見出し画像

お題「ラベル」

糸柳蓮

人は何かと他人にラベルを貼りたがる。
俺はバンドマン、先月念願のプロデビューを果たした。
CDを出して、オリオン7位に載り、マネージャーも付くようになった。
そんな順風満帆な日々を過ごしているように、一旦は、見える。

でも俺の意識の及ばないところで、「俺」もしくは「メンバー」のキャラづけや、オリオン7位という、薄っぺらいラベルを通して、そう見られている。
過度な下ネタはいけないし、俺ひとりの発言が大きく世間を変えたりする。
もちろんインフルエンサーとしては、何か食べたとSNSに上げれば、その物は売れる。
良くも悪くも影響が出るということだ。

ある日、俺がSNSに掲載した飲み物が、メーカー側の回収になった。
その飲み物のラベルにはエナジードリンクとある。
特に飲んでも問題はなかったが……。
マネージャーから、投稿を消すように言われた。
なぜだろうと考えても俺にはわからない。

「異物混入」
翌朝のニュースで知った。
俺は嫌な形で時の人になってしまった。
DMは批判でパンパン。
俺のラベルの価値も失墜してしまった。
炎上してしまったのでSNSに謝罪文と、今後の問い合わせ先を記した。
ほぼ俺のせいでもないのに、ラベルというものは価値が上がったり下がったりするようだ。

俺は一晩考えた。
これから俺は、またラベルの価値を上げる為に、また一歩ずつ良い音楽を作って行かなければいけない。
今以上に、発言にも気をつけなければいけない。
そんな責務をなんとなく思った。
でもやっぱりエナジードリンクで炎上は、俺のせいじゃない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?