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サクラ、咲け。

近所のスーパーで桜餅を見かけた時、お花見の記憶が蘇り脳内を埋め尽くした。

春の訪れを感じる季節となった。冬の寒さが和らぎ、コートを手放しジャケットを羽織って外出することが増えた。太陽の光はやわらかく降り注ぎ、つい寄り道をして帰りたくなる。花粉症を患っている人にとっては辛いかもしれないが、幸いにも花粉症の影響下にない私にとって、この花々が咲き乱れる春という季節は1年で最も好ましく感じる季節だった。

春といえば桜というイメージの人も多いだろう。かく言う私もその1人で、桜の開花の様子を眺めたくて、この季節になると少し遠回りし、近くの桜並木を通ってから家に帰りたくなる。スターバックスを筆頭に桜の飲み物や食べ物も多く売られ、そのひとつひとつがかわいくてつい買ってしまう。ちなみに毎回桜味ってどんな味だろうと思っていることは内緒だ。今回、そんな商品と一緒に売られていた桜餅を見た時、強烈にお花見の記憶が蘇ったのには大きく分けて2つの理由があると思う。

ひとつめは、私が幼少期を桜の名所とされる場所の近くで過ごしたことだ。

幼少期、私が過ごした家の近所は桜がとても綺麗に咲く場所で、毎年山のように観光客が訪れていた。その影響もあって両親は私が幼い頃から毎年欠かさずお花見に連れて行ってくれ、自ずと大きくなった今でもお花見文化に親しみがある。その頃の私は桜餅の葉の部分が嫌いで毎回葉を剥がしてから桜餅を食べていた。今考えると一緒に食べることで美味しさが増すと思うのだが、当時の私にはただの飾りでしかなかったのだろう。そして困ったことにお団子よりも何よりも葉を剥がした状態の桜餅が1番好きだったのだ。今では葉をつけた桜餅が1番好きなのだが、このこともあり尚更、私の中で桜餅とお花見は切っても切れない存在なのだ。

ふたつめは、去年は桜餅片手にお花見を出来なかったことだ。

そのように、毎年欠かさずお花見をしていた私が1年だけお花見を欠かした年がある。それが去年だ。去年、私は体調を崩して入院していた。そしてそれがちょうど桜が満開になる季節だったため、例年のようにお花見が出来なかったのだ。少し手を伸ばせばその花びらが掴めそうなのにそれを窓に嵌められたガラスが阻む。小さなお花見会のようなものは開催されたが、私は無機質なリノリウムで囲まれた空間の中でもどかしい気持ちになっていた。そして退院し、ふと桜の木を見上げた時、それはもう葉桜へと変わっていた。プロフィールのヘッダーにも設定し、今回の記事に添付した画像はその際のものだ。季節がまた1つ過ぎ去ってしまったことを感じた。

季節は巡り、また桜が咲き誇る季節となった。今年の桜は例年より早く咲くそうで、東京では3月の21日に開花、29日に満開となるそうだ。今年は誰とお花見に行こうか。そうだ、今年は一眼レフでも持って写真を撮りに行こう。まだ開花予想日まで日があるというのに、今から先が楽しみで仕方ない。今年も綺麗な桜の花を見たらまた1年、新しい年度を無事に生きられる気がするのだ。だから早く。

サクラ、咲け。

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