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ロングライフデザインの掛け合わせ"dd食堂 京都"

最近仕事で出向いた京都。
観光客もまばらで開店休業な状態のお店も見られる。
雨が降り始めていたがチャンスだと思い、前から行きたかったdd食堂へ向かった。

dd食堂京都は、京都下京区の本山佛光寺の境内の中にある。元々集会所として使われていた場所を食堂にリノベーションしている。境内の中には食堂で使われる食器なども販売されるショップも併設されている。

これらを手掛けるのは、ロングライフデザインをテーマに活動するD&DEPARTMENT。その活動は物販や飲食のみならず、ロングライフデザインを考え、伝えていき、最近ではその地域におけるロングライフデザインを発掘し、全国に発信する活動にも精力的だ。
dd食堂京都はその点において、街全体がロングライフデザインそのものである京都の魅力を十分に引き出した取り組みである。


dd食堂京都の取り組みを通じて感じたロングライフデザインとは、

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1.長くある空間に馴染んでいくデザイン

本山佛光寺が創建されたのは1212年頃、その後本堂が再建されて120年近く経つ。少しずつ修繕を施しながら、地域や周辺の人々に愛され続け、共存し続けている。同じ空間に新たに飲食店やショップを構えることはお寺側としても抵抗があっただろう。ここには両者の信頼関係があったことが伺えるし、結果として空間の中でしっくり馴染んでいる。天気が良ければガラス戸も開放されたり、縁側に座って、スイーツを楽しみながら季節の樹種を眺めることができる。食堂の暖簾は当初茶色だったものが風雨に晒されてすっかり脱色してモカ色になっているが、それもまた時間の流れを感じさせ、空間に溶け込んでいる。


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2.安全で使いやすい

食堂内部でまず目を引くのが、天童木工の低い座の椅子だ。日本人の暮らしに合わせて作られたもので、足を伸ばして座ったり胡座をかいたりもできる。ナラ材の脚や背板はなるべくシンプルに、継ぎ目や金具も極力使わずに仕上げている。そのフォルムは安全であり使いやすい。北欧のようなホッコリした雰囲気もありながら、畳やガラス戸から見える境内の様子とも馴染んでいる。座面の青みがかったグリーンのファブリックも長く人々に使い続けられ、さらに愛着のわく色になっていくだろう。


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3.地元の文化や素材を活用する

定食のメニューは、鶏肉のすき焼きに味噌玉をほうじ茶で溶いていただくというもの。畑仕事をする人たちの食事方法だそう。色からしてしっかりとした濃さのほうじ茶だったのでどんな味かやや不安だったが、味噌玉に溶くとスッキリして飲みやすい。地元の素材で地元での味わい方を伝えていこうとする姿に心身共に温まる。

多くの時代に多くの人たちによって守り続けられてきたロングライフデザインな街、京都。dd食堂のような取り組みにより、それはさらに多くの人々に伝わり未来へと続いていく。

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