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vol.5 小さなしくじり

稀に、どうしようもない、人に話すのも恥ずかしいミスをする。自分だけが迷惑を被るならまだしも、人にまで心配をかけてしまうような大きな失敗をすることがある。自分でも気をつけているはずなのに何故だろう。ミスを犯す度に「またやっちゃったよ」と、事後的に後悔することが続いていた。

それが2年ほど前のある日、唐突に解決された。導いてくれたのは、オードリーの若林さん。

オードリーの冠ラジオ番組「オードリーのオールナイトニッポン」は、世の中で一番好きな番組と言っても過言ではない。過去の放送を遡って聴いたりもする。そんな中偶然出会った、「ヒルナンデス椅子破壊事件」後の放送が僕を救ってくれた。

ご存知ない方のためにこの事件を説明しておくと、これは2016年2月に放送された「ヒルナンデス!」の商品紹介コーナーで起こった事件。オードリーの2人が、紹介された椅子に座りながらはしゃぎ、椅子の脚を折ってしまった(気になる方は「オードリー 椅子 破壊」でおそらく出てきます)。完全な放送事故だった。

その回の放送では、冒頭からお二人が事件の反省をしながら始まる。この反省の部分だけで十分面白いのだが、僕の救いとなったのはその後の内容。

事件の反省をするうちに、若林さんが自身のレギュラー番組「しくじり先生」について触れる。


「番組に先生として出演して下さるゲストの話に共通しているのは、『ずーっと心がしくじってた』ってこと。急に大きなしくじりを犯しているんじゃないのよ。車運転してて角にこすっちゃうときもそうじゃん?絶対曲がりきれないのに『なんか曲がれるかもなぁ』って思っちゃってるんだよ。あれもずーっと心がしくじってる。ヒルナンデスのおれらも同じ。『春日が椅子に乗ってはしゃぎはじめたなぁ』ってぼんやりと思って、気づいたら一緒になってやってた。」

...こんな内容だったと思う。

この話を自分なりに因数分解してみたら、一つの解にたどり着いた。それが、タイトルにもある「小さなしくじり」。つまり、小さな失敗の積み重ねが、大きな失敗になって表面化するのだ。逆に言えば、目立ちがちな大きな失敗の裏には、いくつもの小さな失敗が連なっている。若林さんが「ずーっと心がしくじってる」って言っていたのは、小さな失敗を積み重ねていたのに、それに気づかずにいた状態のことではないか。そう考察した。

このようなマインドを持った上で、改めて日常生活に目を向けてみる。...なるほど。あちこちに「小さなしくじり」が転がっている。Tシャツが脱ぎっぱなし。メールを処理せず、ため続けている。バイト先でもミスが多い。そういえば、留学中に金遣いが荒くなって両親に心配をかけた時も、生活のリズムは崩れていたし、大学での手続きも後回しにしていた。あれ、全部「小さなしくじり」だったんだ。

この学びを得てから、少しずつ暮らし方が変わってきた。日常にあふれる「小さなしくじり」に出会う度、改める。これは「大きなしくじり」の前触れだ、と思って修正する。...どうやって?僕の場合、生活リズムが乱れたり、継続的に取り組んでいることをサボると「小さなしくじり」に出会う回数が多くなる。だから「小さなしくじり」を犯したときは、朝昼晩しっかり食べて、よく寝る。メールの処理や英語の勉強、出納帳の記入をサボらずにやる。これぐらいで、一度しくじった心は元に戻る。

もちろん人間は完璧じゃないから、生きていれば絶対にミスをする。ただそのときに気づけるか否かは大切だと思う。小さな穴が無数に増えて、頑丈だった堤防が一気に崩れないようにする。そのためのセンサーのようなものを、若林さんのトークが授けてくれた。

よく年上の人が「一日一日を大切に生きましょう!」って言う。僕には漠然としすぎてよく分からない。ただ、この言葉を自分なりに言い換えるなら「『小さなしくじり』を改めながら生きましょう!」になると思う。

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