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新年のご挨拶、及び読書回に流れる❋花

あけましておめでとうございます

2021年 元旦

昨年中はお世話になりました。
本年もよろしくお願いいたします。

🐮書き初め✏︎読書回✒

小学生の時は宿題で正月は書き初めをしました。私は書道教室に通っていた時期もあり嫌ではありませんが、サッと済ませたい気持ちでした。大人になると筆を持つのは冠婚葬祭の婚葬のみですが、最近は筆ペンです。
noteの書き初めというお題ですが、読書回にします。今回は恩田陸さんの作品を紹介します。

恩田さんの作品は、現実の世界からいつの間にか非現実の世界に引き込まれ、そして思いもよらない結末へと導かれていく不思議な感覚が好きです。

今回は『七月に流れる花』を紹介します。

この小説は主人公大木ミチルの引越し先である夏流(かなし)という町が舞台で、ミチル達女子中学生5人が夏休みに外部と遮断された自炊生活の林間学校に参加する話。

「夏流」「みどりおとこ」「流れる花」

「夏流」坂道と石段と石垣の多い、'冬の城'跡のある静かな町。
「みどりおとこ」夏流城(かなしろ)の林間学校の世話をする髪や皮膚がみどり色の人。性別不明。
「流れる花」川に流れたら花の色と時間を記録する林間学校のルール。

林間学校に関する情報は主人公のミチル(読者)には少なく、ガイド役の佐藤蘇芳(同級生)から断片的な情報だけしかもらえない。さらに事件が起こり、謎が増える。

林間学校の謎
■ミチル達5人が夏流城に招待された理由は?
■蘇芳達がミチルになぜ隠しているのか?
■謎のルール

終盤までに上の3つの謎は解けたが新たな謎が残る。そして続編『八月は冷たい城』に続く。

会話だけでなく、感情を揺さぶる舞台装置がうまく計算されている。そして不安にさせた理由も後で説明がつき、違和感が残らない。この『七月に流れる花』は次の作品に続ける為に新しい謎が残っているが、それも続編へうまくバトンを渡す役目をはたしている。

疑問…なぜ林間学校に関する情報を母親はミチルに教えなかったのか?いずれはわかる事なのに。

この疑問の説明が不足しているように思う。知らない土地に引っ越して、そこの林間学校に招待されて参加する。不安はミステリーの設定として必要だが、知らせない判断が普通あるとは思えない。それにも関わらず1人でミチルは参加出来たのかなと思う。欲を言えばその描写も少し入れてほしかった。

続編は感想を書くとネタバレとなるので簡単にすませます。

『八月は冷たい城』は男子側の林間学校の話で、こちらにも蘇芳が出てくるがほとんど男子中学生だけの話で、『七月に…』の解決編にあたる。話は続編の方がエスカレートしており、今の時代に重ねると怖くなる。

まとめ
『麦の海に沈む果実』に似ている描写、設定も似ていて『麦の海…』を読んだ方は馴染みやすいでしょう。主な共通点は3つ。それに中編2本なのですぐに読み終えられた。

■学期途中に転校してきた主人公(ミチル・理瀬)
■堀に囲まれた宿舎(校舎)
■主人公の持っている情報がとても少なく、小出しの説明が不安をかき立てる。

あともうひとつ加えると、蘇芳と理瀬のキャラは似ているような気がする。
また理瀬シリーズが読みたくなりました。

書籍名・七月に流れる花/八月は冷たい城
著者・恩田陸
出版社・講談社, 2020
ページ数・352ページ

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