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熊本まで足を運びたくなるような1杯を。夜香木バーテンダーの挑戦

こんにちは。熊本在住のYukiです。

人と人をつなぐ」をテーマに、イベントユニットRedDotで活動しています。

毎月第2金曜日、熊本シティFMさんの番組「Windy(パーソナリティ:風戸 南陽子さん)」内で、インタビューコーナーを担当させていただいています。

なかなか人と直接会うことが難しい状況の今、このコーナーを通して新たな出会いを楽しんでいただければという想いで始まり、毎月素敵なゲストにお話を伺っています。

さて、インタビュー第9回目のゲストは、熊本市中心部のおされストリート、上乃裏通りにあるバー・夜香木バーテンダーの木場 進哉(こば しんや)さんです🍸

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笑顔の木場さんの背景には「WORLD CLASS COMPETITION JAPAN FINAL」の文字が!

木場さんは、カクテルの世界大会である、カクテルコンペティション日本大会で優勝!そして、2021年7月に行われた世界大会に日本代表として出場されました。大会については、後ほどじっくりお話を伺います。

夜香木interior

素材のある風景がカクテルのインスピレーションに

Yuki(以下Y)「何度かバーに伺っていて、毎回木場さんのカクテルづくりに見とれてしまうのですが・・・まるで料理を作っているような、五感で味わうカクテルが特徴ですよね。」

木場さん「そうですね。なかなか他の人には真似しづらいと思いますね。」

Y「その素材の組み合わせは、どこから着想を得ているんですか?」

木場さん「海外のバーテンダーのSNSをチェックしたり、本を読んだりしています。また、できる限り農家さんの元へ足を運ぶようにしているのですが、その際に自分が感じたことがアイデアの源泉になっていますね。例えば、その日は雨が降っていたから土っぽい匂いがした、近くにこんな花が咲いていた、など風景の中でカクテルのインスピレーションが生まれたりします。その風景の中で育ったものだから、合わないはずはないと。」

Y「なるほど。ご自身が感じたことがカクテルに凝縮されているんですね。」

木場さん「あとは、レストランでインスピレーションを受けることも多くて。例えば、野菜のビーツをベリーソースでいただくメニューから『この食材の組み合わせを液体化したらこうなるかも!』って発想が浮かんできて、ちょっと土っぽい感じとベリーの酸味を効かせたカクテルができあがりました。」

Y「それだけ手間と時間をかけたカクテルづくりをされていたら、仕込みが大変ですね」

木場さん「『バーって仕込みあるの?』ってよく言われます 笑 僕はオープン3時間前くらいにはお店に入って、氷をカットしたり、リキュールの仕込みをしたり、なかなか大変です。。。でも毎日当たり前のことを当たり前にやっていく、それってとても大切なことなんじゃないかな

Y「先が見えづらい状況の今だからこそ、大切なことですね。」

熊本でできない野菜や果物ってないんじゃないか

Y「そもそもバーテンダーになったきっかけって?」

木場さん「もともと高校卒業後に、酒屋さんでアルバイトしていて。酒屋さんだと、『あのお酒、おいしかったよ』ってお客さんの反応が届くのは1週間後。一方、バーテンダーはその場でお客さんの反応が見れる、と元バーテンダーの店主に勧められたのがきっかけです。」

Y「その後、東京や仙台を経て、シンガポールのバーで働いていたそうですが、日本とシンガポールのお客さんの違いってありましたか?」

木場さん「日本のお客さんはまずおすすめを聞かれますね。僕としては、そのときの旬をつめこんだおすすめできるカクテルをメニューに載せてるから、メニュー全部がおすすめ 笑 でもその真意って「自分のためにメニューにないようなカクテルを作って欲しい!」ってことかな、と理解しています。ぜひいろいろ試してみて、自分好みの味を探して欲しいですね。一方でシンガポールだと、ひとこと「Surprise Me!!(驚かせてよ!)」って注文されますね 笑」

Y「わたしも言ってみたい 笑 熊本にはいずれ帰ろうと思ってたんですか?シンガポールから東京に戻ろうかな〜とか・・・」

木場さん「そうですね。2019年にシンガポールから帰国したんですが、シンガポールってその土地のものがないんです。」

Y「ほぼ全部輸入ですもんね。」

木場さん「そういった意味では、シンガポールと東京って、僕にとっては同じなんです。人口も多いし、お店も賑わってるんだけど、シンガポールでやれることって東京でもできる。逆に、東京でできることは、シンガポールでもできる。でも、野菜も果物もハーブも、熊本で取れないものはないんじゃないかってくらい、熊本にはなんでもある。改めて熊本の豊かさを再発見しました。」

木場さん「あと、“体験を売る”っていう時代の流れも同時に感じていました。田んぼや畑があって自然豊かな熊本の風景を、来てもらった人にカクテルとして味わってもらいたい。熊本では、東京よりもっとおもしろいことができる、熊本でしか味わえないことをアピールしていきたい、という想いでした。わざわざ熊本に来ていただけるようなバーにしたいと思っています。

Y「夜香木さんで、熊本産の無農薬ハーブや久留米のチョコレートなど、私自身も知らなかった熊本や九州のおいしいものが発見できて楽しいです。ちなみにその素材は、どういう経緯で選んでるんですか?」

木場さん「お客さんから教えてもらうことが多いですよ。お客さんのインスタとか、『この前こんなおいしいお店行ってきたよー』とか」

木場さん「この半年くらいずっとバタバタしていたので、あえてバーと離れたところに身を置く時間を作ってるんですけど、結局出かけた先で「今はイチジクが旬だな」とか「かぼす、あのカクテルに合うかも」とか、結局カクテルのこと考えてますね 笑 無意識にカクテルのアンテナが立ってます。」

夜に花を咲かせて香る木のようなバーに

Y「夜香木」の店名の由来は?」

木場さん「バーって横文字が多いじゃないですか。差別化するために、あえて漢字三文字はどう?ってオーナーのアイデアに賛同しました。姉妹店が2Fの『瑠璃庵』ってお店なので、同じ漢字三文字ということで。
『夜香木』は東南アジア原産のお花で、夜に強い香りを放つ植物なんです。別名「ナイトジャスミン」。夜に花を咲かせ、ジャスミン、はちみつ、りんごのような強い香りを放って、自身の居場所を伝える花なんです。そのストーリーとバーって共通するなぁと、夜香木のように人を惹きつけるバーになればと名付けました。」

店名を冠したシグネチャーカクテル「夜香木」
口に運ぶ直前、ジャスミンの香りがふわっと香り、ほんのりとりんごの余韻が残る

Y「店名を冠したカクテルは、お店でも提供されてますよね。」

木場さん「はい。このカクテルをシグネチャーカクテルとして、大会でも披露しました。書類審査でも漢字のカクテルが珍しく、目立ったそうです。みんなにおいしいって言っていただける、夜香木の代表作です。」

初出場で初優勝。バーテンダー日本代表に

Y「7月には、カクテルの世界大会ディアジオワールドクラス2021」に日本代表として出場されたんですよね!」

木場さん「今でもまだ信じられないです・・・」

Y「挑戦してみようと思ったきっかけや目標って、最初からあったんですか?」

木場さん実はぎりぎりまで応募しようか迷ってたんですよ 笑 
シンガポールにいるときに、2015年世界チャンピオンの奈良にあるLAMP BARの金子さんとお話する機会があり、帰国してからも金子さんのお店で20日間研修させていただきました。大会の様子はYoutubeで見ていて、かっこいいな〜と憧れていました。」

木場さん「2020年はコロナの影響で大会は開催されなかったんですが、今年は〆切ぎりぎりまで応募するか悩んでいました。自分はまだそのレベルに達してないんじゃないか?人前でこんなことできるかな?と思うと怖かった。だけど、金子さんに言われたんです。『みんなそうやって最初はやれないって思うけど、いざやってみてから力をつけていくもの。最初からやれる人なんていないんだよ。やれなくてもいいから挑戦した方がいい。』って。」

Y「そんな葛藤があったとは知りませんでした。。。」

木場さん「今まで感じたことないようなプレッシャーもたくさんありました。大会の様子はオンラインで同時中継されてたんですが、日本中のバーテンダーが観てるかと思うと、緊張感が半端なかった 笑 でもこれまでに支えてくれたたくさんの人たちのおかげで立てた舞台だと思っています。実は大会の様子を見てくれていた子が、『自分もこうなりたい!』と、10月に岐阜からスタッフとしてやってくるんですよ。今まで支えてくれた人たちからもらったものを、今度はその子に伝えていきたいと思っています。

Y「素敵ですね!!あと、カクテルで熊本城復興応援プロジェクトも準備中とか?」

木場さん「今回の世界大会をきっかけに、熊本産のフルーツやハーブを使った“フェニックスマティーニ“というオリジナルカクテルを考案しました。大会は終了しましたが、このカクテルの売上の一部を、熊本城再建に寄付しようと考えています。火の国熊本からイメージする“フェニックス”のように、復興のシンボルである熊本城の復興に自分も貢献できればと思います。詳細が決まったら告知しますので、楽しみにしていて下さい!」

●プロジェクトの詳細について

●夜香木インスタグラム

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