見出し画像

カンティーナ シチリアーナ@東銀座 シーフードづくしにシチリアの島ワイン(イワシの酢漬け、タコとセロリのサラダ、魚介のフリットミスト、メカジキのパレルモ風パン粉焼き、赤海老のブジアータ)

歌舞伎座すぐ裏、東銀座駅から徒歩3分ほどのカンティーナ・シチリアーナ(トゥット・イル・マーレ 銀座4丁目)。シーフードとワインの相性の探求に没入してからずっと気になっていたお店をようやく訪問。同僚、元同僚と一緒に3人で。レストランの魅力はホームページの紹介文にギュッと詰まっているのでそのまま引用させてもらう。

シチリア島。歴史も幅広く、雄大な風土と碧い海、温暖な気候、海の幸や食の恵み、素朴な人々と観光地としての魅力がすべて揃った島。この地を訪れてその魅力に圧倒されるのがまず食。地中海で獲れるかじきまぐろやいわし、ウニなどの海の幸、そして、太陽の恵みを受けたナスやトマトなどの野菜やフルーツ。オレンジ、レモン、オリーブ、アーモンドの香りが島を包むシチリアの郷土料理をお召し上がりください。

カンティーナ シチリアーナのホームページより

開放的な1階バール席とゆったりとしたレストランの2階席があり、食事メインの私たちは2階席に案内してもらう。席に着くとまずはビール。イタリアンビールと言えばペローニかなと思ってメニューを見ると、メッシーナという銘柄も。1923年シチリア島北東部メッシーナに創立されたビールメーカーだ。今日はシチリアワールドを堪能に来たので迷いなくメッシーナを注文。こぎみよいほろ苦みさが心地よく食前酒にGood。

ビールをチビチビ飲みつつメニューを眺め、以下を注文(〇がシーフード)。意外なことにナスはシチリアで好んで食べられていて、郷土料理にもよく使われる。
〇イワシの酢漬け(1,100円)
〇タコとセロリのサラダ(1,100円)
・ナスとチーズのオーブン焼き(1,200円)
〇魚介のフリットミスト(1,580円)
・いも豚のグリル(2,780円)
〇メカジキのパレルモ風パン粉焼き(3,520円)
・トマトとバジリコのスパゲッティ(1,450円)
〇赤海老のブジアータ(2,100円)

イワシの酢漬け
タコとセロリのサラダ
ナスとチーズのオーブン焼き
魚介のフリットミスト
メカジキのパレルモ風パン粉焼き
いも豚のグリル
トマトとバジリコのスパゲッティ
赤海老のブジアータ

ワインリストの充実ぶりはおみごと。イタリアワインの中でも特にシチリア産のものが豊富。シチリア島のワインというカテゴリーではなく、島の中でも微妙に風土の異なる地域ごとにリストされている(パレルモ地区、アグリジェント地区、シラクーサ地区、カターニア地区といった具合いに)。
今回はドンナフガータの手掛ける白ワイン(カリカンテ品種)と赤ワイン(ネロ・ダーヴォラ品種)を注文。いずれも土着品種を使ったもの。最近、シーフードによく合うサルディーニャ島、シチリア島のワインを飲む頻度が高くなっていて、気になるワインがリストにたくさん。

ドンナフガータのワインは先日、古民家をリノベしたピッツェリアで開け、ピザとのマリアージュを楽しんだ。地場品種のグリッロ。

白ワインにはシーフード前菜4種、赤ワインにはメインのパスタを合わせたが、特に印象に残ったのは白ワインとタコとセロリのサラダの相性。ビネガーで引き締まった磯の香り豊かなタコの風味に、シチリアの土着品種で造られたワインの軽快で爽やかな柑橘香が絶妙に調和。お店は広々とくつろげる空間、ほどよいカジュアルさで居心地が良い。シーフードにシチリアワインを合わせるなら間違いないお店だ。再訪したい。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。


ドンナフガータ, アンシリア, イタリア, シチリア, 7,500円(レストラン価格)
Donnafugata, Anthilia, Sicilia

ドンナフガータ社のオーナーは何世代にも渡って酒精強化ワイン、マルサラワインの生産に携わってきた由緒ある家系。
「ドンナフガータ( 逃げた女 )」という名は、19世紀初頭にブルボン朝の王の妃が、ナポリで起きた革命を逃れて、現在のドンナフガータ社のある土地へ逃げてきたという歴史にちなんだもの。地場品種カタラット主体で造られるワイン。
香りにはライム、グレープフルーツのフレッシュで瑞々しい柑橘香に、爽やかなハーブ、潮香が入り混じる。
味わいはピュアでクリーン、こぎみよい酸味でフォーカスの合った風味、余韻に心地よいほろ苦さ、ミネラルのニュアンスが心地よい。

イワシの酢漬けにワインを合わせる。オイルと酢漬けの味付けに、ワインのハリのある柑橘香が心地よく繋がる。が、最後に青魚特有の若干の生臭みが立ちあがってしまう。もう少し潮の香りやミネラルのニュアンスが強いワインの方が相性が良いか。相性: ★★☆☆☆

タコとセロリのサラダに。タコのグリップのある旨み、磯の香り、ビネガーの味付けに、ワインの柑橘香と潮の香りが絶妙に調和。この日のベストペアリング。相性: ★★★★☆
タコとセロリのマリネは、先日、イタリア リグーリア州の白ワイン(ヴェルメンティーノ品種)とも素晴らしい相性だった。

魚介のフリットミストに。イカ、エビ、白身魚。素揚げのような仕上がりでカラッと。レモンを絞ると、イカ、エビの風味に抑揚がつき、さらにワインの梁のあるフレッシュな柑橘香との繋がりもグッと良くなる。相性: ★★★☆☆

メカジキのパレルモ風パン粉焼きに。パレルモはシチリア島の中心都市の名。パレルモ風パン粉は、アンチョビと一緒に炒めたパン粉に、アーモンド、松の実、スライスしたオリーブ、ケイパー、レーズンなどを入れて混ぜ合わせたもの。表面の香ばしいパンの奥に、焼きたてメカジキのジューシーで柔らかい脂が広がる。ワインの柑橘香、酸味、ハーブ香がそれを心地よく引き締める。相性: ★★★☆☆


ドンナフガータ, シェラザーデ, イタリア, シチリア島, 8,500円(レストラン価格)
Donnafugata, Sherazade, Sicilia DOC, Italy

オリエンタルなエチケットが興味を惹いた。地場品種ネロ・ダーヴォラで造られるワイン。
香りにはラズベリー、ダークチェリーのチャーミングでフレッシュな果実香。
味わいにはやや甲高い果実味、メリハリの効いた酸味。余韻はシンプル。クリーンでかつバランスの良いワイン。強い個性や複雑さはないが、バランスよくほどほどに陽気。

赤海老のブジアータに。かつては植物の葦の茎に巻きつけていたが、のちに針金や編み棒に巻きつけてつくるようになったブジアータ(ブジアーテとも呼ばれるよう)。主にシチリア西部で作られる。巻き付けられて造られる分、空間、表面積が追加され、そこにソースがたっぷり絡まる。エビのコクと旨み、トマトの酸味のソースをまとったブジアータに、ワインのフレッシュでチャーミングな果実味が調和し、そして余韻をリフレッシュ。いつの間にか次のグラスが進んでいる安心、安定の組み合わせ。相性: ★★★☆☆


この記事が参加している募集

おいしいお店

イチオシのおいしい一品

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?