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江東区長選ブルース

突然だが、私は東京都江東区民である。区民54万人の中でひっそりと暮らす私を探し出すのは相当難しいと思うので、このくらいの情報は差し支えないだろう。

12月10日に選挙が実施された。区内選出の衆議院議員の入れ知恵に端を発した公選法違反事件による区長辞職に伴うもので、今年2回目の区長選である。私は期日前投票を済ませ、即日開票の結果を待っていた。

当選したのは、元都庁職員である大久保朋果氏である。

当選直後に書くことではないとは重々承知しているが、個人的には、胸の内にわだかまりが残っている。

まず、新区長には江東区へのゆかりが一切見受けられない。他の候補者がそうであったように、少しでも区に関係があれば、それを選挙戦でアピールするはずだが、その情報がなかったことを考えると、本当に江東区とは無関係なのだろう。うがった見方かもしれないが、首長になれればどこでもいいと思っていたのでは、という印象を抱いてしまう。

大久保氏の応援に、現都知事がべったりだったのは、この勝利を呼んだ要因の一つかもしれない。一方で、現都政を見る中で、都知事の存在が後押しになるのか、というのは、甚だ疑問ではある(これを書きのべると話題が脱線するので控える)。

今回の選挙では、対抗しうる候補が鼎立したのも惜しかった。区議から鞍替えの2人の候補と、10年来区内での多くの選挙に出馬してきた1人の候補とで、票を取り合ったのを肌で感じる。現に、新区長の確定得票数が57,029票だったのに対して、2位・3位(ともに元区議)がそれぞれ34,292票と30,132票を得ており、この2名が統一されていれば結果は十分違っていたかもしれない。4位の候補も引けを取らず28,819票を獲得した(前回は3万票以上だった)。

何はともあれ、新区長には、古巣の都庁や都知事の意向ではなく、住民にしっかりと向き合ってほしいというのが、一区民のせめてもの願いである。

――と、今回の区長選への個人的なモヤモヤを長々と書いていても仕方ない。何よりも問題といえるのは投票率の低さ(過去最低の39.2%)だろう。今回は国政与党の暗部が明らかになりつつある中での選挙だった。それは、新区長を推薦した政党の一つでもある。また、前区長の辞任劇は全国的なニュースにもなった。それでも区民の選挙への関心が低かったというのは、師走の慌ただしさも言い訳にはなるまい。区民として恥ずかしい。

(文字数:1000字)

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