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半自伝的エッセイ

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「チェスのレシピ」「新・チェスのレシピ」「折々のチェスのレシピ」を書いている人はどんなチェスライフを送ってきたのか。
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記事一覧

「半自伝的エッセイ(39)」クリスチャンチェス・神社で聖母マリアと出会う

おそらくはマスターの影響というのか人柄というのかのためだったのだろうが、チェス喫茶「R」…

「半自伝的エッセイ(38)」文庫本・文鳥・文

おそらく年齢のせいだと思うのだが、ここ数年徐々に小さな文字が読みづらくなってきた。まず文…

「半自伝的エッセイ(37)」定跡と素数と親知らず

ある時、急に悪寒がしてきて、立っているのも辛くなった。幸い自分のアパートの部屋にいる時だ…

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「半自伝的エッセイ(36)」数式にチェスを代入する

チェス喫茶「R」にたまに来る人で、大学で数学を教えているという人がいた。皆から先生と呼ば…

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「半自伝的エッセイ(35)」2本の百合

百合ちゃんが亡くなってから三年か四年後ぐらいのことだった。百合ちゃんの、つまり私の義理の…

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「半自伝的エッセイ(34)」宇宙、代数、カラス

(前回から続く) 不眠の時間を利用して宇宙に関する本を貪るように読んでいたところ、自分に…

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「半自伝的エッセイ(33)」チェス、競艇、不眠

私がチェスを指さなくなった経緯は書いたが、チェス的なもの、つまり勝負事に対する熱望自体が焼尽してしまったわけではなかった。ある時、スポーツ新聞の競輪欄を見ていたら、隣のページの競艇欄が目に入った。競艇は戸田さんに連れて行ってもらって以降、一度も脚を運んだことがなかった。配当が安いのと、どことなく胡散臭さを感じていたからなのだが、何年か前に三連単が導入されたことは知っており、だったら儲けることができるのではないかとふと思った。6人しかいないのだから三連単でも120通りしか選択肢

「半自伝的エッセイ(32)」コペンハーゲン・ギャンビット

それほど頻繁に顔を出すわけではないのだが、どうにも気になる人がチェス喫茶「R」にはいた。…

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「半自伝的エッセイ(31)」カラスのマリア・カラスと『アヴェ・マリア』、クリスマス…

久しぶりにチェス喫茶「R」に顔を出すと、テーブル席のイスの背にカラスが留まっていた。私を…

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「半自伝的エッセイ(30)」定跡とハイネケン

チェス喫茶「R」はお酒を出さない店だったが、お酒を置いていない店ではなかった。夜、常連だ…

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「半自伝的エッセイ(29)」どんぐりの経験

ある時、チェス喫茶「R」の常連さん達で、たまにはピクニックにでも行くかという話になり、マ…

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「半自伝的エッセイ(28)」アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ

チェス喫茶「R」から徒歩5分ほどのところにイタリアンレストランがあった。大通りから細い道…

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「半自伝的エッセイ(27)」チェスと将棋どちらが難しいか(3)

百合ちゃんを亡くしてから、私はもぬけの殻のようになった。その空白を埋めようと私はますます…

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「半自伝的エッセイ(26)」チェスと将棋どちらが難しいか(2)

といっても、アメリカに行くにあたってはいくつかのハードルがあった。まずは費用である。往復に飛行機を利用するとなると、向こうでの滞在費に事欠くことになりそうだったから、とりあえず旅行会社に行って話を聞いてみた。やはり航空券は高かった。とても飛行機には乗れない。そうなると、船で行くしかないのだが、西海岸までの船であれば二週間ほどで着くらしいものの、私が目指していたのは東海岸だったから、そこからまた列車に乗るか飛行機を使わないといけない。東海岸に行こうとするとイギリスだかオランダだ