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11月の#キクキキ COP28特集その2

 みなさんこんにちは!record 1.5スタッフです。
 本noteは11月の#キクキキをまとめたダイジェスト記事です!#キクキキの概要は以下noteをお読みください。

 11月の#キクキキは特別回です。Podcastを通してすずかとやまだい二名で、「COP28特集」をお送りします。11月にお送りした「COP28特集」はpart1〜3。本noteでは◆「危機は気候か、環境か、...か?vol.17『COP28特集part2:今日の日本の気候変動対策』」◆をまとめた補助資料です。聴いているだけでは分かりづらい方は是非このまま読みながらPodcastをお聴きください!

★特別回「COP28特集」について★
 2023年11月30日よりアラブ首長国連邦(UAE)にて開催されるCOP28。昨年のCOP27ではドキュメンタリーを制作したrecord 1.5ですが、本年はPodcastを中心に発信を行います。COP28の前、開催期間、そして終了後。COP28に関する連続した発信を通して改めて気候危機の≪危機感≫を見つめます。

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◆11月のPodcast配信「危機は気候か、環境か、...か?vol.17『COP28特集part2:今日の日本の気候変動対策』」◆

 11月30日公開、Podcast「危機は気候か、環境か、...か?vol.17『COP28特集part2:今日の日本の気候変動対策』」では、日本の現在の気候変動対策がどのようなものか、に迫りました。日本ではエネルギー起源の温室効果ガス排出量が多く、脱炭素においては電化が主流とされているため、発電が重要なセクターとなります。今回は特にエネルギー政策に着目しつつ、直近のCOP、そしてCOP28を深掘りします。

◇GX◇

GXとは
「グリーントランスフォーメーション」の略。本法案は、①再エネの主力電源化、②原発の活用、③今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資が主な指針です。

≪これまでの時系列≫

2022年7月27日~:GX実行会議

2023年2月10日:基本方針を制定

2023年5月12日:GX推進法案が可決・成立

2023年5月31日:GX脱炭素電源法案が可決・成立

2023年6月30日:GX推進法案施行

2025年6月6月(予定):GX脱炭素電源法案施行

 本法案の批判として、a.水素・アンモニアへの批判、b.原発への批判、c.カーボンプライシングへの批判、が挙げられます。

a.水素・アンモニアへの批判

 批判ポイント①『再エネに対して費用対効果が非常に悪い』:気候ネットワークによれば、混焼が進んだとしても、アンモニア自体の製造プロセスでのCO₂の排出が大きいので、20%混焼でも全体でみるとわずか4%程度の削減にしかならない。水素・アンモニアは1.5℃目標に整合していない。

 批判ポイント②『利権誘導政治な指針である』:2023年10月5日、環境NGOの気候ネットワークが日本で最大の石炭火力発電事業者であるJERAの「2050年CO2ゼロ」「CO2の出ない火」「ゼロエミッション火力」を標榜する広告を批判しています。

b.原発への批判

 批判ポイント①『1.5℃目標に整合していない』:原発を新設したとしても2030年以降になるので1.5℃目標に十分な量を導入することはできず、目標に整合しない。

 批判ポイント②『原発を全て稼働する前提になっている』:地元の反対や設備の問題で再稼働に至っていない原発が多い中で、全て稼働する前提の話はあまりにも現実からかけ離れている。

c.カーボンプライシングへの批判

 GX移行債は、①化石燃料賦課金、②特定事業者負担金を財源とし、2050年度までに行います。①化石燃料賦課金とは、化石燃料輸入事業者などに対して、輸入などによる化石燃料由来のCO2排出量に応じた賦課金を、2028年度から徴収するものです。②特定事業者負担金とは、2033年度から発電事業者に対して、政府が一部有償でCO2排出枠を割り当てるもので、その量に応じて特定事業者負担金を徴収します。排出量取引制度と呼ばれるものです。

2050年までのGHG累積排出量が100億tCO2程度(直線的に削減してCNを達成した場合の概算)であると想定した場合、GX移行債20兆円をまかなうことを考えると炭素価格水準は2000円/tCO2程度(20兆円÷100億t=2000円/t)なので、企業がカーボンプライシングに依る行動変容を起こす理由とならないのではないか

カーボンプライシングとは
 企業などの排出するCO2に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法です。そのひとつが炭素税です。GX移行債の収入源として示されています。


(参考)GXによるカーボンプライシングの効果

 GXによるカーボンプライシングの効果について、三菱総合研究所が2023年3月に企業に対して実施したアンケート調査を基に説明します。
 アンケート結果より、CO2排出1tあたりの価格が2千〜3千円程度までは行動変容を起こす企業の比率が大きく上昇。「再エネ電力への切り替え」を除き過半数の企業の行動変容を加速させるためには、1万円/tCO2程度の炭素価格が必要であると分かります。

三菱総合研究所の調査より

 国際エネルギー機関(IEA)による2050年までのエネルギー転換経路を描くシナリオ分析(World Energy Outlook 2022 )では、先進国のNet Zero Scenario における2030年の炭素価格が140ドル(2万円程度)/tCO2と設定されている。

◇エネルギー基本計画◇

エネルギー基本計画(通称エネ基)とは

 エネルギー政策基本法に基づき、エネルギー政策の基本的な方向性を示すために策定するもの。少なくとも3年ごとに検討を加え必要があると認められる時に見直すと定められている。経済産業省資源エネルギー庁が管轄し、主催する総合資源エネルギー調査会(エネ調)にて大枠が決められる。
 2021年に第6次エネルギー基本計画が閣議決定され、2024年は第7次見直しのタイミングとなります。

第6次エネルギー基本計画で決定したエネルギーミックス


第7次エネルギー基本計画に向けて


◇COP◇

COP27の振り返り

 ①日本から首相の現地出席がなかった、②損失と損害基金の設立が合意、③全ての化石燃料からの脱却は合意に至らず、が挙げられます。

record 1.5が現地取材した「気候危機が叫ぶ」もご覧ください。

COP28の注目点

 ①UAE議長(アブダビ国営石油会社のジャーベルCEO)について、②グローバル・ストックテイクについて、③2035年目標設定、④全ての化石燃料の廃止が合意できるか、⑤損失と損害の進展について触れました。

グローバルストックテイクとは
 「グローバル・ストックテイク(パリ協定に基づいて各国が定めた温室効果ガス排出削減目標(NDC)の世界全体の進捗状況を評価する仕組み)」は、パリ協定の成果や進捗を再評価するための重要なプロセスで、5年ごとに実施される。
 2023年は、パリ協定で規定された「グローバル・ストックテイク」の第一回目の実施年にあたる。これは世界全体の削減に向けた進捗状況を確認するもので、各国が削減目標(NDC)を決める際の基準にもなる。

◇本Podcastの参考文献◇

気候ネットワーク「燃料アンモニアに関するポジションペーパー」
GX実現に向けた基本方針に対する意見募集の結果について
三菱総合研究所「カーボンプライシングの適切な炭素価格設定と制度設計」
経済産業省「エネルギー基本計画の概要」
議事録(第 53 回総合資源エネルギー調査会基本政策分科会)
アスエネメディア「COP28の重要課題とは?1.5℃目標や石油産業について詳しく解説!」

(Text, 編集:井上知春)

◆更新状況◆
2023/12/19:公開しました。


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