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Smoke or die

 アイコスを知って使い始めて思ったことだが、「紫煙」というひどく寂れていて何度も使い回された、あのどこか素敵な描写の概念が無い。

 もちろん動作の数は多いので、きっと上手く使いこなせれば素敵な描写が出来るんだろうと思うが、まだ私の頭には何ものも降りては来ない。

「580円です。」
 こんな葉っぱもろくに入っていないような煙草に、今日も決して少なくないお金を落とす。おそらくこれ以上値上げされても買い続けるのだろうけれど。

「だーから、あんたは喘息なんだから、さっさとタバコを辞めなさい」
 去年友達になった薬剤師をしている仲良しの姉ちゃんが言う。先だって胸膜炎になったときだってそうだ。

「ゴホゴホ…すー、ゴホゴホ」
 胸膜炎になったって、気胸になったって、意地張って一度も辞めてない。否、禁煙外来には通ったのだが、ちょっとした希死念慮が出てしまい、中止となった。以来医師公認となっている。

「ゴエッホエホ!」
 今度は普通の紙たばこのラッキーストライクに咽せた。目の前は煙で白と紫だ。ちゃんと煙を吸う充てどころというか口腔内に取り込む位置を間違えなければ咳き込むこともないのだが。


 ……そりゃ早く辞めなさいって誰もが思うよね。

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