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母との別れ

余命があと少しと告げられた

母の病床の傍らで綴った文章です

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母との別れ

いざその日が近づいてくると

もっと会いたかった

もっと話したかった

後悔ばかりが心を支配する

母の手を握りながら

昔の思い出を語っても

私が話すばかり

「話が大好きな母さんさ

オレばっかりがしゃべっても

つまらないじゃないか

早く元気を出して

もう一度声を聞かせてくれよ」


何十年ぶりだろう

同じ部屋に寝て

共に朝日を浴びたのは

常に太陽が空にあるが如く

いつも私を心配してくれた母

いつか実家を訪ねた時に

夕飯のおかずを持たせてくれた

妻も子もいる私でも

母にとってはいつまでも

私は子どもなのだ

「親は十人の子を養えども

子はひとりの親も養わず」という

日蓮聖人の言葉が心に響く

母の恩に報いるべく

1分1秒を宝物と思い

限られた時間を共に過ごそう

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