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自社の音ってなんだろう?Relicが取り組んだ“社員が参加できるソニックブランディング”

事業共創カンパニーRelicは、前回のnote記事「私たちは何者なのか?組織と事業の急成長に併せ取り組んだ1年のブランディング活動を振り返る。」でお伝えした通り、ブランディング活動に取り組んでいます。
そのうえで、“五感”へのアプローチでより多角的にRelicを伝えるため「Relicの音」を定めることになりました。(詳しくは後述します)
Relicは新規事業開発を支援するBtoB企業、そして多くの支援がITテクノロジーを駆使するため無形商材の企業です。そんなRelicを表現する音とは…?

五感にアプローチする「音」の活動に期待と可能性を感じつつ、目に見えないものであるがゆえにイメージがなかなか湧かない中はじまったRelicの象徴音®プロジェクト。
プロジェクト進行にあたり、自社を象徴する音「象徴音®」を開発した、コミュニケーション課題を“音”を活用し、解決するクリエイティブ・サンプリング・コレクティブ「スポンジ バンッ バンッ」をプロジェクト統括に、アーティストのSakura Tsuruta氏ら音のプロフェッショナルが参画し、社員も参加しながら作り上げていきました。

自社のブランドパーソナリティの解釈から始まり、自分たちの手で実際に音を集める過程にも参加できる象徴音®プロジェクトは、社員がかかわることができる新たなブランディング活動です。「社員が制作プロセスに大きくかかわれることが最も有意義だった」とRelic代表・北嶋も自負する象徴音®プロジェクトを詳しくお伝えしていきます。

今回はそもそも象徴音®とは何か、そして「Relicの象徴音®はどのような音なのか」を定めるための社員参加型のワークショップの模様をお伝えします。


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なぜ音のブランディングに取り組むのか

Relicがブランディングに取り組む理由は前回のnote記事でお伝えしました。
ブランドパーソナリティの言語化やコーポレートサイトのリニューアル、オフィス移転とブランディング施策に取り組んでいますが、そのなかで「象徴音®」に取り組んだ理由は、より多角的にRelicを表現するためです。

人の心を動かし、ブランド価値を向上させるアプローチとして、“五感”の重要性はよく耳にしますよね。嗅覚、触覚、味覚は無形商材企業のRelicには難しい。

Relicにもデザイナー人材はたくさん在籍しており、視覚的なアプローチはこれまでも行ってきましたが、聴覚に訴えるアプローチはノウハウが無いこともあり取り組んできませんでした。
説明コストが高い企業であるRelicを直感的に理解してもらえるツールはひとつでも多い方が良いですし、何よりも社員が参加できるブランディングの形という点に最も魅力を感じ、「音」の活用も決定しました。

加えて、Relicは新規事業開発に取り組み、「挑戦者よりも挑戦する」ことを大切にしています。
今回の象徴音®という社会的にも新しい取り組みは「挑戦するRelic」を体現できるのではと考え、象徴音®プロジェクトに取り組むことになりました。

ではどのように進めていくか。最短でやるなら、代表の北嶋と「スポンジ バンッ バンッ」らクリエイターで作るのが速いはず。
しかし、ブランディング活動は「社員が参加することに大きな意義がある」と北嶋は考え、Relicのブランドパーソナリティの解釈、音の検討、実際に音を集める集音作業まで社員が参加できる象徴音®プロジェクトに取り組むことにしました。


象徴音®とは?

企業(ブランド)や地域、人など、具体的な存在を表す具体的な音たち。その存在が得意とすることや特徴を表す「機能音」と、対象者の精神や信念、性格などイメージを表す「情緒音」の2方向から構成される。

<象徴音®の価値>
・具体的な音を集音することで、集音シーンひとつひとつに意味が込められるため、自分たちらしいやり方などブランドらしさが表現しやすくなる
・象徴音®をブランドガイドラインに採用することで、音を活用するアウトプットに一貫性や統一感が生まれ、正しく受け手に認識してもらいやすくなる
・関係者や社員がブランディングツールの制作過程に携わることができるため、より自分事化がしやすくなり、所属組織への誇りや愛情が高まる
・社員がブランド理解を深めることで、社員の意識や組織文化を形成するインナーブランディングにも寄与

象徴音®を開発したスポンジ バンッ バンッについて
元BRANDED AUDIO STORAGE『SOUNDS GOOD』主宰の安藤コウが、2023年6月から立ち上げた、コミュニケーション課題を“音”を活用し、解決するクリエイティブ・サンプリング・コレクティブ。楽曲、ポッドキャスト、MVなど“音”を中心にしたアウトプットはもちろんのことながら、企業(ブランド)や地域、人など、具体的な存在の個性を表現できる“象徴音®”を定義し、そこからサウンドロゴやBGMなどを制作することで、具体的な存在の価値を最大化する独自のアプローチも持つ。さらに課題解決の質を高めるため、アーティスト、デザイナー、カメラマン、映像監督などプロジェクト毎に最適な人々のアサインも行う。
https://linktr.ee/koando_jp


ワークショップの流れ

Relicの象徴音®が制作されるまでのステップは以下の通り。今回のワークショップでは、STEP1の「象徴音®の候補を洗い出す」ことに取り組み、各メンバーがRelicのブランドパーソナリティをどのように解釈し、それを表現する音が何かを話し合いました。

  • STEP0:ブランドパーソナリティを解釈する事前課題

  • STEP1:象徴音®の候補を洗い出す

  • STEP2:象徴音®を決定する

  • STEP3:音を集める

  • STEP4:象徴音®およびブランドツールの制作

なお、改めてブランドパーソナリティの解釈を深める重要な本ワークショップには、音のプロフェッショナルとしてスポンジ バンッ バンッの安藤コウと共同で、スポンジ バンッ バンッのコレクティブメンバーであり組織改革のプロフェッショナル 井上 裕太氏を招きファシリテートしていただきました。


①まずはブランドパーソナリティの解釈から

ワークショップ実施に先駆けて、STEP0として40名の社員を対象に、Relicの8つのブランドパーソナリティに対する解釈を記載する事前課題に取り組んでもらいました。その後ワークショップで、事前課題で行っていた、各自で考えたRelicの8つのブランドパーソナリティに対する解釈と、その解釈を音としてイメージするとどのような音かを共有していきました。

事前課題でメンバーそれぞれの解釈を洗い出し

「音の印象ってあまりなかったのですが、いざ考えてみると意外にあるんだなと。みんなで作り上げていくことが楽しみです。」
そんな声も上がりながら、思い思いの音やそこに込める解釈を伝えていきました。

共通認識として存在していたブランドパーソナリティも、捉え方の角度が少し異なっていたり、日々の業務内容が色濃く反映されていたり、部署や役割によって解釈はそれぞれ。
解釈の共有を通じて、異なる部署の雰囲気や課題、意志を感じることができました。


②それぞれの解釈からキーワードを整理

事前課題の共有と意見交換を終え、次はそれぞれの解釈から象徴的なキーワードを洗い出し、言語化へ向け集約していきます。

各メンバーの発表と意見交換から、象徴的なキーワードをファシリテーターの井上さんが拾い集めていきます。
集めていく過程で、表現は異なるけれど伝えたいメッセージは似ているキーワードがあったり、改めて解釈を深めた時に今のRelicに合っていないキーワードを外していったりとキーワードの集約でも新たな気づきが得られます。



③Relicの象徴音®を定めるための「解釈の言語化」

こうして集約されたキーワードの数々に対し、最も最適なキーワードへ参加メンバー全員が投票していき、最終的な解釈キーワードを決めていきます。


プロ組織(ヒト)では、WSに参加できなかったメンバーにもお願いしていた事前課題にも多く出てた「真髄(誠実)」と「泥臭く」がキーワードに。真髄と泥臭という一見相反する音を集音することで、「縛られない」また「柔軟」という意味も込められるのではと決まっていきました。

プロダクト(テック)では、ITのイメージだけでなく、あらゆるテクノロジーを課題解決するなら、何でも使える組織を使えることも伝えても良さそうということにも。
また、ただ作るのではなく、志やクリエイティビティのためというのがとてもRelicらしいという話になり、「何のためか」に重きを置いて決めていきました。

挑戦では、WSで、みなさんが惹かれたのが「笑い」でした。失敗も多い新規事業だからこそ、楽しみながら失敗もシュールに味わいながら前に進むという思いから選ばれました。そして、これができるのは挑戦者が挑戦し続けるからこそで、失敗も笑いに変えて、笑い飛ばせる。そういった背景で決まっていきました。

勇気では、「矢面に立つ」というのが他のメンバーの事前課題でもWS内でもキーワードとして出ていました。でもだからこそ発見があるんだと思うことでより勇気が出る循環を生み出すことからこの言葉になっていきました。

感動では、外から見ると新規事業開発=キラキラしているというイメージを持たれるという自己認識として持ちたい、そして普通1回か2回しか立てない晴れ舞台に経ち続けていることから舞台というワードが生まれました。そして、だからこそ、色んな酸いも甘いも経験した方々が、ここで遺物を残したく集まってくるということで固まっていきました。

愛情では、「ただ寄り添うだけでない」というワードが多く出ていました。人の可能性を信じるからこそ、寄り添うだけでなく、ときには厳しくするのだという思いから決めました。

熱意では、WSで出てきたワード「公私混同」がキーワードになり、そこから定義が作られていきました。志を持つからこそ、自分が作ったものでなかったとしても、ときにはボールを奪ってでも取り組むという思いが綴られました。

達成では、新規事業だからこそ終わりがないため、どんな状況だったとしても一歩一歩前に進めていき事業に向き合うのだという思いがWSメンバー含め他メンバーでも揃って、解釈として固まっていきました。

参加メンバーによる投票と意見交換から生まれたキーワードをスポンジ バンッ バンッが整理します。次回記事では、これらのキーワードに沿う音を、実際に社員たちが録っていきます。

日頃の業務でキーワードを意識していても、自分なりに解釈を深める機会はなかなかありません。改めてRelicのブランドパーソナリティを自分なりに解釈する場に参加したメンバーに感想を聞いてみました。

木村さん:
ワークショップであること、またファシリテーターの表現力で普段出ないようなメッセージやキーワードが生まれたと思います。
普段「音」に対して意識する機会がすくなかったので、会社の強みや提供価値を音で表現するなら..と考えるのは面白い試みでした。
ワークショップ後、プロダクトやサービスの何気ない音も気にするようになりました。
完成がとても楽しみです。

佐藤さん:
入社から半年も経たず参加し、「歴の浅い私がRelicの象徴音®を決めるワークショップに出て大丈夫?」と参加前は不安に感じていましたが、より一層会社を知り、理解を深める機会となりました。自分なりの解釈も、メンバー同士で意見を交換することで、部署や役割をまたいでお互いにRelicの認識をすり合わせることができました。
整理されたテキストを見て、Relicへの共感と理解がまた一歩進みました。実際に音になったらどんな感覚なのか、今からワクワクしています。


組織改革のプロから見たRelicらしさ

ファシリテーターを務めた組織改革のプロフェッショナル 井上 裕太氏に、本ワークショップを通じて、さらには象徴音®を聞いて見えたRelicについて聞きました。

井上氏:
これまでマーケティングやブランディング観点で音を活用した取り組みは他社でもありましたが、組織改革のために音を活用する事例は聞いたことがありません。
そんな社会的にも珍しく前例が無い「象徴音®」という取り組みに、会社の代表自らが手を挙げ挑戦するRelicはとてもかっこいいと思います。

ワークショップでメンバーのみなさんと接したとき、Relicという組織を色濃く感じました。代表も同席する話し合いの場では、「代表の求める答えをあてにいく」ことをつい考えてしまい、個人の感情で物事を考えにくくなりがちです。しかし、Relicのみなさんは、それぞれ自分たちの言葉で考えぶつけあっていました。

また、考えるプロセスそのものをとても楽しんでいる印象も「Relicらしい」と感じましたし、失敗すらも笑い飛ばすという「楽しむカルチャー」がワークショップでもあふれ出ていました。

私がRelicに抱いた特徴は「仕組化へのコミットメント」「そのための組織/カルチャーへの投資」「楽しむ姿勢が全体に浸透している」と3つありますが、完成した象徴音®を使ったブランドキットを聴いたときに、それらの特徴や組織の色を音楽から感じました。

挑戦するRelic、失敗を笑い飛ばすRelic、個を尊重するRelicなど、「Relicらしさ」が自由に表現されていました。

<井上 裕太氏 プロフィール>
マッキンゼーで日米欧における経営コンサルティングに従事後独立し、企業の経営改革を支援するほか、「WIRED」誌の北米特派員も兼務。2014 年、TBWA HAKUHODOを母体としたスタートアップスタジオ・quantum 設立に参加。CSOやCIOとして大企業及びスタートアップとの共同事業開発・投資を統括。また、被災した若者のリーダーシップ育成支援の財団設立、文科省初の官民協働プロジェクト「トビタテ留学JAPAN」の発起、九州大学客員准教授としてSDGsデザインユニットを支援するなど、産学官民連携も経験。2020年よりWhateverに参加し、変革戦略と投資を主導。現在、デザインファームのKESIKI INC. Executive Director、グッドデザイン賞 審査委員・ユニットリーダーなども務める。

次にメンバーが参加するSTEPは実際に音を集める集音作業です。集音の模様は下記の記事をご覧ください。

一足先に、出来上がったRelicの象徴音®とブランドツールが気になる方は下記特設サイトをご覧ください。


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