Hal

1994年生まれ。優しさと寂しさの境界線を描くために。 〔 Contact: w_h_…

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1994年生まれ。優しさと寂しさの境界線を描くために。 〔 Contact: w_h_note@outlook.com 〕

マガジン

  • これまで来た道、これから行く先

    旅がどこまでも続くように。1000字エッセイ。

  • 思いの発露

    1000字の制限なく綴ったエッセイたち。伝えたいことを削らずに、まっすぐ書いています。

  • 特集 ChatGPT

    ChatGPTを使って遊んでみたエッセイ集です。

  • 〔小説〕はるさめスープ

    ハルサメ中等教育学校で繰り広げられる、ちょっとホンワカな物語集。一話完結です。

  • 恋のはなし

    恋ってどうして難しいんでしょうか。1000字エッセイ。

最近の記事

タンポポの春

春になり、道端に小さな花が咲いているのを目にするようになった。どこから飛んできたのか、自宅のそばの車道沿いにも、一輪のタンポポがアスファルトを押し割るようにして力強く背筋を伸ばしている。 季節の移り変わりを告げるそのような光景を眺めながら、私は横浜の職場へと通う。都内の自宅から職場までは一時間強かかる。もう少し近い場所で勤めた方が、心身ともに楽になる気はするが、こればかりは採用してくれる会社がなくては致し方ない。考えてみれば、通勤・通学に電車で一時間かかるのは、大学時代から

    • スルメイカを噛んだら奥歯が欠けた話

      風が吹けば桶屋が儲かる。あまりに有名なことわざである。他方、焼酎が売れれば歯医者が儲かる、というのもまた真のようだ。 それは2024年4月14日の夜だった。私はいつものように焼酎を炭酸で割ったり、ウィスキーを炭酸で割ったりしながら、アルコールと二酸化炭素を体内に注ぎ込んでいた。家族4人、穏やかな団らんの風景である。 お酒のおつまみは、その日によって異なる。ピスタチオナッツを優雅に少量口に運びながらウィスキーを楽しむときもあれば、じゃがりこをバリボリ噛み砕きながら自作レモン

      • 現在地 [Apr. 17, 2024]

        こんにちは。Halです。 4月に入って部署の異動があり、溜まりに溜まった海外営業職時代の記事を焦って連続公開しておりますが、まだまだ当時の生活を描いた下書きは残っています。このままですと、4月中はこの話題で終わってしまいそうな気配すらあります。 これはさすがに良くないのではないか、と思っております。 海外営業として仕事をすることの喜びや楽しさを表現しているのであればまだしも、そもそもそれらの記事を書いたのが異動前の時期ということもあって、上司へのやるかたない不満なども含

        • 僕を誘わないでよっ!

          女性読者が離れそうな記事だが――、という書き出しを初めに思いついたのだが、性差の表現に敏感なこの時代、避けるべきだろう。それなら、男性も女性も気にせず書きはじめてしまえばよいのだろうか。それはそれで、配慮が足りないはずだ。その「配慮」とは何か。「こんな題材の記事を読みたくない人」に対する配慮だろう。なるほど、これなら性別とは関係ないので、時勢に沿うかもしれない。それでは、気を取り直して書き直してみよう。 こんな題材の記事を読みたくない人には適さない記事かもしれないが――。

        タンポポの春

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        • 「ほんとのパパはいないから」―"パパ活"の実態―
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        記事

          ビジネスホテル・カンツォーネ

          国内出張では泊りがけとなることも多いため、営業職に転職して以降は各地の駅至近のビジネスホテルに宿泊する機会が急激に増えた。 夕食を顧客や同行者などと摂ることは多いものの、出張先で独りで過ごすという夜もある。会社から支給される宿泊費用や日当を考えれば、そう贅沢できるものでもないが、それでもホテルの部屋で楽しもうという気が起きてくる。 ある時は、部屋まで配達してくれるというピザの出前を注文した。 ビジネスホテルの狭いテーブルからはみ出るピザの外装をバランスよく配置し、チェッ

          ビジネスホテル・カンツォーネ

          現在地 [Apr. 06, 2024]

          こんにちは。Halです。 私は昨年12月から、毎週水曜日と土曜日にnoteを投稿する、というペースで更新をしてきました。今のところ順調に投稿できていますし、特にネタ切れの予感もありません。記事の質も特に以前と比較して大幅に低下しているということもないのではないか……と、個人的には思っています。 このペースを維持できているのは、ひとえに保存済みの下書きによるものです。最近の私は、時間を見つけたときに一気に下書きを書き溜めています。単純に言えば、一週間あたり平均2本以上書き上

          現在地 [Apr. 06, 2024]

          雨の中で両国駅から東京駅まで歩いてみた

          年度も明けたばかりの本日、2024年4月3日。東京都内ではお昼前から雨が降り出しました。私は下町・両国近辺で午前中に仕事があり、建物の窓から徐々に悪化する天候を見守っていました。 その仕事が終わったのは12時前頃。今度は取引先との面会があるため、13時に東京駅近くの某所で待ち合わせです。そこで、ダイエットも兼ねて、両国駅から東京駅まで歩くことにしました。 実際に歩いたルートはこちらです。 両国駅から南に下ると、江戸三十三箇所参りの第四番札所である回向院があります。お参り

          雨の中で両国駅から東京駅まで歩いてみた

          Amor Calamō Foltior

          2024年も明けたばかりの1月4日に、私にこんなLINEメッセージが届いた。 差出人は、私が大学時代にアルバイトしていた塾の元生徒だった。名前を伏せておくのも読みにくいので、ここからはAちゃんと呼ぶことにする。もう学生生活を終えようとしている彼女に「ちゃん」付けというのは、そぐわないのかもしれないが、講師時代からの呼び方なので、どうか許されたい。 取り急ぎ、Aちゃんからのメッセージには承諾の旨を伝えた。当時の講師たちも誘う、と聞いていたのだが、最終的には「誰も都合がつかな

          Amor Calamō Foltior

          私の『会社員間奏曲』を、Sansan公式noteにてご紹介いただきました!ありがとうございます。 相変わらずの私の記事タイトルの短さ…。 https://note.com/sansanjapan/n/n72842b1b2c1c

          私の『会社員間奏曲』を、Sansan公式noteにてご紹介いただきました!ありがとうございます。 相変わらずの私の記事タイトルの短さ…。 https://note.com/sansanjapan/n/n72842b1b2c1c

          何を信じる?<情報的健康>

          以下の中で、真実はいくつありますか。(0個でも全てでもありません。) サウナで心臓停止が相次ぎ、年間1万7000人が死亡している。 宮内庁が、インスタグラムの公式アカウントを開設する。 岸田政権が奨学金・失業手当に課税すると発表した。 米疾病予防管理センター(CDC)が、新型コロナウイルスに対してはワクチンよりも自然免疫の方が効果があることを認めた。 * 答えは、真実は2番目のみで、他は虚偽です。他3つの偽情報は、昨年12月中旬に日米韓で実施された「情報的健康」に

          何を信じる?<情報的健康>

          会社員間奏曲

          私の目覚まし時計は、平日になると午前5時10分に飽きもせず鳴る。大変迷惑なことだ。人間の安眠を妨害するのが目覚まし時計の役割とはいえ、あまりにも薄情ではないか。無機質なこの音を耳にするたびに、私は八つ当たり的にあらゆる機械類を恨む。人工知能の目覚ましい発展をも呪いたくなる。 家を出発するのは午前6時過ぎである。冬場は太陽さえまだ眠っている。日によっては、前日に帰宅できなかった酔客とすれ違ったりする。そして最寄駅から乗り込む電車は、外の静けさとは対照的なほどに混んでいる。私と

          会社員間奏曲

          ChatGPTにしりとりを挑んで勝ってみました

          Halです。猫も杓子もChatGPTを利用しているようなので、私も使ってみました(ChatGPT 3.5)。今回は、ChatGPTが最も得意そうなしりとりに挑んでみたので、スクリーンショットとともにお楽しみください。 まずは基本の挨拶から。敵にも礼儀は忘れません。 「光栄です」ときました。向こうもなかなか好戦的です。これはいい勝負になりそう。 私は、しりとりはChatGPTが圧倒的有利であろうと考えています。なぜなら、ChatGPTがインターネットに接続されている以上、

          ChatGPTにしりとりを挑んで勝ってみました

          お恥ずかしい限りでして

          2024年3月5日早朝。 夜中のうちに来ていたnoteの「スキ」の通知に気づいたため、スマートフォンでnoteアプリを開きました。すると、こんなポップアップが。 いやはや、6年間noteに投稿し続けて、初めての体験であります。「おめでとう」と言われて、いやな気持になる人はいませんからね。私もここまで来るのに随分かかったなあ、としばし感慨に耽りました。 ところで何の記事が注目されたのかな、と改めて見てみると、この記事でした。 筆者本人の率直な感想としては、「え、これ?」

          お恥ずかしい限りでして

          Money Can't Buy, by the by

          先日、バレンタインデーの贈り物について投稿したが、今年も職場で数名の同僚から頂いた。先日の投稿こそ、義理だの本命だのと少々ふざけた調子で書いていたが、本心としてみれば、目的がどうであれ頂けるのはうれしいものだ。毎年、感謝の気持ちをもって受け取っている。職場の人間関係を円滑にする一つの手段であろうと思う。 バレンタインデーにとどまらず、何か贈り物を頂いた以上は、お返しは当然するものであろう。ホワイトデーの文化が根付いている分、お返しへのハードルが一層下がっているのも良いことだ

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          3.11 コーラの幸福

          元日の地震を受けて、改めて私が東日本大震災に遭った時の様子を思い起こした。ライフラインが止まり、飲料・食料が入手困難だったという記憶が、まず頭に浮かんできた。 私の家族が居住していた地区でも、避難所が開設された。それまでの災害教育で、物資は避難所に集まり、当該地区の住民に配布されると聞いていた。3月11日の夜に、私は父と二人で避難所に向かった。 冷静に考えれば分かることだが、当日の夜に救援物資は届かない。その日あったのは学校備蓄品のビスケットだった。それでも食料が得られた

          3.11 コーラの幸福

          はるさめスープ #9 『タイムスリップ』

          「ねえ、千歳ちゃん」 「どうしたの?」 「私たちって、今何年生かなあ?」 八雲さとみが、寮の部屋から窓の外を眺めながら、千歳佳子に尋ねた。その傍らで、潮見香織が脚の産毛を剃っている。 「初回からの年月で考えれば、今の私たちはハルサメ中等教育学校6年生の3月になるはずだから、そろそろ卒業式だね」 「やっぱりそうだよね? おかしくない? 潮見ちゃんはどう思う?」 「イテッ」 「どうしたの?」 「突然話しかけるから、カミソリでスネを切っちゃった」 「わ、ごめん」 潮見の白く細

          はるさめスープ #9 『タイムスリップ』