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スポーツチームがファンを増やすために社会活動を絶対にやるべき理由

スポーツチームが社会活動やホームタウン活動を行う際に、その目的は地域貢献とされるケースが大半です。それ自体は間違っていませんが、これらの活動の究極は「ファンや集客の増加」に他ならないと私は考えます。
では、なぜ社会活動がファン増加につながるのか?いくつかの観点でみていきたいと思います。

1.「知ってるけど興味がない」のがスポーツ

そもそもスポーツ観戦はオリンピックやW杯などの国際大会を除いてはまだまだニッチなコンテンツです。
この図はとあるプロチームの9セグ調査の結果。

とあるプロスポーツチームの観戦調査

調査結果をみると、セグメントの中で「認知・未関心層」の割合が最も多いことが分かりました。
知ってるのに興味がない人を動かすというのは非常に難しいことです。おそらく広告やニュースに触れてもノイズのように掻き消されている可能性が高く、チームが一生懸命に試合の告知をしようが、選手を露出しようが、ファンが増えることはないのです。
考えてみれば、スポーツに全く興味のない人のInstagramに突然試合告知の広告流れても行動変容には繋がらないのは納得ができます。
数年間デジタル広告の運用に力を入れて実証をしてきましたが、新規顧客獲得のハードルの高さは身をもって痛感しました。(相当に絞ったセグメントor無料招待などの強烈な訴求でない限り、コストに合う広告運用難しい)

2.社会活動がチームの関心層を高めるという事実

そうなってくると、チームに関心のない人が、どのような過程でチームへの関心を高めるのかが気になってきます。
こちらのアンケートを見てください。
チームへの関心が高まった理由を聞いたところ、「社会活動やホームタウン活動をしているから」という理由が上位に挙がりました。

ここには2つの理由があると考えられます。
一つは試合以外でのチームとの接点です。これはホームタウン活動への参加や学校訪問でチームと選手と触れ合いをしたパターンなどが考えられます。
もう一つは、 そうした活動をメディアを通して知った場合。スポーツには関心がなかったけど、報道や記事を通じて社会活動をやってることを知り、関心を高めたパターンです。

3.残念ながら社会活動への関心は低い

とは言え、社会課題への関心は全国的にまだまだ低い状況です。これは、そもそも「知られていない」というケースが多いのが原因だと考えられます。
スポーツチームには、注目度、発信力、エンゲージメント高さなど、どれも他業界、サービスと比較すると非常に高い特徴があると言われていますが、これは歴史と共に地域やファンがクラブへのアイデンティティを高めていったことが要因の一つだと思います。
しかし、そのスポーツの波及効果も、まだまだ"競技において"の域はこえていません。
残念ながら、スポーツチームが行なっている社会活動をオウンドメディアやSNSで発信しても一部の方からの反応しか得られないの現状です。クラブがやっていることを紹介する一方的なコミニュケーションではなく、双方向的に一緒にやれる仕組みや働きがけが重要です。
もう一つはメディアを巻き込んで露出を強化すること。しかし、ここにもハードルがあります。

4.メディアにとっても優先度が低い

語弊を恐れず言えば、一部のメディアを除いてソーシャルジャンルの掲載に必死なメディアはいないと思います。理由は明確で、メディアの収益構造の大半が広告モデルのため、視聴率やPVがとれないネタは優先度が下がってしまいます。特にWEBメディアは明確にPVによって収益が変動します。
クリックを誘発するようなタイトルで誘導をかけてPVを稼ぐのが常套手段なのです。(ここはまた別で話したいと思います)

5.わかってくれる人やいいメディアと出会うためには言語化するしかない

メディアの構造は前述の通りですが、スポーツチームが取り組んでいる社会活動やホームタウン活動に興味や関心をもってもらうための有効なアプローチもあります。メディアを発信するのは機械ではなく人間です。丁寧に会話をして共感できる部分を明確にすることで、「うちのメディアで扱えるかも?」と思っていただける可能性は大いにあります。そのためには、いきなりメディアに取材依頼をするのではなく、まずは自分たちで言語化する必要があります。
どんな社会課題があって、なぜそれをこのチームがやる必要があるのか、どんなアプローチでやっていて、関わる人や社会にどんなインパクト、変化を与えているのか?
そもそも、こういったことを整理せずにリリース情報だけで取材してくれというのはなかなかにハードルが高いです。
トップリーグのスポーツチームは良くも悪くもメディア側からアプローチをもらえる立場にいます。でもそれはスポーツというジャンルに過ぎません。スポーツジャンルをこえなければ価値の広がりや新たな巻き込みは生まれないのです。

お伝えした通り、ファンやサポーターを増やすためにとスポーツチームが社会課題の解決に取り組むことは重要です。それだけではなく、新たなスポンサー獲得、行政自治体の予算確保にも繋がっていきます。

また、弊社が運営するサロンでは、社会課題(ホームタウン)×スポーツというテーマで実践型のスポーツビジネス講座を開いてます。Jリーグ、Bリーグなどの現役社長から直接話を聞き、活躍できるスキルを学んでもらっています。それにも興味がある方はぜひお申し込みください。(期限の縛りがあります)
秋田ノーザンハピネッツは、先日のスポーツ庁主催のスポーツオープンイノベーションプラットフォーム(地域版SOIP)でも最優秀賞を受賞されていて、地域×スポーツ×ビジネスを体現しているチームです。
その他のチームもビジネス観点であらゆる賞を受賞されているところが多く、多くの学びが得られるのではないかと考えています。


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