『マズロー心理学入門』を読んで

マズローといえば5段階欲求。これは非常に有名であり、「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」まで思い浮かべる人もいるだろう。
 
しかし、その理論構築に至った背景や主な著作までは知らなかったし、人間性心理学という人の成長可能性に着目した心理学の創始者の一人と言われていることも知らなかった。 
 
そしていきなり原典ではなく、わかりやすくまとめてくれる本書に出会えたのは幸運だった。

 
マズローの5段階欲求は本人が唱えたものではなく、正確には「欲求の階層」と呼ばれる。この欲求の階層は心の健康度合いと正の相関があり、より高次の欲求を満たすほど心は健康になるという。
 
そうなると「自己実現の欲求」を満たす状態を目指していくことになるが、その段階にいる人が目指すのはB価値と呼ばれ、人間にとっての究極的かつ本質的な価値(真、善、美、正義、自足性など)のことをいう。 

マズローによれば、このB価値を追求する手段としての仕事を通じて、働き抜くことこそが自己実現に至るための最も良い方法だという。

ありていに言えばやりがい、働きがいということになるのかもしれない。
でも改めて、仕事は目的ではなく手段である、という考え方に共感せずにはいられなかった。
 
これは最近キャリアを考える上で、外的キャリア(他者から目に見える指標:昇進など)より内的キャリア(自分のやりたいこと、価値観にあったことを実現できているか)に重きが置かれていることとも関係しているかもしれない。 
 
人間性心理学の更なる発展をさせたほかの学者の主張も、勉強してみたいと思える良い入門書だった。
 

 


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