「半自伝的エッセイ(33)」チェス、競艇、不眠
私がチェスを指さなくなった経緯は書いたが、チェス的なもの、つまり勝負事に対する熱望自体が焼尽してしまったわけではなかった。ある時、スポーツ新聞の競輪欄を見ていたら、隣のページの競艇欄が目に入った。競艇は戸田さんに連れて行ってもらって以降、一度も脚を運んだことがなかった。配当が安いのと、どことなく胡散臭さを感じていたからなのだが、何年か前に三連単が導入されたことは知っており、だったら儲けることができるのではないかとふと思った。6人しかいないのだから三連単でも120通りしか選択肢