り上げていて、それがとても興味深い。

 やなせたかし編の第一回放送がこちら↓


 平成生まれの娘の小さい時には、現在のアンパンマンを一緒に見ていたけど、1960年生まれの私にとっては、やなせたかし氏は詩人だ。

1969年10月発行

 多分誰もが一度は学校で歌った『手のひらを太陽に』の歌詞が有名だ。

 ♩ぼくらはみんな生きている♩
 で始まる歌詞は、生きているから、歌うし、笑うし、踊るし、嬉しいし、悲しいし、愛するんだと、太陽に透かした手のひらの中に流れている真っ赤な血潮を見て、生きるという事を真っ直ぐに表現していて、今更ながら凄い歌詞だなぁと思う。

 戦争を体験したからこその、生や死や正義に関する考え方、シンプルな言葉だからこそ余計に心に響く。

 私が中学生の頃には、やなせたかし氏の絵と詩が描かれた陶器がよく売られていて、私も持っていた記憶がある。
 以下、メルカリやヤフオクで出品されているもののスクショ↓

 改めて見て、あったかくて沁みるな〜と思う。

 そして、そんなやなせたかし氏が書く詩や絵本には、一貫して、生きる事はいいことばかりじゃないし、正義は傷つく事だと語られていると感じる。

 初代のアンパンマンは、アンパンのヒーローじゃなく、アンパンを配るただのオジサンだったと語ってくれているこちら↓の記事にも、そう綴られている。

 本当の正義は、格好悪いものだし、絶対に自分が傷つくものだという思いが、アンパンマンの根底にある。
 『アンパンマン』が普遍的に愛される理由が、この辺にあるのかもな〜と、今回のコテンラジオの放送を聞いていて思う。

 生きているから悲しいし、自分の正義を貫こうとしたら絶対に自分が一番傷つく。
 でも、それが優しさなんだなって思う。

 私の親友は、もう長いこと保護犬・猫達の預かりのボランティアをしていて、殺処分になりかけた命を、せっかく生まれてきたのだから少しでも幸せな道へ…と、ずっと頑張っていて、そりゃ素敵なご家族と縁が繋げた喜びもいっぱいあるけど、間に合わなかったり、人間より寿命が短いが故の別れの度に、それはそれは毎回毎回深く深く傷ついている。

 彼女がやっている事を正義とは、たぶん彼女が嫌がるだろうから言わないけど、でも、そういう事だな…って思う。

 生きていく事は、悲しいし、傷つくけど、だから、笑って、歌って、踊って、愛するんだなって、やなせたかし氏の考察のラジオを聞いて改めて思った。

 素敵な作品を遺してくださって、本当にありがとうございます。

正義は格好悪いを体現するアンパンマン


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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