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チェスのレシピ(68) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために

終盤のどちらが勝つか、あるいはドローになるかという局面です。

黒はルークを一枚失っていますがプロモーションできるかもしれないポーンがあります。ただし、キングの位置が不安定かもしれません。一方の白はとりあえずすぐにチェックが掛かったりメイトになってしまう恐れはないもののルークの働きがいまひとつです。

お互いにミスをしないで指していくとドローになる可能性が高い局面です。しかし、どちらかが致命的なミスをするとたちまち形勢が傾く局面でもあります。

白黒どちらもミスをしない進行を数手置きに示してみます。

ここまで完全に均衡しています。ところが、チェックをかけられた黒が手痛いミスをしてしまいました。

黒はルークで合い駒をしました。クイーンが効いているファイルなのでなんの問題もなさそうです。ところが白が次のように指すと受けがありません。

この局面で黒が詰みを回避するには白のルークを取らなければいけませんが、そのクイーンを取り返されて黒にはもう手がありません。黒はチェックがかかった時に下段に逃げておけばまだゲームは続いていました。とはいえ、キングの位置が危険だったことが最後の最後で祟ってしまった形ではあります。

<コラム>

下の図は、chess.com で局面検討をすると表示される優劣のグラフです。

優劣のグラフ

今回ご紹介した一局のものではありませんが、不利とされる後手(黒)が勝つ時の典型例のような波形になっています。このグラフからは、後手で不利な黒ですが、序盤を互角に戦っており、中盤で白にややリードを許しています。しかし、そのリードを決定的なものにさせず、逆に白の悪手を咎めて勝ちにつなげたことが分かります。

後手番の黒は、どこかで白にリードされても仕方がないと言えます。しかし、リードを広げさせない指し回しを粘り強くしていくと、どこかでチャンスがくるものです(こないこともありますが)。

上のグラフからはまた、白が中盤で二度ほど一歩リードしたものの、そのリードを維持できなかったことがわかります。

大切なのは、白でも黒でも序盤で相手にリードされないことです。序盤で相手にリードを許すと、取り返すのが大変です。リードを許してしまった側は、マイナスの状態を互角に戻そうとするだけで手を使わざるを得ません。

何手までを序盤というのか、定跡によってもはっきりしませんが、だいたい初手から5手〜10手ほどの指し方が、中盤とそれ以降の趨勢を決めてしまうので、惰性で指さないようにしましょう。


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