見出し画像

惜別の歌

遠き別れに 堪えかねて
この高楼(たかどの)に 登るかな
悲しむなかれ わが友よ
旅の衣(ころも)を ととのえよ

別れといえば 昔より
この人の世の 常なるを
流るる水を 眺むれば
夢はずかしき 涙かな

君がさやけき 目のいろも
君くれないの くちびるも
君がみどりの くろかみも
またいつか見ん この別れ


@島崎藤村の詩。 若菜集中の高楼。 戦時中、中央大学から戦地に赴く学友を送り出すとして「姉」を「友」に代えてわれた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?