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溶解して凝固せよ #2


溶解して凝固せよ 97-02

ヒトは意味を求める。この色はなんのためにあるのか。この配置の意図はなんなのか。モチーフがあらわすものとは。解釈の選択によって描かれた絵画を飾ることが表現だと考えられているようである。

意味意味意味意味意味意味、現実の作品は果たして、そんな意識のもとで作られたものばかりなのか。シュルレアリスムはどうだ、オートマティスムはどうなのだ。彼らの作品を分析するのはこちらの勝手であって、分析を進めれば進めるほど彼らの無意識の深化からは遠ざかるような気がする。意図された無意識の結晶である。例えば真夜中に見た夢を現実の世界に作品として転写したとする、その作品に責任をとるということは、夢の内容の意味を解説することではないだろう、ステートメントは別のところにある。わたしたちだって、夢を見るように作品を作ってもなにも問題はない。それを観る者が夢を現実に縛り付けたところで、理解したつもりになるだけである。

情報にあふれた世の中で、ヒトはよりいっそう自分自身にも、他人にも意味を求めるようになったのだろう、そのほうが、無駄がなく効率的だからだ。溺れるほどの情報量の中で生きるには、無駄があっては困るのだ。合理的だ。けれども合理性はただの現実の事実であって、美しさに必須ではない。夢を見るように作品を作る人たちは、合理性の現実を超えて現実を見つめ、そしてその場所から自由になりたいのだ。

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