北欧語翻訳者枇谷玲子

北欧語の翻訳者枇谷玲子です。北欧の書籍について書きます。 https://twitter.com/trylleringen https://www.huffingtonpost.jp/author/reiko-hidani/ http://reikohidani.net/

ダイバーシティとしなやかさ

「ダイバーシティ」って、都会のカフェで出されるエッグベネディクトみたいに、小洒落た響きだな。でもダイバーシティって本当は、泥臭くて、もどかしくて、人間のどうしようもなさがつまった、めんどうくさいものなんじゃない?

この「めんどうくさい」は、日常のあちこちに転がっている。

「世の中にダイバーシティを」なんて、私が突然、わけ知り顔で語りだしたら、友人らは目を白黒させるかも。

「何をそんなに苦しん

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NORLA(ノルウェー文学普及財団)の活動のどこがすごいの?①クリスマス商戦前に書店員さんをノルウェーに招待--書店員さんに本の情報を提供し本を売ってもらう大作戦

2018年11月、NORLA(ノルウェー文学普及財団)が来日し、様々なイベントが行われました。

NORLAのサイトにはNORLAの様々な活動が書かれていて、私はいつもそれを読む度、驚き、感動しています。私は最後のノルウェー大使館でのイベントに参加したのですが、編集者さんは20数名とごく一部の人たちしか参加していませんでした。出しゃばりだとは思いつつも、より多くの編集者さんにNORLAの活動を知っ

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Monica Isakstuen”Vær snill med dyrene”(動物に優しくしなさい)

Monica Isakstuen”Vær snill med dyrene”(動物に優しくしなさい)を読みました。Brage賞受賞作です。Monica Isakstuenは詩人でもあり、そのことが読み取れる技巧に満ちた文章が魅力です。随所に散りばめられたショートセンテンスも効果的に使われていて、唸らされました。

母親という役割に縛られる苦しみを感じている女性が、自分と母親との関係性と、自分と娘と

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親を責めるのをやめよう/子育ての責任を負うのは親? それとも社会?

インターネット上に無料で公開されているデンマークの雑誌『児童/生徒』が本当に素晴らしい内容なので、要約して紹介したいと思います。

はじめに紹介するのは2018年8月号。「親を叩くのはやめよう」という文字が目をひきます。

子ども社会省の大臣、Mai Mercadoが「きちんとしつけされていない子どもを教育するのは非常に困難です。ですから、集団生活をきちんと送れるよう、子ども達をしつけるのは、家庭

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スウェーデン、オーディオブック聴き放題+一部の本読み放題サービスStorytelからの出版社への著作権使用料が5年間で10倍に

スウェーデン、本のオーディオ・ブックの聴き放題+一部の本の読み放題サービスStorytelからの出版社への著作権使用料が増加。出版界全体の利益が15年ぶりに上向きに。

目次
Storytelから出版社への著作権使用料の支払いは5年間で10倍に
Storytelは出版界を救う
スウェーデンのインターネット書店、リアル書店、スーパーなどのお店での書籍販売額
日本のリアル書店とネット書店の売り上げ

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祝 MUNCH 発売! ノルウェーの漫画出版社No Comprendo Pressについて

ノルウェーの傑作漫画MUNCHが翻訳出版された。

私はMUNCHが好きだし、MUNCHの版元であるNo Comprendo Press社の漫画にもしびれっぱなしだ。

書籍芸術賞を受賞したこの出版社のインタビューがノルウェーの漫画情報誌にあったので内容を要約、紹介したい。

Espen Holtestaulさんは子どもの頃、ドナルド・ダックの漫画を読んでいた。またタンタンやアステリックス、Tem

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