台湾の病院に行って「うわ、いいな…」と思ったこと

台湾旅行中に色々ありまして、台湾の病院に行きました。
台北市内だったからか、救急車もすぐに来てくれて、救急棟もかなり空いており、お医者さんも看護師さんも、忙しそうながらも言葉の通じない我々に丁寧対応してくれました。
後で検索したら、台湾の医療水準は2020年に世界1位となったほど。良かった。来たのが台湾でよかった。

そして、医療水準というものは、機材や技術というよりもむしろ「話を聞く技術」なのではないか、とも思いました。


徹底して「話を聞き、理解しようとする」姿勢


台湾の病院は(あまり大きい病院ではなかったからかもしれないですが)採血後や点滴後には直接コットンを当てて押さえつけるし、割と全体的に機材が原始的な雰囲気で、日本の病院の方がどこも設備は整っているな…と思いました。
それでも、ほとんど不安を感じなかったのは、救急の先生方(みんな)すごく丁寧に話を聞こう、理解しようという姿勢を崩されなかったからです。Google翻訳を用いながら、一つ一つ丁寧にコミュニケーションをとってくれた(多分20分くらいは我々の説明を聞いてくれたので、我々も漏らさずに伝えられた)上、その内容を漏らさず次の担当医に伝えてくれていたことがよく解りました。
紹介状(と言って良いのかはわからないですが、経緯や症状・投薬の状況を説明した紙)も(日本では「紹介状」としては機能しないですが)渡してくださり、内容も全部確認させてくれた上「この内容で大丈夫ですか?」と確認の時間まで取ってくれたので、帰国してからの対応も比較的スムーズに行けそうです。
一晩入院して翌朝も先生が「いいですか、この検査とこの検査は絶対に受けるべきです。」と10回くらい言ってくださり、質問はないですか?と5回くらい確認を取ってくれたので、安心して退院することができました。

日本の病院との違い

私はそこそこ病気持ちで、ちょこちょこ病院にかかるのですが、日本の病院の姿勢との大きな違いを感じました。
まず、全体的に大らかでのんびりとした雰囲気です。
日本の病院はおそらく人手不足で忙しすぎるのが原因だと思うのですが、キビキビと正確に動いてくれる反面、本当に忙しそうなのでちょっとしたことで声をかけにくいです。点滴の針が痛い、ベッドの動かし方がわからない、トイレに行けない、みたいな些細なことで声をかけてはいけないかな…と思ってしまい、つい声をかけるのをためらってしまいます。声かけると怒られたりするしね。
台湾の病院は、忙しそうではあるものの穏やかなので、「あの〜…」と声をかけると、「ん?ちょっと待っててね」と決してにこやかにではないですが必ず対応してくれ、声をかけさえすれば放置されたりしません(かけないと放置される)。あとなぜか周りの入院患者さんたちが「ほら、その毛布取っちゃいなさい!」「ここで充電しなさい!」と世話を焼いてくれます。やさしい。

日本の病院は、お医者さんが全体的に話を聞いてくれず、お医者さん同士の連携もあまり取れていない印象があります。前の先生に伝えたはずなのに、「え、そんな症状もあったの?早く言ってよ」と言われたり、「当然、前の先生には○○って言われたよね?」と言われて「言われてないです…」と言ったら「なんで!?」と言われたり、何でとか知らんよ、言われてないんだから。と思うことも多いです。あと忙しいからしょうがないけど本当に5分でも症状説明できたらいい方だよね。途中で遮られて「こういうことだよね?」と言われて「うーん…違うけど…」と思いつつ、まぁ忙しそうだしお医者さんがそう思うならまぁそれでいいか…と流してしまったことも多々あります。
もちろんね、そんな医者ばっかりじゃないのは知ってるし(友達に医者いるけどそういう感じではない)医者運が悪いのは間違いないけど。最近町医者運はめっちゃいいけど、大病院運が悪すぎるんだよなぁ。ただ、日本は医者の当たり外れ自体でかいよね。
「女性は男性医師にかかると死亡率が高くて、女性医師にかかると死亡率が下がる」みたいな研究あったけど、あれも患者の言うことを信じない・聞かないからなんだよね、と思うと、もうちょっとだけ台湾みたいにお医者さんを大事にするシステムになってほしいなぁと思うなどした。なんか台湾のお医者さんたち、もちろん個人の性質もあるだろうけど、それ以上に余裕がある感じがしたのよね。余裕があるから「言葉通じない患者の話を20分も聞こう」と思えるわけで。
「良い」お医者さん個人が、過労の中で「話を聞かなきゃ…」と思って無理して話を聞くんじゃなくて(今は日本はそういう感じだよね、だからばらつきが出る)、みんな「余裕あるし目の前の人を助けたいからまずは漏らさず話を聞こう」と思えるようなシステムになったらめっちゃいいなと思う。日本人が意地悪だ、とかそんなわけないもんね。多分余裕がないだけだから。
これが人手不足のせいなのか、はたまた日本特有の医療システムのせいなのかは私にはわかんないけど、台湾のお医者さんは余裕があって、日本のお医者さんは余裕がないということだけはわかった。

みんな頑張ってて偉いよ〜、と思う。多分とんでもなく過重労働のシステムの中で「良いお医者さん」たろうとしてる人はめっちゃ偉いし、そのシステムの中で「良いお医者さん」であることを諦めて、でも人の命を救ってる人も偉いと思う。偉いんだけど、システムやらなんやらがちょっとずつきっと良くないんだよね、個人が頑張りすぎなくても良いシステムになることを祈ってる。





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