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食品ロスを考える④ 量り売りで食品ロスを削減する HACARI

TIPSが『SDGs・ダイバーシティ』をテーマに自ら取材し、発信するWEBメディア RECT。第一弾は、ウェブ広告を使って食品ロスを減らす仕組みをつくる『Freeat』と連携し、SDGs 12を中心に複数のターゲットと深くかかわる『食品ロス問題』をテーマに、Freeatの仕組みとサービスや、食品の再流通に取り組むお店、量り売りで必要な分だけ購入できる仕組みに取り組むお店を取り上げます。第4回では、Freeat導入店舗のひとつ、産直野菜の量り売りで食品ロス削減に取り組む『HACARI』を取材しました。

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■ HACARIとは

中目黒駅から閑静な住宅街を歩いて10分ほど、T字路に面した場所にたたずむ素敵な建物の少し奥まった1階部分にHACARIはあります。お客さんが必要な分だけ買ってもらう『量り売り』の仕組みによって、食材を余らせたり食べきれなかったりすることで家庭から生じる食品ロスの削減に取り組んでいます。大型スーパーなどとは異なり、お客さんのニーズと旬に合わせて産地直送の野菜を少量ずつ仕入れて、お店で生じる廃棄を減らすと同時に、食べごろの新鮮な野菜や果物をお客さんのもとに届けています。また、仕入れ元である農家とHACARIを利用する街の住民を繋げる橋渡し役も担っています。お店では、野菜や果物だけでなく、それらをつかってお店で作られたお惣菜やスイーツ、加工食品なども売られており、取材中も顔なじみと思われる方がお店を訪れ、近所の住民を中心にファンが多いようです。


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■ HACARIのコンセプト

HACARIさんのコンセプトは『想いを量る』想いと旬を届ける食のジェネラルストア。作り手の新鮮な想いを直接届ける場所として、農園直送にこだわった「野菜の量り売り」を中心に、直接買い付けをしている加工品や手作りのお惣菜を販売しています。


■ インタビュー 吉田恵利加氏

TIPSメンバーの山本・ダウン・三浦が、同店のスタッフ 吉田恵利加氏に、HACARIについてインタビューしました!

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Q. HACARIってどんなお店?

HACARIの名前は「量り」に由来していて、お野菜などを小さな単位で購入できるように量り売りしているお店です。量り売りで販売することで、農家さんから直接仕入れた新鮮な旬のお野菜や果物を、お客さんが本当に必要な量だけ買うことができるので、食べ残してしまったり、食材を余らせてしまったりといった、家庭で生じる食品ロスの削減に繋がります。

Q. スーパーとはどんなところが違うの?

普通のスーパーでは、パック売りされている野菜や果物が多いですが、例えばHACARIではイチゴを一粒から買うことができます。また、スーパーでは味がおいしくても、傷がついているものやサイズが規格外の野菜や果物は店頭に並びませんが、HACARIではそういった考え方をやめて、農家さんから直接仕入れをしているので、形も大きさもバラバラなお野菜の中から、気にいったものを必要な分だけ選ぶことができます。おなじ1つを買うにも、大きいものがよい方もいれば、小さくて1口で食べられるサイズのものがよい方もいますから、そこをお客さんに選んでもらえるのは、HACARIでお買い物する楽しさのひとつかもしれません。お客さんは「10gでもいいですか?少なくてすみません。」と言ってくださったりしますが、もちろん大丈夫。本当にお客さんに合った量をお求めいただくことは、フードロス削減にも繋がりますし、お客さんにとってベストな販売方法と考えています。

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▲HACARIで販売されている食材や食品

Q. 仕入れをする上での工夫は?

一般的にスーパーで売られているものは市場を通すので、早めに収穫され、店頭に並べられます。HACARIでは、農家さんから完熟で食べごろの状態の良い野菜や果物を、一度に大量にではなく、2~3日で売り切れるくらいの量ずつ仕入れることで、おいしくて新鮮な野菜や果物をお店に並べています。農家さんと直接やりとりをしているので、店頭からなくなったらまた仕入れて、お客さんの需要に応じて商品の量を増やしています。

Q. 農家さんとの交流は?

多くの農家さんとつながりを持っていますが、1つの農家さんでたくさんの種類の野菜を育てているソムリエファーム(千葉県山武市)やミナモトファーム(同一宮町)などから仕入れることが多いです。お客さんにとっては顔の見える農家さんがなく、農家さんは自分のつくった野菜を最後に手にするお客さんが見えないので、HACARIではお客さんと農家さんの架け橋として、双方の想いを伝えるようにしています。昨年の暮れには2つの農家さんへ足を運び、実際に野菜を育てている過程やこだわりなどを伺ってきて、販売する際に想いやこだわりをお客さんに伝え、お客さんからいただいた声を農家さんに届けるようにしています。

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▲店内に並ぶ産直野菜。もちろん量り売り

Q. お客さんとの交流は?

お店の入口が少し奥まっていて店内の様子がわかりにくいので、初めてのお客さんは営業しているのか心配な様子で入ってこられることがあります。なので、私たちの方から普段なかなか知ることがない野菜のことをお話したり、食べ方を教えたりといったかたちでコミュニケーションを取るようにしています。今ではお客さんの方から「こんな風にして食べた」なんていうお話をしてくださる方もいらっしゃいます。会話の中で農家さんのお話をすることもあるのですが、先日はわざわざ雨の日に「このお野菜がとてもおいしかったです」と伝えにきてくださった方がいらして、それがとても嬉しくて、すぐ農家さんにもお伝えしました。

Q. 量り売りのほか、環境への取り組みは?

前述の通り、量り売りが家庭の食品ロスの削減につながることはもちろんですが、パック売りをしないことで、スーパーの野菜で並んでいるようなプラスチック包装を過剰に使わなくて済むようになります。最近はエコバッグやマイボトルを使う方が増えていて、プラスチックの使用を減らそうという動きは確実に広がっていると思います。HACARIでも、不要な包装を使わないように、容器を持参してくださったお客様には10%の割引を適用しています。また、お店で作っているお惣菜は、できるだけお店にあるもの、お野菜の余り物などを再利用することで、お店からも食品ロスを発生させないようにしています。

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▲HACARIのカウンター。右上には「容器持参でお惣菜10%off」の表記も

Q. Freeat導入の理由は?

お野菜はどうしても賞味期限が早かったり、傷みがあって見た目がよくなかったりするものがあります。そういった野菜はお惣菜にして食品ロスにならないようにしていますが、そうして作られたお惣菜も売れ残ってしまうと、結局食品ロスにつながってしまうので、どうにかできないかと考えていたところ、Freeatさんにお声をかけていただきました。Freeatは食品ロスを減らし、学生さんや食料に困っている方たちなど必要な方に提供できるサービスということで、私達のコンセプトにも合っていると思い、導入を決めました。

Q. Freeatを導入してからはどう?

お店は学生さんが多い立地ではないので、 実績はまだまだですが、実際に先日Freeatをきっかけに来てくれた大学生の方がお惣菜と一緒にりんごを買ってくださいました。学生さんの来店も大歓迎ですし、もちろんFreeatの受け取りだけでもOKなので、Freeatをきっかけに学生の方ももっともっと来ていただけたら嬉しいです。


■ HACARI お店情報

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■ 営業時間:09:00~17:00(土日は~18:00)/定休日:月・火
■ 住  所:東京都目黒区中目黒4-4-10 1F
■ アクセス:東急東横線、東京メトロ日比谷線 中目黒駅 徒歩11分
      JR山手線、東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線 目黒駅 徒歩18分

お店は、中目黒駅から閑静な住宅街を歩いた場所にあります。東洋大学白山キャンパスの最寄り駅である白山駅と本駒込駅からどちらも1本でアクセスできる目黒駅からも、駅前の権之助坂を下り、目黒川沿いを歩いて18分ほどで到着します。まだまだ気軽に外出できませんが、お散歩気分でちょっと足を延ばしたり、学校帰りに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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■ 連載 食品ロスを考える

連載の第1回では食品ロスについて、連載の第2回ではFreeatについてまとめ、第3回では、Freeatの実証実験に協力している『エコロマルシェ』をご紹介しています。

この記事は、2021年4月2日に公開された記事を一部編集して再公開しています。(Writer:山本亜美、鄭多恩、三浦央稀)


■ ABOUT RECT

RECTは、2018年に設立し、東洋大学を拠点にSDGsとダイバーシティに取り組む学生団体TIPSが運営する、SDGs & Diversity WEB MAGAZINEです。


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