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邂逅 - 人間に化けた狸

11/26 Sun.

友達がこの日記を読んでくれているらしい。いいねを押すほどでもない程度のおかしみだと言ってくれた。ポジティブに捉える。

11/27 Mon.

さっっっっっっっっっっ無。

11/28 Tue.

寝坊した。起きたら9時52分で、これは、寝坊したのか寝ぼけているだけなのかとダラダラ考えていたら10時になった。ボスに、寝坊したので遅刻しますと電話を入れて、ゆっくりと着替える。今は特に自分のために生活しているから、私のリズムが壊れても迷惑をかける人が少ないので助かる。
ただ、大切な場面で寝坊しないかということが、ひっかかる。自分への信頼度が減ってしまうんだよな。どうしよう。目覚まし時計をもう少し増やそうかな。(現在2個)
それにしたって、朝起きた時は頭が本当に働いていないから、起きなければという使命感にどうしても駆られない。客観的には起きなきゃいけない時間だとしても、目覚まし時計というものが「起こしてくれる機械」じゃなくて「騒音を出す機械」としか思えないから、その音を止めることが至上命題として頭を占有しているんだ。目覚まし時計、もう少し優しく眠りから覚ましてくれないか。

もしかして、そういうアプリありますか?
結婚ってやつですか?

11/29 Wed.

お昼にラボの人たちと昨日から来ている留学生のウェルカムパーティー。キャナリィロウでピザを食べる。

ビスマルク(鉄の宰相)

私は新メンバーと席が遠かったから秘書さんとお喋り。うちのラボの秘書さん、めっちゃ良い人なんだよな。おとぎ話に出てくるような善人で、会話のテンポも心地よい。「飲み会とかするの〜?」って聞かれたから、最近お酒をあんまり好んで飲まないと言う。そしたら、「私、昔アル中でさ、毎日辛かったからお酒飲まないと眠れないし、そういう状態になっていること自体も辛くてまたお酒が増えて」って重めの話をされて、緩急に大笑いしてしまった。秘書さん、もう3年くらいの付き合いになるのにまだまだ知らない一面が出てきて最高だ。
夜、いいにくのひだから、同期と後輩と焼肉を食べる。肉はいい。ダイレクトに血肉へ変わる感覚がある。(野菜は1回濾されてから細胞に入る)
おなかいっぱいになるとなんだか眠くて、そのまま帰って電気をつけたまま寝た。3大欲求の2つを叶えてしまった。

11/30 Thu.

研究所のバドミントンサークルに行く。3機関のメンバーで構成されていて、普段は出会わないような人達と仲良くなれる。あと、大人って運動しないから意識的にその時間を確保しないといつか動けなくなるんじゃないかっていう不安もあって、そういう諸々も込みで魂のために良い。
いつの頃からか、走るという行為が日常から姿を消した。中学生の頃までは、意味もなく走っていたし、高校生の頃は電車に乗り遅れないように毎日めいいっぱいのスピードを出していた。大学生くらいからだろうか。走るということは、すなわち、時間の管理が出来ていない。そんな意識が見えない液体のように足元を濡らし始めたような気がする。そしてそれが段々と身体の上の方まで登ってきた。『TIME』では、寿命を通過とした設定の世界を描いていた。あの世界では、富裕層は走らない。急いでいるということが、お金が無いことを現すから。
『モモ』の中でも似たような現象が描かれていたなぁとふと思い出す。もうあんまり覚えていないから、とりあえずKindle版を購入した。時間がある時に読もう。

12/1 Fri

駅の喫煙所で、髪に落ち葉をつけた人がいた。教えてあげようか迷ったけど、あまりにタヌキが人間に化けている雰囲気にそっくりだったからやめておく。タヌキ、最近は見なくなったな。昔は家の前によく来ていたから、キャットフードをあげて餌付けしていた。子狸の小ささに驚いた日が懐かしい。
『パリの砂漠、東京の蜃気楼』をパラパラ読み返していたら、金原ひとみがインタビューを受けている最中に感じていた内省が描かれていた

死なないことに重きをおいて行動し続けてきた時間の積み重ねがこの人生であったというだけの気がする。マズローの欲求五段階説では食欲や睡眠欲など生命を維持するための本能的な欲求が第一階層とされているが、その第一階層の欲求に対立する破滅衝動、消失衝動のようなものが時折足元から湧き上がり生理的欲求を押しつぶそうとする。だから私は今も緩やかに摂食障害で、緩やかに睡眠障害で、緩やかな消滅願望を持て余している。

"パリの砂漠、東京の蜃気楼 (ホーム社)"(金原ひとみ 著)

自己啓発セミナー御用達のマズロー欲求ピラミッドって、1番上の自己実現あたりを話すためのものだと思っていたから、一番下の階層を描くために持ち出すのが少し面白くて笑ってしまった。(笑うべきところではないという倫理的な指摘はいらない。)

12/2 Sat.

8時に起きて、グループLINEに「夜映画みよ」とだけ告げると、1人から22時からならと返ってくる。
D論の要旨に修正を入れてボスに月曜に大学院係に提出すると告げる。ここでもう一眠り。
22時半から友人と2人で『ファーストマン』を観る。ニール・アームストロングの内面にフォーカスしたほぼドキュメンタリー。アメリカ人の宇宙モノって軽やかなジョークと派手な事故が付き物だと思っていたから、そういう無意識の先入観とのギャップを感じる程度には静かな映画だった。
アポロ計画の1番最初では、3名の宇宙飛行士(ガス・エドワード・ロジャー)が地球を飛び立つ予定だった。しかし、予行演習で機内火災が発生し3名とも死亡する。観ながら、さすがにこれは作り話だろ〜って思いながらWikipediaを叩いたら史実だった。

ジェミニ計画でも宇宙空間で簡単にトラブルが起きるし、アメリカvsソ連の宇宙開発競走はほぼ代理戦争だし、自分の知識不足がゆえに新鮮な驚きがかなりあった。多分本当はこれらの背景を知った上で見るべき映画なんだろうな。

監督はチャゼル、ニール役はライアン・ゴズリング。これだけで当時めちゃくちゃ湧いたんじゃないかな。映画館で観たかった。


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