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メカジキの香草オーブン焼き 南仏ワインのフラワリーな香り

独特の肌色のような白濁色の魚肉のメカジキ。スーパーでいつも比較的安価で売られている。今回は台湾産。パン粉と香草を振って野菜とともにオーブンで焼く。
オーブンに入れれば後は待つだけなので、他の料理の準備がしやすいと妻。子どもは香草なしのパン粉焼きと野菜を食べてくれる。しばらく魚の種類を変えつつ、定期的にオーブン焼きを食べることになりそう。毎度、何のお魚が出てくるか楽しみだ。

お野菜の色で彩り豊か

表面のパン粉がカリッと焼き上がったメカジキを噛むと、こざっぱりとした脂のり。パサリとほぐれる身から広がる軽快な旨味。香草が口内に爽やかに。メカジキは風味のクセが少なく、ハーブとの相性が良い。ハーブのみならず様々な味付けに合わせやすそうだ。

合わせたワインは白ワイン4種。フランス ローヌのマルサンヌ品種、イタリア トレンティーノ・アルト・アディジェ州のピノ・グリージョ品種、シチリア島のカリカンテ品種、オーストラリアのセミヨン品種。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。


M.シャプティエ クローズ エルミタージュ ブラン レ メゾニエ ビオ, 2019, 3,051円
M.Chapoutier, Crozes Hermitage, Blanc, Les Meysonniers BIO

M.シャプティエは、1808年に創業してから7代目ミシェル・シャプティエに至るまで一貫して家族経営。畑を守りテロワールを尊重。有機栽培された樹齢20~40年のマルサンヌ品種使用。
香りには花梨、洋梨、リンゴジャム、黄色い花のフラワリーなフレーバー、軽快にバニラ香、様々な要素ありつつ香りのバランスが素晴らしい。
味わいにはピュアで透明感のある果実味、繊細さとほんの少しの緊張感。酸味は中庸で的確。ひとひらの蜜のような高貴な甘さに続き、余韻に心地よいミネラルのほろ苦いタッチ。

メカジキの香草オーブン焼きにワインを合わせる。香草にのってメカジキのこざっぱりとした脂が柔らかく広がる。ワインのフラワリーな香りは香草に相性良く、ミネラル感はカジキの磯の香りに寄り添う。相性: ★★★★☆
料理にディルマヨネーズを添えてみる。料理に酸味、ハーブ、脂が加わり、風味にリッチさがアップし、ややボリューム感のあるワインとの風味バランスも最高潮に。五つ星を付けるか迷うほどの素晴らしさ。相性: ★★★★☆


テルラン, ピノ・グリージョ, イタリア, アルト・アディジェDOC, 2021, 3,366円
Terlan, Pinot Grigio, Alto Adige DOC, Italy

アルプス山脈の麓にあるワイナリー。ピノ・グリージョ品種は標高約300m以上の斜面の場所に植わる。寒暖差が大きく、ブドウの酸は高いレベルで保たれる。土壌にはミネラルも豊富。
香りには青リンゴ、マルメロのハリのある瑞々しい果実香、ライムの引き締まった香りもほのかに。微かにイースト香、白い花。白胡椒のヒントがワインを心地よく引き締める。
味わいには瑞々しくハリのある果実味、キュッとした酸味が心地よい緊張感。ほのかな塩味と余韻のほろ苦さがワインに抑揚与えていて楽しい。癒しの果実の滋味が上品に広がる。

メカジキの香草オーブン焼きに。メカジキのパサリとほぐれた身から広がる軽快な脂に、ワインの透明感の高い果実味が浸透しつつ、香草にも同調。相性: ★★★☆☆


トルブレック, ウッドカッターズ セミヨン, オーストラリア, 2022
Torbreck, Woodcutter's Semillon, 3,080円

1994年に設立のワイナリー。ワイナリー名は創業者がスコットランドで木こりをしていた時の思い出深い森の名前。なんともほっこりするエピソードだ。ローヌ品種から造る凝縮したワインで、創業直後から国際的な評価を得ている。こちらはバロッサ・ヴァレー産のセミヨンを使用。ウッド・カッターズ・セミヨン、つまり木こりのセミヨン。
香りには青リンゴ、白桃などが爽やかに、軽快に。フラワリーなニュアンス、酵母の香ばしさもほのかに。
味わいの果実味の凝縮感は軽快で瑞々しい。酸味は中庸ながら的確にワインを引き締め、余韻の最後の最後まで清々しい。セミヨン特有のグリップ感も少なく徹頭徹尾、清々しい。

メカジキの香草オーブン焼きに。ワインの青リンゴ系の爽やかな香りが香草によく寄り添う。ただ、ワインとメカジキの調和が期待未満、メカジキの風味をさらに引き出すまでには至らないか。相性: ★★★☆☆


クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ビアンコ, カリカンテ イタリア, 2020, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Bianco DOC, Sicilia, Italy

このワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培された土着品種カリカンテから造られる。海と山のミネラルの恵みを感じたい。
香りには潮、海藻のニュアンスに富む。グレープフルーツ、スウィーティーの果実香、ライムの果皮の香りも。セルフィーユの軽快なハーブにアカシアも。微かにスモーキー。
味わいには瑞々みずみずしくフレッシュでハリのある活力のある果実味、シャープな酸味。中盤から余韻にかけてほろ苦さがゆるゆると残りミネラルのニュアンスに富む。

メカジキの香草オーブン焼きに。ワインの強い磯の香りは、メカジキの上品で軽快な磯の香りに寄り添う。ただ、このワインはもう少し海の香りがたっぷりの、個性の強い魚の方が個性を引き出してくれる。相性: ★★★☆☆

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