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雨、時々チャーシュー。

今回は「晴耕雨読」。

「晴耕雨読」という言葉の意味である「世間のわずらわしさから離れて悠々自適に暮らす」という境地には、いまだ到達できていないけども、就農してからの生活は、字面だけなら近いものがある。

基本的には、晴れた日には働き、雨の日は休むような感じ。厳密にいうと、晴れたからと言って耕していることは少なく(果樹農家なもんで)、雨の日に本も読むけど、年末に買ったミニギターを爪弾いたり、ゲームしたり、ただゴロゴロ寝ているだけのことも多いのだけど。

そんな中、先日も雨が降った。この時期の仕事は屋外の梨畑にいることが多いので、強い雨や吹雪いたりするような日は潔く休むようにしている。いつも通りに時間をつぶしてもよかったのだけど、ふと思い立って「料理」をすることにした。

以前のブログにも書いたけど、常日頃から「やりたい」と思いつつも、「なかなかやれない」という環境で、どうにかこうにか「カルボナーラ」を作ってみたのが昨年の4月。(徒然綴45。料理名の長い料理店。)早くも約1年経とうとしているが、状況ほとんど変わっておらず、あれ以来まともにやれていなかった自分へ、どこからか、いつやるの?と聞こえてきた気がしたので、心の中で返事をして、いざ!

さてさて、それじゃ何を作るか。実際のところ「カルボナーラ」以外のレパートリーはほぼない。何か、色んな意味で「ちょうどいい」料理はないものか。「休日の男の料理」で思いを巡らすと、真っ先に思いついたのは「チャーシュー」。なんか、おしゃれなイケメン芸能人が、「休みの日は何をしてるんですか?」という質問に、「そうですね…よく料理してますね。こないだは一人でチャーシュー煮込んでましたよ(ニヤリ)」なんて言ってる画が真っ先に浮かんだ。当方、イケメン芸能人ではないが、そういうのが何かカッコいいのでは!?じっくり煮込みながら、優雅にコーヒーを片手に読書なんてのもいいなーと妄想していると、そこでまた、ふと以前テレビで見たCMを思い出した。某人気俳優の方が、「レンジを使って手軽に肉料理を作れる」みたいなことをやっていたはず。検索するとすぐ出てきた。どうやら「スチーミー」という商品で、これを使うと、手軽に「豚チャーシュー」を作ることができるようだ。「これだ!」と、すぐさま奥さんに了承を得て、実行に移した。

雨降りの中、一人スーパーに行き、その希望の商品「スチーミー」を探す。すぐに見つけて、それ以外の材料は何が必要なのか、裏面をその場で見て確認すると、なんと「豚肉」だけ!他には何もいらない!「肩ロースor豚バラの塊」ということで、それもすぐさま見つけ出す。そこには今回作るのにちょうどいいくらいの量の肩ロースが、少し値下げされてお買い得品になっていた。これはいい風が吹いてるぜ!と、かごに入れる。はい、買い物終了。

帰宅し、すぐさま調理開始!やってやるぜ!と腕まくりをして(もちろん手は洗って)裏面の調理方法に従って作業を始める。

まず、「肉の塊を半分に切る」。よしよし。

次に、「フォークで肉に10か所くらい穴をあける」。はいはいOK。

そして、「調味液の入った袋に入れて1分強く揉みこむ」。よっしゃ!

あとは?「レンジで8分加熱」。

…お…終わった!

あっという間に作業が終わってしまった。なんと簡単!いや、ここからがある意味本番だ。料理をしている間にコーヒーを入れて本を読もう。お湯を沸かして、カップと本を準備して、さぁいざ!…というところで、レンジがチン。

…また終わった!

その後、5分ほど冷まし(蒸らし)、袋から出して、切り分け、盛り付け、はい無事完成。

結局、「ながらコーヒーと読書」をする間もなく久々の「料理」終了。片づけもして(包丁とフォークを洗うくらいだけど)、諸々終えた後に一息つきながらの「ながらコーヒーと読書」となってしまって、これじゃいつもと変わらないコーヒータイム。「男の料理やってるぜ感」に浸る夢は、残念ながら叶えなられなかった…。


その後、晩御飯で食卓に並んだ僕の力作(?)は家族に好評をいただき、一安心。こんなに簡単なのに、普通に美味しいからやっぱりすごいよねー。あまりに簡単すぎた今回の挑戦ではあったけど、これを取っ掛かりに、いろいろ手を出していきたい。いきなり難しいことはせずに、今度は肩ロースではなく豚バラにしてみたり、味付けや切り方を工夫してみたり、とか。雨で仕事に行けないときはチャーシューを作るおじさんになろう。そうか、「"真"の晴耕雨読」とは、「悠々自適なチャーシュー生活」だったのかもしれない…いやしかし毎回雨降るたびにチャーシューではさすがに嫌がられそうなので、調子に乗らぬよう心掛けよう。そして、世間のわずらわしさから離れ、料理のわずらわしさからも離れ、悠々自適に暮らし、チャーシュー時々チンし…そんな「晴耕雨チャーシュー」を目指して、雨の日を心静かに待とうと思う。

それでは今回はこの辺で。またそのうちに。

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