髪を染めて、また少し好きになる
私の髪は強い。
はねるけどうねることはなく、ふわふわとは程遠い、コシがあり「パーマかかりにくいね…」と美容師さんを困らせる髪質。
突然なぜ髪の毛の話かというと、真っ黒な髪の毛を、10年ぶりに染めてみたからです。
東京に住み始めてから4年ほど通っている美容室なのに、髪を染めようと決心して予約を入れてからの1週間は、不安と期待が半々だった。
予約当日は朝から気分が高揚していて、在宅勤務や自粛自粛で心身ともに落ちていたのだと逆に実感する。
サロンに着けば馴染みの美容師さんが「カラーの予約で驚いたよ~」と笑顔で迎え入れてくれ、ハイライトを入れて毛先まで染め、なんと全部で4時間かかった。
終わって鏡を見ると、10年ぶりに髪の毛が黒くない自分がいた。
高校生から大学生のなかばまでは色を入れていたのだから、そこまで違和感はなかったし、周りは驚いたけれど私にはすぐに馴染む。
髪の色は人の印象を左右すると思う。
(職場で何か言われやしないか…母にはどう見られるだろう…)
赤の他人からはどう見られても別に気にしなくなったが、関わりのある人からはなるべく良い印象を持たれたい人間なのだなと、今回改めて感じた。
私は眼の色がとても茶色い。
光によっては緑がかっていると言う人もいるし、黄色が強い日もある。
その上男顔で、派手な印象を持たれやすいのだった。
髪の毛が黒いと「大人しそう」「清楚っぽい」と初対面で見られることがある。
きつい顔立ちから元々性格もキツく見られやすい私は、なるべくニコニコしているようにしている。だからそう見られるのかもしれない。
たとえそれが本来の自分と違ったとしても、「いじめっ子顔」「睨んでんじゃねえよ」「初めは怖かった(笑)」と言われるより何倍も良い。
社会に出て、誰かの下につく時、教えてもらう立場の時。
どうしても“無害な人間”に見えた方がいい気がしていた。
だから私は、黒髪でニコニコしていたのだった。
時が経ちとうに新卒ではなくなった私に、その印象はもういらなくなっていたのかもしれない。
久しぶりに髪を明るくしたら「この自分もいいじゃん」と思えたよ。
髪色が違うからって私が私じゃなくなるわけじゃない。
また少し自分を好きになれた気がして、
また鏡に映る茶色い髪を見た。
いつか全頭ブリーチして派手髪もやってやる。
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