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デザインアイコン探しが楽しい"LEXUS MEETS...CAFE SPINDLE"

ミッドタウン日比谷にて「ナイトメア・アリー」というおどろおどろしい映画を鑑賞した後、無性にさっぱりしたものを飲みたくなり、1階のカフェへ入った。

カフェがある「LEXUS MEETS...」はレクサスのクルマやブランドの魅力が体感できる、展示スペース、カフェ、試乗体験が一体となった空間だ。

設計を手掛けたのはA.N.D.。乃村工藝社の第一線で活躍するデザイナーで構成され、ホテルや商業空間など幅広くクオリティの高い空間を生み出す集団だ。
店内はクルマに纏わるデザインが所々に散りばめられ、上質な雰囲気と遊び心が共存している。
カフェは野菜たっぷりのデリを選択できるランチメニューがありながら、クラフトビールも充実している。その後カフェとなり夜にはバーになったり、オールデイで楽しむことができる。


カフェの名称は「THE SPINDLE」、スピンドルは紡錘(ぼうすい)を意味する。
私はとにかく喉が渇いていたので、ジュースで喉を潤し、お腹を満たすのに精一杯で、この名称の意味を知るのはお店を去ってしばらく経ってからだった。

「スピンドルドリル」とは、LEXUSのクルマのフロントフェイスの象徴的なデザインとして親しまれているそうだ。台形が上下に配置され、その形がスピンドル(紡錘、糸巻き)に似ていることからその名が付いた。フェイス内部のデザインは、網目状やボーダー状など車種によって異なる。

ここまで調べて、なるほど店内で多用されていたあのデザインはLEXUSを象徴するデザインアイコンだったのか、とやっと合点がいった。

そしてそのアイコンは、LEXUSの象徴的なデザインであることを知ってる人にも知らない人にも、無理に押し付けることなくさりげなく全体のインテリアに溶け込むよう、姿を変えて配置されている。
予めアイコンの意味を知っていたら、所々に散りばめられたこのデザインを探すのがさらに楽しくなっただろう。今回特に印象的な3つのアイコンの展開パターンを紹介する。

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1.日本の手仕事感を想起させる木の壁

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この壁のデザインを見た時、台形が組み合わさるシンプルな文様に既視感を覚えた。それは箪笥など木製家具のコーナー部の接合に用いられる仕口の形状だ。寸分の狂いのない部材同士の組み合わせは、日本の木工技術の精度の高さを感じさせる。木の壁にこのデザインアイコンを用いることで、日本の技術力の高さや手仕事感を想起させる。

2.実像のゆがみもデザインの一部

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入り口の両脇に用いられたガラス面。微妙に湾曲していることで、映し出す実像もゆらゆらとして見える。そしてこのゆらゆらによってデザインアイコンが浮かび上がってくる。よく見ないと気付かないが、気付くと嬉しい。また建物の吹き抜け部に面した店舗の壁としてゆるく内外を仕切る役割も果たしている。

3.密度が変化する真鍮のメッシュランプ

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バーカウンターの中央上部に鎮座する照明器具。店内のデザインの中で最もクルマのスピンドリルグリルのデザインに近しく、圧倒的な存在感を放つ。真鍮を思わせる鈍い金属の表情が照明によって浮かび上がる。高さ方向によってメッシュの密度が変化していて、工業製品のような美術作品のような造形美が印象的だ。このデザインはカウンター上の手元ランプでも展開されている。

正直LEXUSを含むクルマ全般に関してさほど知識も興味もこれまでなかったが、インテリアデザインを通してブランドの信念やストーリーをすんなりと理解することができた。
そしてLEXUSはこうしたブランドの世界観の醸成によってファンを魅了しているのだろう。

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