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【姉枕】同じ血という鎖でつながれた、歪んだ性愛



 枕元の目覚まし時計は、十時を過ぎていた。こんな時間まで、姉さんがいなかった夜はない。思えば、これまでも職場の人からご飯に誘われることだってあっただろうに、姉さんは一度も付き合っていないことになる。
 それなのに今夜はどうして、僕が迎えに来たこともわかっていたくせに、あの柏木とかいう店長と……。ずっと考えまいとしていたけど、ついにこの日が来たのかもしれない。
 いつか姉さんに、僕以外の「男」が出来るのではないか。そういう不安はずっと以前からあった。そもそも姉弟でこんな関係になっていること自体、間違いであって、いつかではなく、いますぐにでも僕たちは禁忌を断ち切らないと、それこそ恐ろしい未来しか待ち受けていない。同じ血という鎖でつながれた歪んだ性愛。切り離せるとしたら、たった一つだけ。姉さんか、僕に、別の〝代わり〟ができることだ。
 姉さんと柏木は、お似合いだった。兄と妹みたいに、姉さんはずいぶんと柏木を頼りにしているように見えた。柏木も、小柄な姉さんを優しい目で見下ろしていた。
 ふと、僕は自分の狂気に気づいた。



第二章「愛鎖………………十七歳」より


4月5日発売 定価 770円

楽天ブックス、DMMブックス、コミックシーモア、U-NEXT、紀伊国屋書店、Googleブックス、Kindleなど40以上のオンライン書店で発売。
現在、先行予約も受付中です。

匠芸社・シトラス文庫刊


表紙デザイン……彼女、
モデル……………ちづ姉さん
撮影………………夢路歩夢
編集………………若林育実
著者………………柚木怜

出版社  匠芸社
レーベル シトラス文庫

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【作品紹介】

生まれた時から父はおらず、飲んだくれのふしだらな母は、愛人の家に入り浸りで子どもの待つ家にはたまにしか帰ってこない。そんな家庭環境で育った春吉は幼少期に、五歳年上の姉・夏子が「してくれたこと」をずっと忘れられないでいた。

『明君のお母さんと僕』『お向かいさんは僕の先生』などノスタルジー溢れるポルノ小説でおなじみの、郷愁の官能作家・柚木怜が綴る──貧しい生活の中でも逞しく生きようとする、姉弟の禁断性愛ストーリー。


著者プロフィール

柚木怜(ゆずき・れい)

京都出身、東京在住。1976年生まれ。
23歳の頃よりフリーライターとして、週刊誌を中心に記事を執筆。30歳の時、週刊大衆にて、初の官能小説『白衣の濡れ天使』を連載開始(のちに文庫化されて『惑わせ天使』と改題)。
おもに、昭和末期を舞台にしたノスタルジックで、年上女性の母性溢れる官能小説を手がける。
また、YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」にて、作品を朗読配信中。

著書

『惑わせ天使』(双葉社)
『おまつり』(一篇「恋人つなぎ」 双葉社)
『ぬくもり』(一篇「リフレイン」 双葉社)
『初体験』(一篇「制服のシンデレラ」葉山れい名義 双葉社)
『明君のお母さんと僕』(匠芸社 電子書籍)
『お向かいさんは僕の先生』(匠芸社 電子書籍)
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 夢幻快楽編』(匠芸社 電子書籍)



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