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テレビ番組『Øgendahlと偉大な作家たち』カーレン・ブリクセン編④最終

アフリカの日々/アフリカの農園
冬の物語
私は誰?

アフリカの日々/アフリカの農園

 続きです。文学批評家Anne Marie Maiはこう言います。
「1作目が出された3年後の1937年、『アフリカの日々/アフリカの農園』が出されました。これはご存知の通り、彼女の代表作です。これは彼女のアフリカでの体験、経験を解釈して書いた本です。色彩、景色、物語に満ちたこの本は、ムードたっぷり。比較文化的なものの見方がされています。ファンタスティックで読者の考察を促すこの本の世界に没入して、一度読みだすと本を手放すのが容易ではありません」

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Marianne Juhlは言います。
「実際、これは悲劇的な話です。この本は彼女が失ったDenysについての物語なのですから。

冬の物語

 彼女は大きな成功を収めたアメリカに行ってみたいと切望していました。アフリカに戻りたいともよく言っていたようです。ところが第二次世界大戦がはじまり、どちらも叶わぬ夢と化しました。どこにも行けない辛い5年間でした。そんな中書いたのが、『冬の物語』でした。出版は1942年です」

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 博物館の館員は言います。
「当時兵士は、本を支給されました。それが『冬の物語』でした。

「彼女は心の葛藤を、人生の難題について、人生の大きな問いについて描く名手でした。彼女の物語を読むことで人々は心を慰められ、励まされ、希望の光を探すことができたのではないでしょうか」

Marianne Juhlは言います。
「彼女の本は全てアメリカでBook of a monthに選ばれています。そうして彼女は世界的に有名な作家になりました。彼女は常に病におかされ、痛みに苦しみました。しかし彼女は書き続けました。そしてそれらはどれも名作でした」

私は誰?

 Øgendahlは最後、ブリクセンにこう問います。
「あなたにとってなぜ書くことが大事だったのですか?」
「書くことで、”私は誰?”という問いの答えを探すことができるから」
「え、どうやって?」
「よい物語というのは常に、ある重要なものを私達の心にもたらしてくれるものなの。それは、静けさ/沈黙よ」とカーレン・ブリクセン。
 また分かったような、分からないような表情を浮かべるØgendahl。

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 文学の専門家は言います。
「カーレン・ブリクセンはノーベル文学賞をとってもおかしくないぐらいの偉大な作家でした」
 別の専門家は言います。
「ブリクセンの作品は、私達の人生と存在について語ります。彼女の作品は、人間同士をつなぐ運命についての物語なのです」



(終わり)
 

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