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薬にまつわるエトセトラ 年とったなぁ・・・

 若い頃は薬など飲んだこともなかったが、降圧剤(ご存じない若者に説明しよう、血圧を下げる薬である)を飲み始めてからもう10年以上経った。この間に血圧はどんどん上がり、強い薬へとシフトしていく。それでも足らずに、降圧剤は一錠増えた。どうやら私の降圧剤はそろそろ限界に達しているらしい。数年前に降圧剤を二日ほど飲まなかったら、自分史上経験したことのない激しい眩暈に襲われ、驚いた周囲と共に救急車を呼ぶという事態を招いた。もう降圧剤の無い生活は怖くて送れない。

 この国の平均寿命も江戸時代には50歳代と伝えられ、近代になり大幅に平均寿命が延びた理由としてこの降圧剤の誕生を指摘する専門家も多い。昔だったら私はとうにいなくなっているということだ。

 薬は年齢を重ねると順調に増えてくるものだ。頸動脈狭窄症(頭の血管が詰まるというもの)の手術をして以来、血液サラサラの薬も増え、コレステロールを下げる薬、ヘリコパクター・ピロリの除菌とかいう訳のわからないものも飲んでいる。そうだ、私はピロリ菌の第二次除去にも失敗している。

 まあ世の中にはまだまだ甘いなとおっしゃる強者の皆様も沢山いらっしゃるでしょう。確かに生前の母親は夕食後にご飯と同じくらい、いやそこまで多くはないか、一山の薬を飲んでいたように思う。

 この薬の管理なども面倒で、ついうたた寝なぞしてしまうと、あれっ、今日は薬飲んだっけ?とパニックになることがある。流石に薬が増えてくると、二日分を一度に飲んではまずかろう。このようなことを防ぐためにカレンダーに錠剤ケースがついているものまで見かけるようなった。まだ使ったことはない。

 今日薬を飲んだかも覚えていないの?と聞くなかれ、年を取るとはそういうことなのだ。そんな疑問を持ったあなたにもきっとそんな時がやってくる。

 大変なのは旅行などで遠出する場合だ。薬は今の所忘れたことはないが、若し忘れたら大惨事になる。薬局行って買ってくるわけにはいかないのだ。一度お伊勢参りに出かけた時に、大雨の影響で終日列車が運休になり滞在が一日延びたことがあった。たまたま余計に持っていたので難を逃れたが、それ以来滞在日の倍の薬を持ち歩くようになった。

 薬は大量の水で飲めと言われるが、近くにコーヒーしかないときは、右見て左見て即座にそれで流し込むこともある。今は禁酒を余儀なくされているが、昔はビールで・・・。

 夕食後に薬を飲むこともしっかりルーティンに組み込まれ、当たり前の生活の一部となった。
 これも冥途の旅の一里塚かも。

【REG's Diary  たぶれ落窪草紙 4月8日(月)】

 

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