見出し画像

元社員寄稿「コロナウイルス後、旅行会社はどこへ向かうのか?」(5000文字)

旅行会社が今、窮地に立たされている。

HISは売上高1250億円下振れ、新型コロナ長期化覚悟の観光業
「KNTーCTホールディングス」最終赤字に転落の見通し
旅行会社(株)HANATOUR JAPAN 「新型コロナ」の影響で希望退職を募集
広島の愛トラベル、自己破産を申請

コロナ騒動が始まってわずか数ヶ月でこれだけのニュースが飛び込んできた。

さらにはコロナ関係なく、打ち手を探している赤い会社

「赤字151億円」JTBのかなり深刻な内情…旅行代理店、もはや“売るものがない”状態か

旅行は平和産業だとよく言われる。各社の経営理念には平和の理想が踊る。

スクリーンショット 2020-03-30 17.21.34

スクリーンショット 2020-03-30 17.21.45

旅行が交流を作り、世界を平和にする

これは裏を返せば、
平和ではないと成り立たないビジネス」ということだ。

これはJTBの営業利益の推移を示したものだ。

JTB売上

2回ガクッと落ちている箇所は2009年リーマンショック。2003年SARS(重症急性呼吸器症候群)の影響である。

SARSはコロナウイルスほど、世界的な感染はなかったものの、これほどの影響が出ている。

今回、コロナウイルスによって観光業にどれほどの影響が出るのか。
そして旅行会社はどこへ向かうのか。

旅行会社への在籍経験を元に、旅行会社のビジネスモデルを紹介しながら、考察していきたいと思う。
(多事業化している会社も多いが、今回は本業を中心に話を進めたい。)

加えて、内部事情を書いている関係で、後半部分が有料になっておりますので、ご理解よろしくお願いいたします。

旅行会社の歴史

近畿日本ツーリストはむかし、野武士軍団とよばれちたらしいにゃ

画像5

Photo by Mikhail Vasilyev on Unsplash

ざっくり世代別に旅行会社を分けてみた。

第0世代:国策企業(国有企業に近い位置付け)
     →JTB、旧日本旅行
第一世代:鉄道旅客需要を伸ばすために誕生した旅行会社
     →近畿日本ツーリスト、阪急交通社、名鉄観光
第二世代:海外旅行の自由化に伴い、海外に強い旅行会社
     →HIS、てるみクラブ、JALパック
第三世代:インターネット販売特化型会社
     →楽天、じゃらん、エクスペディア、ブッキングドットコム

そしてちなみに日本で1番最初の旅行会社は、JTBではない。

日本旅行(の前身企業)である。

1905年に現在の滋賀県草津市に住む南新助が、団体による善光寺参りを企画したのが始まりだ。(日露戦争の翌年)
当時は江戸時代以来の伝統の寺社仏閣への参拝旅行が観光の中心で、需要も大変に多かった。参拝のために鉄道路線がひかれることも多く、現在の京急鉄道や京成鉄道もそれぞれ川崎大師と成田山新勝寺の参拝客需要を見込んで開業している。

(ちなみに初詣文化を作ったのも鉄道会社だ。)

これらの成立経緯から、旅行会社は鉄道会社との結びつきが大変に深い

JTBの始まりも鉄道省の前身の鉄道院が深く関わっている。

時の鉄道院 木下淑夫が英米人たちに日本の真の実情(姿)を知ってもらうことを目的とした「外客誘致論」を展開。この外客誘致論に木下の直属上司である鉄道院副総裁 平井晴二郎が共鳴、鉄道院の協力を得てジャパン・ツーリスト・ビューローを創立しました。
JTB 100年の歩み

そして現在の旅行会社の株主は、ほとんど鉄道会社や航空会社が占めている。

旅行会社の主要株主
JTB:JR東日本
近畿日本ツーリスト:近鉄グループ
日本旅行:JR西日本
阪急交通者:阪急鉄道
東武トップツアーズ:東武鉄道
東海ツアーズ:JR東海
HIS:澤田秀雄(現会長)(Sレア)

国鉄解体の際に、クビになった社員が旅行会社に引き取られたのは有名な話だ。(切符・旅行販売のノウハウがあるため)

鉄道「うちでいらない社員切るから、そっちで面倒見てな(^∀^)」
代理店「え・・・でもそんなうち余力・・」
鉄道「うるせえ、店舗増やして対応しろ。今度そんな生意気なこと言ったら、お前らが団体で抑えられる座席数減らすからな( ゚∀゚)」
代理店「うへええええええ」

なんていう会話があったのかどうかは知らないが、旅行会社は交通系会社の方針の影響を大きく受ける。

2017年てるみクラブが倒産したのも、ジャンボジェット(大型機)から中型機やLCCが主流になったのが大きい。

これは大型機時代に余った席を大量に仕入れ、売りさばいていたビジネスモデルが崩れたことに由来する。

(その後、てるみクラブはお客さんから先払いで預かったお金を別の借金返済にあてたり、融資を引き出すために銀行に虚偽の決算書類を提出したりとやりたい放d・・・ゲフンゲフン)

さらにインターネットの普及で、ホテルやチケットの底値が顧客にバレ、価格を見えなくしてパッケージツアーにしながら稼ぐのも厳しくなってきている。

「昔は、旅行会社だけが握っていた情報がたくさんありました。たとえば、航空券は業界関係者だけが相場価格を知ることができたため、そこに好きなように利益を上乗せして売ることができた。今は誰もが情報に簡単にアクセスできるため、ちょっと上乗せするだけで『高い』とバレてしまうので、平均約10%という低い利益率で耐えている状況ですね。そんななか、情報は店舗で仕入れ予約はネットで……という合わせ技を使うお客さんもいらっしゃいます。接客している側にとっては、一番むなしい瞬間だと思いますよ」
「赤字151億円」JTBのかなり深刻な内情…旅行代理店、もはや“売るものがない”状態か

JRチケットの販売手数料は3%ほど、パック旅行や職場旅行の需要は減少・・旅行会社はどこで稼げばいいのか?

「底値がお客さんにバレてる?
なら底値が分からないものを売ればいいにゃ(ゲス顔)」

画像6

旅行会社のえらい人(イメージ)                   Photo by Jae Park

旅行会社のビジネスモデル

旅行会社を支えているのは、店頭に来店した際にお支払いいただく相談料である。

国内旅行の場合は最初の30分は2160円で以降30分ごとに2160円!海外旅行は最初5400円で以降30分ごとに3240円の料金を請求するステキすぎる完璧なビジネスモデルだ。来店するだけでお金が稼げる!これで今後1000年は盤石!

Vやねん!旅行会社!



制作・著作
━━━━━
ⓃⒽⓀ


というのは真っ赤なウソで、この相談料はわずか試行からわずか7ヶ月と中学生の恋愛並みの早さで終了している。

にゃん・・・だと!!!!!

※かわいい猫の写真が続きます・・・(ウソ)

近年の旅行会社のビジネスモデルを紹介しながら、今後5年でどのような変貌を遂げていくのか。果たして生き残れるのかマル秘の内部事情を交えて書いてます。

ここから先は

2,723字 / 11画像

¥ 100

全国各地おもしろ旅 記事執筆のための渡航費用にします。